なぜリアル店舗が苦境に立たされている

リアル店舗の未来はストーリーに有ると思う

 リアル店舗を取り巻く状況は厳しい。
特に、これまでの延長線上でお店を考えると、好転する可能性はないと断言できる。
趣味で喫茶店を作るというのなら止めはしないけど、稼ぐつもりでいるのなら、基本的には考え直すように進言させていただこう。
人の夢を無意に否定する方をドリームクラッシャーとかいうそうだけど、そもそも無策で店舗を使って稼ぐという夢自体が、既にクラッシュしていると思うので、罪悪感は微塵もない。

 では、リアル店舗の未来はどこに求めるべきかということで、いくつかキーワードは思い浮かぶが、最も重要なのはストーリー性だと思う。

 すごく極端な例だけど、ディズニーランドも広義にとらえれば立派なリアル店舗だ。
そして、ディズニーランドへ行く人は、そこでどんな驚きがあるのか、楽しみがあるのか、世界があるのかと行く前からいろいろと妄想し、自分の中でストーリーを練っていく。
そして、実際に足を運んでみると、やはり様々なストーリーに出会い、その空間でしかできない体験を得ることができる。
準備された「ストーリー」と、個人が考えた「ストーリー」が混ざり合い、他に2つとないその人だけの体験となる。
これが、リアル店舗がECや電子世界でのサービスに大きくリードしている部分だ。
電子世界での再現が不可能とは言わないが、現在の技術やコストを考えると、当面リアル店舗を超える時代は来ないだろう。

 そんなわけで、話をスーパーや喫茶店などに戻すと。
如何にしてこの「ストーリー」を提供して、顧客自身が唯一無二の体験をしたと思えて店をでることができるか。
この部分に尽きる。

 うまく表現しているのがスターバックスではないだろうか。
私自身、別にスターバックスをこよなく愛しているとか、そんな自覚は全くない。
しかし、クリエイティブな作業をしたいと思い、どこかゆっくりと没頭できる場所がないかと考えた時、唯一喫茶店で候補に挙がるのがスターバックスだ。
その他は、飲み放題が付くファミレスで、費用対効果を考えるとどう考えてもガストやサイゼリアを選択すべきだと思う。
でも、外せない仕事であればあるほど、スタバに行きたくなる。
あれは、何なんだろうか!?
誰か説明してほしい(笑)
 すっきりと解説できる自信はないが、ち密に計算されたストーリーが随所にちりばめられているからではないかと考えている。
値段設定を考えてみると、どう考えても安くない。
むしろ高い。
でも、その高さが利用する顧客を絞っている。
誰もが利用できない値段ではないけど、誰でも利用したいと思える値段でもない。
つまり、それなりに収入の安定した大人しか、定期的に通わない。
絶妙な設定が、顧客選別に一役買っているのである。
 顧客を選別したら、そこにどんなストーリーをもって空間を演出するのかを考える。
ここからはただの妄想で、別に調べたわけではないが、
”創造的な作業をする芸術家がゆっくりと時間を使って作品を完成させるアトリエ”
そんな感じのストーリーを演出しているのではないだろうか。
だから、Macbookを開いて音楽でも聴きながら、イラストレーターなんかを使って作業をする。というイメージを、なんか私は持っている(笑)

 ストーリーというと、SNS拡散を狙ってみたいな印象を受けられるかもしれないが、それだとたとえバズったとしても、一過性で終わるのだろうと思う。
そうではなく、顧客のことを真剣に考え、練って作り上げられたストーリーを持ち、それをしっかりと表現していることが大事。
そうすれば、SNSでもいいねはもらえるし、末永く愛されるリアル店舗づくりとなるのではないだろうか。
 逆に、ストーリーを持たない、表現できていないリアル店舗は、ネットの世界とガチンコ勝負することとなってしまう。
それは種子島がアメリカに喧嘩を売るような(別に種子島をディスっているわけではないのですが)、そんな無茶な話になってくるだろう。

 だから、無策で出店を試みている人の夢は、既にクラッシュしていると私は思うのだ。

頂いたサポートは、取材の費用やnote用の機材の購入費に充てていきます。