ヒエラルキーは、もういらない
こんにちは。寺戸慎也(てらどしんや)です。
今回は、「ヒエラルキーは、もういらない」という話です。
突然ですが、トランプゲームの「大富豪」はご存知ですか?
カードの強さが「2→1→K→Q→J→10→~→3」の順番で決められており、以下にそのカードを出していき、誰が早く上がれるかを競うゲームです。
この大富豪には「革命」というルールがあります。同じ数のカードを4枚揃えて出すことで、さきほどのカートの強さの順序が3→4→5→~→1、2と逆転します。
現在世界中で、この「革命」が起きたような状態だと感じています。今まで持っていた能力など関係なく、活動がストップしてしまった方、逆にものすごく忙しくなってしまった方がいます。
この大富豪のメタファーを使いながら、コロナ後の社会について思索を巡らせてみます。
コロナ禍で「ノーダメージ」の人たち
僕は支援の仕事の中で、元々ひきこもり状態にあった人とたくさん出会ってきました。その中には「まったくコロナの影響を受けていない方」がいます。
年金生活者の方々も、もしかしたら経済面においてはコロナ禍で無風なのかもしれません。
大富豪でいうと、ちょうど中間あたりの「7」「8」「9」あたりの人たちって、まったくノーダメージだったんですよ。
4月には自殺者数が前年度比で20%程少なくなったというのも報道され話題になりました。4月は学校、会社など、新たな生活が始まる時期です。
自殺者が増えるのって、気候的に雨の日が多いって思いますか?
実は、晴れている時のほうが、電車での人身事故が多いのだそうです。ふがいない自分と、行楽シーズンで楽しそうな家族などと自分を比べて落ち込んでしまいます。
ここに「ヒエラルキー」による精神作用が見え隠れします。コロナ禍で起きた「革命」によって、普段固定化されていたヒエラルキー構造が崩れました。
普段は「外に引きずり出されてしまう」というプレッシャーを与えられているひきこもりの人たちの振る舞いが正当化され、逆にアウトドアなどを楽しんでいた「陽キャ」な人々が苦しい思いをしています。
価値観というのは、いかに社会背景によって相対化されているかというのがよくよく分かってきました。
学校や会社はヒエラルキーを仕組み化した組織
ヒエラルキーが崩壊する「革命」が起こったことで、かなり精神的に楽になる人がでてきました。
学校にもヒエラルキーが存在します。
だって、学校というのはあらゆる取り組みを点数によって査定するという組織です。勉強できるやつが「上」、運動できるやつが「上」、誰とでも付き合えるやつが「上」、そんな風に査定されます。
先生が何と言おうと、学校という組織自体がそういった仕組みで運営されている以上、その「査定ヒエラルキー」は子どもたちの中で内面化していきます。
そして、その勉強は「いい会社に入るため」っていうじゃないですかあなた。当然そのヒエラルキーは会社にも引き継がれていきます。
会社におけるヒエラルキーというのは、予算配分や人事の意思決定権限を持たせるということです。前提として、部長職、課長職というのはその判断スキルを有する人間が行うことになります。
学校と違い、このように権限を持たせるというのは、組織運営のために必要なことかもしれません。
でも、学校的な査定ヒエラルキーを内面化させている人間は、この権限を自分の「権力」と勘違いしてしまいます。そしていつしか、会社組織というものも、社会の課題解決のためではなく、その組織維持、ひいては自分の権力維持ために組織運営を行うようになります。
そして、組織運営にかけるエネルギーが、その組織が社会に与えるエネルギーを上回ったところで組織崩壊がはじまっていきます。
今、日本全体でこのようにヒエラルキー維持のためにエネルギーが使われ、新たなものを生み出すことにまるでエネルギーが使われていません。
ゲームのルールを大富豪からババ抜きへ
コロナ禍において、ヒエラルキー構造がいかに無意味なものかがあぶりだされました。
日本がいかに問題解決能力を失っているか(元々持っていたかも疑問ですが)よくわかりました。
政府がこのコロナ禍においても何を優先させているか、それは「検察庁法改正法案」の提出です。どういうことかわかりますよね。そう、この期におよんで、政府は「ヒエラルキーの維持」にエネルギーを注ぎ続けています。
外食産業や「一部」パチンコ産業は、行政からネグレクトされています。そして、国民への現金支給もかなり遅きに失しています。
これは、組織票や政治献金など、組織維持においてのステークホルダーと政府から認識されていない人々はネグレクトされているのです。
でも、これは「ヒエラルキー」を組織運営の中心に置いていることが問題なのです。必要なのは、ゲームルールをチェンジすることです。
大富豪というのは、いかに「2」のように強力なカードを集められるかというゲームです。
でもね、この「2」が強いというのは、ゲームルールによります。コロナ禍という「革命」で、ゲームルールは変わりました。
ここからは僕の提案ですが、ゲームルールを大富豪から「ババ抜き」にチェンジしませんか?ということです。
ババ抜きに、カードの強弱はありません。
いかにすべてのカードを上がりにするか、で「勝ち」が決まります。どんなルールで遊ぶのが楽しいか、それは人それぞれかもしれません。
でも、大富豪よりババ抜きのほうが楽しいんじゃないかなと、僕は思います。
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