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さよなら、SNSマーケティング

『さよなら、インターネット - GDPR はネットとデータをどう変えるのか』を読み終わって数日たったある日、「フェイスブックCEO、「プライバシー重視」へ方針転換」という速報が流れた。

おお、ついに、そして確実に事は動いているのだな。と。

もう、おそらくだいたいの人は気づいているはずなんだけど、気づかないふりして何となく過ごしていたほうが心穏やかに過ごせるんだよね。
なんて思っているともう、世界はとんでもないところまで来てしまっているんだよな。と言いつつも、やっぱり自覚が足りなかったよね、と思う。

SNSを利用するってことは。

そこには明白な取引がある。
あなたが同意(オプトイン)している契約には、彼らはあなたに便利で無料のソーシャルメディアプラットフォームを提供する代わりに、あなたについて学び、あなたという人物を特定し、そのデータを広告主に利用することが含まれている。
(中略)
無料で便利なネットサービスからの恩恵以上に、あなたは無料で彼らの「商品」として働き、莫大な企業利益に貢献している。

もうね、読み進めると絶望的な気持ちになるんだけど。

EU(欧州連合)が立法し、2018年5月25日に施行されたGDPR(一般データ保護規則:General Data Protection Regulation)によって、いよいよ動き出してきた。

中でも、これが実現出来たら本当に素晴らしいと思うのは、個々のユーザーの「データポータビリティー(データ可搬性)」を企業に求める権利と、それを認める企業側の義務。

事業者は、蒐集した個人データを当該個人の申し出により、事業者の妨害なくその個人に返還する義務を負う。これにより、事業者が「所有」する個人データは本来の所有者に返還され、別な事業者に個人データを移管することも、そこから各個人の利益となるデータを活用することも可能となる。

簡単に言うと、個人が事業者に渡した個人データを本人の希望で「取り戻す」ことができる。そして、他業者にまた渡すことが出来るということ。

例えば、いつもAmazonを利用しているけれど、他のサービスを気に入ったとする、その業者のサイトに、個人情報ポータルへのアクセスを許可する。すると、その業者はわたしの個人情報を参照し的確なリコメンドをしてくれる。その、サービスの利用が終わったら、自分の個人情報の消去をサイトに要求。そうすれば、サイト側に個人情報は残らない。

これが実現できれば、リコメンド機能などの利便性を保ちつつ、個人情報の流出を防ぐことができる。とともに、業者間の公正な競争も促され、巨大企業の独占状態を解消することができる。

うわ、なんか夢のような話ですね(^_^;)
実現できるまでは時間がかかりそうだけど、これぞ、インターネットの適切な利用スタイルだと思う。

そうなったとき、大きな変化を余儀なくされるのは、「広告とマーケティング」。所謂、ターゲット広告、ダイレクト・マーケティングである。

GDPR が導入され、個人情報の収集及び利用の許可をしたユーザーには、ターゲティング広告が表示され、ターゲティング広告の収益が得られます。同意を得ていないユーザーには個人情報を活用した従来の広告は使えなくなります。

ターゲット広告がなくなる、ということはないでしょうが、大きな影響が出ることは間違いないでしょうね。

とともに、自分が請け負っているSNSプロモーションも、影響は受けると思う。そもそも、SNSマーケティングは専門じゃないんだけど(^_^;)
SNSを利用したプロモーションがより大事になってくると思う。

うちで承るSNSプロモーションは、googleのご機嫌伺いみたいなSEOとか、Facebook最適化とかじゃなくて、「インターネットの仕組みを利用したプロモーション」である。

まずは、自社のサービスや、自社の商品について、事業主(担当者)がきちんと理解して、その上でユーザーとお客様と「インターネットの仕組みを利用して」どのようなコミュニケーションを取っていくのか、クライアントさんと一緒に考えて、計画します。そして、クライアントさんの中にちゃんと「中の人」を育てていくというやり方です。

明日、Facebookがサービスをやめてしまっても。
明日、わたしがいなくなったとしても。

それでも、きちんと「インターネットの仕組みを利用したコミュニケーション」が続けられるようになっていってもらいたいのです。
だから、フォロワーをたくさん増やす方法、とか「いいね」がたくさんもらえる方法、とかはやりません。もう、そういう小手先のテクニックってすべて、見透かされているんです。だから、粛々と、大事なことを王道の方法で継続していく力を付けていくことが、一番の近道になるんだろうな、と、思うのです。

刻々と変化する、「インターネットという仕組み」を取り巻く状況を、理解しつつ、ビジネスチャンスにしていくしかないんだろうなぁと。
疲れるまで続けていくんだろうなぁ。


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