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意地悪な感想、職業倫理について

通勤途中に気軽に読める本ないかなーとAmazon開いたら、おススメで出た本を読んでみた。ベストセラーらしい。

前半は引き込まれる文体で、「お、これはおもしろいかもしれない」と思えた。労働史と読書を結び付け、読書がどういう風に受容されてきたのかの分析が面白い。
だけど、最終的には労働問題、社会問題に落とされていてガッカリ。
労働史を扱っているから、筋の通っている構成なのかもしれないが凡庸な話に落ち着いてしまっている。
この本を買って読む人の問題意識はみんなが本を読まないことではなく、私が本を読めないことなのではないか。多くの人が本を読まないことは、僕にとってあまり重要ではなく、出版社の問題だ。
みんなが趣味の時間を確保できれば、本を読むという結論になっている。本当にそう?意地悪を言ってしまうと今出版されている本ってみんなが手に取るほど面白いんですか?と聞きたくなってしまう。本が売れないのって時間がないからじゃなくて最近の本が面白くないからじゃないですか、と。
みんなが少しずつ労働から解放されて好きなことに時間を使えるのは良いことに決まっている。自分もそんな環境に身を置きたい。だけど、多くの人はその時間を使って本を読むとは限らない。本以外の面白コンテンツは現代に無限にあるのだ。
だから著者には結論を労働時間の短縮にしてほしくなかった。
ストイックかもしれないけど、一人の物書きとしてもっと面白い本をどうやって書くかを問題にしてほしかった。もっともこの本がそういう本ではないことは承知しているが、職業倫理としてそういうカッコいい姿を観たかった。
偉そうなことを書いてみたが自分はただの消費者なので非常に無責任だ。月に10冊程度しか本を読まないが、その中で可能な限り面白い本を読みたいと思う。物書きの皆さんよろしくお願いします。

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