SixTONESとYOSHIKIは凄いと言いたいだけ
SixTONESに要注目だ
2020年1月22日、ジャニーズから大型新人グループが二組デビューすることになった。
今回はそのうちの1グループ、SixTONES(ストーンズ)が凄いぞ! と言うことついて語ろうと思う。
SixTONESは男性6人組グループで、修行を積みながらデビューの機会を待っていた。
そしてジャニー氏と滝沢秀明の強烈なプッシュによってデビューを飾ることが決まる。
滝沢秀明がSixTONESにどれだけ期待をかけているか。
それは滝沢秀明がYOSHIKIにデビュー楽曲を依頼したことから知ることができる。
YOSHIKIはもはや説明不要のミュージシャンだ。
ガラスの薔薇のように繊細なメロディと、降り注ぐ雨のような激しさが魅力の曲で世界中にファンを作っている。
そして狭い日本を飛び出し、今も世界で活躍し続けている。
NYのマディソン・スクエア・ガーデンで単独公演、コーチェラに出演、一人でカーネギーホールを満員にし、世界ツアーを行えば席が埋まる。
共演したことのある世界的な有名人も多い。
QUEENのロジャー・テイラー、マリリン・マンソン、サラ・ブライトマンなどなど。
YOSHIKIは実績あるミュージシャンであり、このようなスーパーセレブと共に音楽の仕事をするほどの人物である。
滝沢秀明はそのYOSHIKIにまだ無名の新人のために曲を作ってくれと頼んだのだ。
世界を股にかけて仕事をするYOSHIKIにとって、これは興味の出る仕事だろうか? いや、出ない。
何故なら、SixTONESのメンバーはデビューもしていない。ただの若造たちでしかないのだ。
YOSHIKIは世界の有名人と共に音楽の仕事をするほどの人物である。こんな仕事を受ける必要は無かったに違いない。
金を積まれたからではないかと思う人もいるかもしれないが、それは違う。
YOSHIKIはチャリティ活動でも有名である。
最近でも西日本豪雨に1000万を寄付、24時間テレビでも500万、胆振の震災でも1000万、京都アニメーション放火事件に対しても1000万、オーストラリアの森林火災にも1100万。
総額では億を越えるほどの寄付を行っている。
このような人物が今更多少の金を積まれたぐらいで動くわけがない。
しかしYOSHIKIはこの仕事を受けることになる。
何故これほどの人物が動かされたのか?
YOSHIKIはそれには2つの理由があると言った。
ひとつは滝沢秀明が直接出向いてきて、熱心に頼んできたこと。
もうひとつはSixTONESは世界進出を考えていると知ったこと。
滝沢秀明も説明は不要だろう。
日本の芸能界で、多くの実績を残した芸能人だった。
引退してからはジャニーズ事務所のために働いている。
その滝沢が熱心に依頼をしてきた。そしてSixTONESは世界進出を考えていると言った。
この二つが世界のYOSHIKIを動かした。
YOSHIKIも若造だった頃に北米に進出している。
そして今、日本人として、日本のミュージシャンがなかなか世界に出ていないことを心配していた。
現在、世界の音楽シーンで華々しい活躍をしているアジア人は大抵が韓国人である。
K-POPは多くの世界に輸出され、世界中にファンを作っている。
その一方で日本はまだ出遅れていると言うしかなかった。
YOSHIKIはその現状を嘆き、もっと日本人アーティストが世界に出ることを望んでいた。
そこに世界進出を考えている若者の話を聞いた。
あの滝沢秀明が強烈に推すくらいだから、きっと凄いメンバーなのだろうと思ったに違いない。
そしてYOSHIKIはSixTONESのために楽曲の制作を始める。
だがここでYOSHIKIは面白くない事態に出くわすことになった。
世界進出を考えているグループなら、当然歌詞はすべて英語で書かなければいけない。
そう思ってYOSHIKIは歌詞を英語で書いたのだが、ジャニーズ事務所側がそれを拒否したのだ。
最初は日本デビューなので、日本語の歌詞を増やして欲しいと言ってきた。
これにはYOSHIKIも落胆したに違いない。
世界進出を考えてるんじゃないのか?
どうして日本だけがターゲットなんだ?
しかし、YOSHIKIはこの後でSixTONESのメンバーを知ることになる。
そこから明らかにYOSHIKIの姿勢が変わるのだ。
例えば、京本大我のソロパート。
YOSHIKIは最初、男性グループだから音域はこれくらいに抑えたほうがいいだろうと思って曲を作ったようだ。
ところが後になって京本大我の音域の広さを知って、曲を書きかえたのだ。
京本大我ソロのために、転調をすることにした。
転調というより実際は移調なのだが、ともかく、一気にキーが跳ね上がる。
これほど凄まじい転調は他に無いだろう。この曲を聞いた人はみんな驚いたに違いない。
一気にキーが上がり、そこに京本大我の声が乗るのだ。
しかもこの部分の構成がすさまじく上手い。MVではラップパートの後だが、フルでは違う。
ソロパートの前でひたすら盛り上げにかかっているのだ。楽器を増やし、不安定な構成にし、一気に盛り上げにかかっていったその先に何があったか。
なんと、楽器が減っているのだ。
盛り上がるぞ、盛り上がるぞ、と煽っておきながら、楽器が減り、伴奏はピアノのみになる。
だがそこに現れるのは京本大我の素晴らしい歌声だった。
そう、京本大我のソロパートは他の楽器で支える必要が無いほどに素晴らしかった。
凡人だったらここは聞かせどころだから、楽器も全体的に盛り上げて派手にしようとするだろう。
しかしYOSHIKIはここであえて楽器を抑えたのだ。
その結果、京本の声は凡人が作る曲ではありえないほど前に出てくることになった。
もちろん、もしもこのソロパートを歌う人の歌唱力が低ければこんなことは成り立たない。
下手な歌がただ前に出ても誰も感動しないのだ。下手な歌なら楽器で声を支えて派手にやったほうがいい。
しかし違った。
YOSHIKIは京本大我の音域の広さ、歌の上手さを知って、ここであえて楽器を抑えて京本大我の声を前面に押し出したのだ。
しかも京本大我のために当初の計画を変えて、ここで転調を行った。
曲の一部を変えるだけじゃないかと思われるかもしれないが、一部を変えるということは全体のバランスを崩すことになるので、一部を変えるだけでは済まない。
これは絵を書いたり曲を作ったり、そういった経験のある人なら頷いてもらえると思う。
一部を変えるということは、全体のバランスも見なければいけないので、はっきり言って辛い作業になりかねない。
だがYOSHIKIは京本大我の声を知って、これを行った。
当然ながらYOSHIKIは多忙なミュージシャンである。急な変更は嫌いだろう。
しかしYOSHIKIは京本大我のために誰もやらなかった転調を果敢に実行したのだ。
おそらくYOSHIKIはSixTONESを少しずつ知ってゆくことで、この若者たちが世界に出ると確信したのだろう。
そのデビュー曲は全身全霊をかけてやらなければいけないと思ったに違いない。
まだ無名のSixTONESが世界のYOSHIKIを動かしたのだ。
それは歌詞を見てもわかる。
歌詞にYOSHIKIらしさが表れていることは言うまでもない。
自分自身が長年かけて作り上げてきた歌詞世界、それを新人のために惜しみなく使った。
SixTONESもそれを自覚していて、インタビューなどで何度もそのことについて語っている。
きっとYOSHIKIの楽曲の世界観を表現するために苦心したのだろう。
素晴らしい歌詞だ。だがここでは出てきているものではなく、出てきてないものに注目したい。
YOSHIKIの世界観によく現れる言葉、tears、つまり涙が無いのだ。
もしかすると、このImitation Rainというタイトル自体に涙という意味を持たせているのかもしれない。
「いつかはたどり着くよ 夢の世界に」
この歌詞はSixTONESに対する応援であるようにも思える。
何故ならYOSHIKI自身もSixTONESの6人へ、夢を信じて、と言っていたからだ。
SixTONESにとってはデビューこそが夢だったに違いない。そしてひとつの夢を叶えたことで、さらに次の大きな夢へとたどり着こうとするだろう。
そのためには彼ら6人の力だけでなく、それを支えるファンの力も必要になるに違いない。
この曲には天才YOSHIKIがSixTONESに向けた思いがいくつもちりばめられているような気がしてならない。
実はこの曲は、意外と楽器数が少ないのだ。
ベースにいたってはほとんど動かないので、存在感は無いも同然だ。
そしてその空いたスペースをSixTONESが埋める形になっている。
ハモりに関しても、実は要所で反進行というクラシックの技術が用いられている。
ハモりと言うと、ひとつのメインメロディーに対して他のメロディが合わせて動くようなイメージがあるかもしれない。
もちろんそうするのが普通なのだが、反進行というのはメインメロディが上がっていくのなら下がり、メインが下がるのなら上がるという逆の動きをする。
元々はクラシックの技術だが、ビートルズがロックの世界に持ち込んだと言われている。例えば、Yesterdayの"had to go"と歌う部分ではメロが上がり、楽器のメロが逆に下がっている。
この反進行は難しい反面、豊かな響きを作り出し、音に広がりが出るのだ。
YOSHIKIはこの曲でこの反進行を使っている。
最後の京本大我ソロの前にある「紅に染まるまで」の「るまで」の部分をよく聞いてほしい。
メロディは下がっているが、ハモりはとんでもない高さにまで順番に上がっているのだ。
こうやってメンバーの声が作るハーモニーで曲を広げ、盛り上げ、その先に現れるのが京本大我のソロ。
凄まじい構成と言わざるを得ない。
最後に注目したいのがアウトロだ。
このピアノリフはイントロから何度も繰り返されるものだが、ここにも仕掛けがある。
このピアノは段々と変化してシンセサウンドになっているのだ。
音色のことを英語でtone(トーン)と言うが、このアウトロで少しずつ移り変わるtoneを演出している。
もしSixTONESへの楽曲提供でなかったら、ここはピアノ音色のままで終わっていたのではないかと思う。
さらに終わり方はきっちりと終止をすることなく、余韻をもたせるように切っている。
その次に来て欲しい音は何か?
これはイントロの音になる。
つまりこの曲を聴き終わった瞬間、物足りなさが残る。その物足りなさを埋めるのは、この曲のイントロ。
永久にループするかのような構成になっている。
この曲にはYOSHIKIの大胆な発想と、緻密な計算、そしてSixTONESへの期待が見て取れる。
Imitation Rainはアイドルのデビュー曲としては型破りだ。
そういうわけで、SixTONESとYOSHIKIは凄いぞ、ということだけがただ言いたかっただけ。
まだ色々と語りたいことはあるが(ジェシーの歌唱力やらダンスやら色々)さすがに長くなりすぎたのでこの辺りで終わろう。
ともかく、これからのSixTONESの活躍に期待したい。
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