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オンライン化で失われるもの

こんばんは。寺戸慎也(てらどしんや)です。

コロナ禍であらゆるもののオンライン化が起きています

僕自身は、オンラインに適しているものはガンガン、オンラインへ移行していくことに賛成です。

…というより、このコロナ禍より前に、すでにオンラインの恩恵をたくさん受けてきました。本音で言うと「遅いよ、君たち」という感じなのです。

でもね、何から何までオンラインで代替できるかというと、そういうわけではないと思います。

オフラインで僕たちは何を得られていたのか

この検証なしに、オンラインへの移行をすることはできないはずです。ちょっと立ち止まって、一緒に考えてみましょう。

オフラインで受けてきた恩恵=偶発性

もう答えから言っちゃいますが、オフラインにあって、オンラインにないものは『偶発性』です

(※今のオンラインの技術では、という前提付きではあります。今後変わっていくと思います。)

~スティーブ・ジョブズとカリグラフィの関係~

みなさん、パソコンで色々な「フォント」を使ってますよね?

あれって、実は偶然生まれたものなんです。マッキントッシュ―の開発者はかの有名な「スティーブジョブズ」ですよね。

大学を中退したジョブズですが、その後もひそかに授業に潜り込んでいたそうです。

そこで学んだのが「カリグラフィ」。文字を美しく見せるための技法です。

月日は流れ、彼がマッキントッシュを開発するときに思い出したのが、このカリグラフィ。

彼がカリグラフィの授業を受けていなければ、今のようにパソコンではたくさんフォントが使えるパソコンは登場していなかったかもしれません。

~サカナクションの音楽性~

もう少し、オフラインの有効性を話しておきましょう。

サカナクションというロックバンドがいますが、そのフロントマンである山口一郎さんが「20代の人に向けて」という題材でインタビューに答えていました。(→動画はこちら

そこで山口さんが20代のうちにやっておいたほうがいいこととして

自分に与えるものを、自分で決めないほうがいい

世間でよく言われるのって、「なりたい自分になろう」とかですよね。山口さんは『自分で決めないほうがいい』って。どういうことなんでしょう。

山口さん率いるサカナクションは、はじめ難しくテクニカルな音楽を志向していました。それが、東京で「ウケる」と思っていた。

でも、東京のクラブシーンは想像と違って、ミーハーで、分かりやすい音楽を求められていた。

そこからサカナクションは、これまで志向していたテクニカルな音楽性をどうやって一般のミュージックシーンに受け入れられるように変化させられるかを試していくことになります。

じゃあもういいわと辞めることができたと思いますが、そうではなく東京のミュージックシーンにアジャストしていったことで、今のサカナクションの音楽性が生まれたのです。

そもそも、サカナクションが音楽を始めたときにインターネットもなく、音楽の最先端に触れるには東京にでてくるしかなかったんです。

ここまで見てきた通り、プロダクトや芸術性、イノベーションの発現には『偶発性』が大きく関わっています。

オンラインで情報を得る場合、『検索窓に何を放り込むか』によって、恣意的に情報を集めていくことになります。SNSでもエコーチェンバーといって自分に近しい意見の人とだけ繋がっていくこと指摘されていますよね。

組織を含めて、あらゆるものをオンラインへ移行させるとき、この偶発性をいかに担保させるか、が重要です。

それでは、オンラインでどうやって偶発性を担保させられるのでしょう?

オンラインでも「人」を介在させよう

ここで、インターネットの機能についてみていきましょう。

✔遠方の人と繋がれる
✔あらゆる情報にアクセスできる

ということでしょう。

オンラインで偶発性が発生しないのか、その答えはオンラインコミュニティにあります。

僕は大阪に住みながらも、東京のコミュニティ(ノンプロ研)に所属していました。チャットツール(Slack)を通じてコミュニケーションしていましたが、元々テキストコミュニケーションが得意なのもあって、色々と情報を得られたり、色々な努力されている人たちと繋がっていることで自分も頑張ろうとモチベーションを高めていました。

定例会といってイベントが行われるのですが、ZOOMで配信されるのでリアルタイムで参加することができました。

※ちなみに、ノンプロ研ではチーム大阪の立ち上げをさせてもらって、いまは地方にもたくさんチームができています。

このように、オンラインでは「多様な人を介在させる仕組みを作るか」を考えることで、偶発性を担保できるのではないでしょうか。

もちろん、オンデマンドで、必要な情報を、必要な時に得られるということも大事です。でも、人が常に変化し続けるには、偶発性が必要不可欠です。

あなたが今何かをオンライン化しようとしているとき、得られるものもたくさんありますが、失われるものは何か?一考する価値はあるのではないでしょうか。

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