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よりよく生きるためのスタート地点

みなさんこんばんは。寺戸慎也(てらどしんや)です。

今、新型コロナウィルスの影響で、人が生きるっていったい…と深遠な問題に直面している人は多いのではないでしょうか?

僕自身、生きることについて向き合った時期がありましたが、それはコロナショックより少し前。たどり着いたのは、「死ねない理由」があれば生きていけるということ。「生きる理由」というポジティブなものでもなくてもいい、そんなお話し。

2011年3月11日。

2011年3月11日。

そう、東日本大震災が起きた日

僕は当時、システムエンジニアとして東京の品川というところで働いていた。ビルの7階には喫煙所があり、(今は喫煙してないのですが当時はヘビースモーカー)プカプカとタバコをふかしていた。

仕事場に戻ろうと喫煙所を出た瞬間、今まで感じたことのない大きな横揺れ、フロアタイルが上下にバタバタと音を立て、埃が舞った。僕は、フロアのテーブルの下に潜り込んだ。いつもの地震ならもう収まるころに、揺れはいっこうに収まらない。

本当に死ぬかもしれない

死を間近に感じたのは、もしかしたらこれが初めてかもしれない。ようやく地震が収まってから、フロアに戻った。何分経っただろうか、第二波が襲った。

フロアでは泣き叫ぶ人もいた、窓の外を見ると高層ビルがこんにゃくみたいに大きくしなっているのが見えた。

地震は収まり、数週間後には何事もなかったように東京での生活は再開した。ただ、僕の脳裏には「死」というものがべったり張り付いているようだった。

パニック障害

それから2年程が経ったが、僕は相変わらず品川でシステムエンジニアを続けていた。

震災当時は下北沢に「寝に帰るだけのためのボロアパート」を借りていた僕も、この時には所帯を持ち、東京の国立市というところで奥さんと長女と暮らしていた。

いつも通り残業をして、品川駅のホームへ向かう階段を下りている時に、ふっと血の気の引く感覚があり、めまいが襲った。そして奥さんと長女の顔がはっきりと脳裏に浮かんだ。

この二人を置いて死ねない

そう思った瞬間、忘れた気がしていた「死の恐怖」が襲ってきた。突然襲ってきた冷や汗と動悸。それと同時に、「このまま死んでしまうんじゃないか」という恐怖が襲ってきた。

これがパニック発作が起きた瞬間の話。

理想の自分と現実の自分

最初のパニック発作のあと、救急車で新宿にある某大学病院で「異状なし」の診断を受け、タクシーで自宅に戻った。度々襲ってくる発作の恐怖の中、妻に手を握ってもらって寝た。

今思うと、僕は「よりよく生きたい」と願っていた。

というより、世間的に「よい生き方」とされている生き方を目指していた。マイホームがあり、正社員で、安定した生活を手に入れる。

よくあるバリバリと仕事のできるシステムエンジニア像を追いかけていた。確かに、僕はいわゆる過集中と言われるような「火事場のクソ力」を発揮することで、プログラムを作ることができた。

でも、常に納期を守ることができなかったし、新規プログラムは大丈夫でも、プログラムの改修となると、ノイズに惑わされて作業がなかなか進まなかった。

元々、物を作ることにこだわりはなく、どちらかというと、プログラムの仕様を満たすためにロジックを考え出す「イマジネーション」の部分に楽しみを感じていた。

でも顧客との仕様調整などは苦手だった。というより、興味が持てなかったと言った方が正確かもしれない。顧客は金融機関がメインだったが、顧客の事業自体に興味を持てていなかった。

自分がどんな価値観を持っているか、なんのために仕事をするか。当時はそんなことは考えたことはなかった。でも、今の仕事が自分のやりたいことではないことは確かだった。

世間体のため、今ある生活のため、それを無理して続けていたが、ただ、もう休めと、体がアラームを上げていた。もう働くことはできなくなってしまった。

最後に残ったもの

仕事ができなくなった僕は、何をしたらいいかわからなかった。死ぬかもしれないと思ったその時に脳裏に浮かんだのは「奥さんと長女」だった。

どうやって生きていっていいかはわからなかったけど、僕には死ねない理由だけが残った。

僕たちは多くの情報の中に生きている。

何か大きな目的を成し遂げること、資産を築くこと、たくさんの友人を作ること。そうやって世間が作り上げた「よりよい生き方」のイメージと自分を比べている。

それは時に、とても苦しいことだ。

他者とジブンを比べて、しんどくなる時、ジブンにこう問いかけるといいかもしれない。

自分が今死ねない理由は、なんだろう

それがおそらく、よりよく生きるための第一歩のスタートだ。

僕自身、いまだに何がやりたいのかはよくわからない。ただ、僕自身の活動や存在が、ほんの少しでも誰かの死ねない理由なれたらいいな、ということだけ。

かっこよく生きなくてもいい。死ぬな。

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