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庭の再生

オンラインフォトアルバムで10年前の夏に裏庭で撮った写真を見てはっとさせられた。何もかもが瑞々しく木々の深緑と芝生の明るい緑をバックに目を刺すような赤や青紫の花の色がすごいエネルギーを放っている。小さなポリ池からあふれ出る茶碗蓮の葉、花。数枚の写真の隅にいまはもういない小さな犬が映り込んでいる。それからの10年の間に不都合なことと近親者の不幸が重なり私は活気を失った。

10年の間に庭が明るさを失ったのは、私が後ろ向きだったから? だったら、庭がエネルギーを取り戻せば、私も前を向けるのだろうか。わからない。あまり深く考えずバックヤードの整頓を始めてみる。庭の整頓は部屋の整頓と全く異なる。庭は適度な雨と暖かな気温が続くと雑草の量が勝手に5倍10倍にと増えていく。やるときには一気にやってカタをつけていかなければ負ける。どっちにしたって8月の残暑の頃には大概わたしのほうが負けるけど。自宅勤務で家にいるとはいえ平日の日中は仕事をしていてまとまった時間はとれないから外仕事は週末が勝負だ。このまえの日曜日は12時間ぶっ通しで庭を掃除した。どこにも行かず自宅の庭を行ったり来たりだけで歩数計は21,497歩を指した。地面にほったらかしで朽ちかけていた木材を集めてファイアーリングでみんな燃やす。腐った丸太が半日かけて白い灰になったのを見て少し心が落ち着く。半端な場所に増殖していた薔薇や芍薬をフェンスのそばに移植する。私の肩ほどの高さまで伸びたヨモギを刈る。植物を移動させて空いた地面は除草し、少し耕してから芝の種をまく。雑草まみれでいろいろぐしゃぐしゃだけど今は後先を心配せずにやるしかない。

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