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戦争 ”あらゆる犠牲”(九話)

私の祖父母は、戦争を経験した人間です。
たまに帰省してゆっくり話してると、その話が出ることがあります。

そこは、もう人もそんなに残ってない過疎地です。
1940年代でさえ、人が多くはなかった場所。
そう、祖母から聞いています。

それでも、幾度となく警報が鳴ったと聞きました。
東京に向かう爆撃機。
その通過点にあった場所だから、だそうです。

昼でも、夜でも、際限なく警報は鳴った。
そう、言っていました。

だから夜寝るときは、必要物資を枕元に置いていたらしいです。
いつでも避難できるように。

今みたいに、パジャマなんてありません。
普段通りの服装で寝る。
それが当然でした。

夏の暑い日なんて、裸で寝たかった。
そう、冗談めいて言っていました。

祖母だって女性ですから。
お出かけする時は、今も化粧しています。

だからこそ、裸では寝られなかった。
いつ緊急避難しなければいけないか、分からない。
そんな状況で、裸でなんて寝られない。

女性には、そんな悩みもあったのです。
現代では、考えられないような悩み。

会社に遅刻しそう。
だから化粧できない。
髪も整えられない。

大いに結構です。

少なくとも、裸で出社するわけではないでしょう。
でも、昨晩はパジャマでぐっすり寝られたでしょう?

それだけで、貴方は幸せなんです。

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