若くも、可愛くもない　#8

ゲームをやっていると、クリップを撮りたくなる。
クリップとは、敵を倒している場面だけを切り取った短い動画のことだ。めんどくさくて、SNSの類をやらなくなった僕も、ちょっと前にゲーム用のXアカウントを作って、上手いプレイができたときなどはクリップをアップしている。ただの自己満乙だ。
僕がハマっているフォートナイトというゲームはとても難しい。
他のゲームと比べて使うボタンの数が多いし、新しい要素がどんどん出てくるため、練習しないと上手くならない。もちろん僕も頑張って練習している。ゲームのための練習ってなんだよ、と最初は思ったが、Xで繋がった大人たちはみんな呆れるくらいに練習しているのだ。
しかし、悲しいことに、上手いクリップが撮れたからといって「いいね」がたくさん付くとは限らない。むしろその逆で、上手過ぎると、あまり伝わらないし、上手いプレイを観たかったらプロの動画を観ればいいという話になってしまう。
だったら、面白い動画をアップすればいいと思い、最近はフレンドとバカな会話をしているクリップなんかをアップしている。こっちの方が反応が良くて、「いいね」が100個くらい付くこともある。

だけど、タイムラインで若くて可愛い女の子の自撮りに「いいね」が300個以上付いているのを見るたびに、転生してピチピチギャルになるしかないなと思ってしまう。



～毎週日曜夜に更新～
自主連載企画『２７歳で死ぬと思ってた』
文：寺田功夫
絵：タチカワ(https://linktr.ee/kyotaro071)