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ジェフユナイテッド千葉2021シーズン振り返りその1(GK/DF/WB編)

ついに3回目。懲りずに続けます。
ジェフの2021シーズンを振り返り各選手が出場している時間内の得点・失点をまとめました。
意図としては「あの選手がいると点が良く入る」や「この選手がいると守備が安心してみてられる」を数値化してみよう、ということです。

2020シーズンに関してはこちら。

指標としては以下のとおりに得点率・失点率を定義しています。
その選手が1試合プレーしたときの得点・失点の期待値です。

得点率 = (出場時の総得点/出場時間) x 90
失点率 = (出場時の総失点/出場時間) x 90

得点率・失点率のチーム平均との差を貢献指数とします。要はこの数字が大きいほうがその選手が出ているとたくさん点がとれて失点が減っている=チームとして結果が出ているということです。

貢献指数 = (得点率-チーム平均得点率) + (チーム平均失点率 - 失点率 )

また出場時間が全体の何%かも追記しています。

出場時間率 = 出場時間 / チーム総試合時間

出場時間率が高いほど得点率・失点率はチーム平均と近いものになります。貢献指数と出場時間率双方が高いことが大事です。

リーグ戦のみを対象に手作業しています。もしかしたら多少ずれがあるかもしれませんが、おおむねの数字感には差異はでないと思いますのでご容赦ください。

チーム全体

2017-2021の直近5シーズンの間に自動昇格した10チームの平均得点率は1.55、平均失点率は0.88です。2位の5チームで見ると平均得点率は1.48、平均失点率は0.91でした。
得点率1.5、失点率0.9を目指すべき数字と考えてよいでしょう。

2021シーズンのジェフは得点率 1.14 (前年比△0.02) 失点率 0.86 (前年比▼0.36)でした。年間をとおして昇格できるクラブの水準まで守備は改善されました。とはいえ来季は4つも落ちてくるのでもう一つ二つレベルアップしてもらわないと同じような数字はキープできないでしょう。
一方攻撃面はまだまだ物足りません。年間をとおしてみると前半戦の苦戦もひびき昨年から大きな変化はありませんでした。だいぶ改善された後半戦のみを抜き出しても得点率は1.33ですからもう2段階3段階は攻撃面の上積みが必要です。

ゴールキーパー


1 新井章太 (3330分出場 / 88%)
得点率1.19 (△0.05) 失点率0.81 (▼0.05) 貢献指数+0.09

23 鈴木椋大 (450分出場 / 12%)
得点率0.80 (▼0.34) 失点率1.20 (△0.34) 貢献指数 -0.69


開幕前に怪我をした新井章太が6節から復帰するとチーム状態も上向いたことは得点率・失点率にもあらわれています。終盤戦はチームを救うファインセーブの回数は減りましたが冷静に考えれば1試合に2点も3点も止めてる方がおかしいので良い話なのでしょう。昨年は残り10節で新井章太の喝が入りましたが今年はその必要もありませんでした。
鈴木椋大は昨シーズンは出番がなく久しぶりの実戦。安心できる第2キーパーのありがたみを痛感しました。難しい立場ですが腐らず準備してほしい。


センターバック


13 鈴木大輔 (3690分出場 / 98%)
得点率1.17 (△0.03) 失点率0.88 (△0.02) 貢献指数 +0.01

15 チャンミンギュ (2997分出場 / 79%)
得点率1.23 (△0.09) 失点率0.78 (▼0.08) 貢献指数 +0.16

17 新井一耀 (2177分出場 / 58%)
得点率1.12 (▼0.03) 失点率0.83 (▼0.03) 貢献指数 0.00

3 岡野洵 (1722分出場 / 46%)
得点率1.05 (▼0.10) 失点率0.89 (△0.03) 貢献指数 -0.13


3CBなのに4人しかCBがいないというバグった布陣でしたがなんとかシーズンをまわしきりました。

鈴木大輔は出場停止のH松本戦 (0-0)を除く41試合フル出場。当初軽いプレーが散見されたり終盤戦狙われたようなプレイが続いたり左足…?とか多少の不安もありましたが、彼の加入後守備が大幅改善したのは紛れもない事実でした。

チャンは3CBの中央として欠かせない存在となり飛躍の一年となりました。さらなる飛躍が期待できそうだがなんとかもう一年はいてほしいものです。

新井一耀はシーズン後半は右CBのファーストチョイスとなりチャン不在時には中央もつとめました。2得点も決めいいクロスもあり、個人としては攻撃面で進化を見せましたが指数的には攻撃面でプラスをもたらせずあと一歩。

4番手評価の岡野は指数的にも一枚落ちる形になりましたが、およそ半分の時間出場し昨年と比べて出場時間は4倍増。ロングスローの精度もあがったりまだまだ伸び代を感じさせてくれました。

結果的に全員が昨季と比べて大幅に出場時間を増やしたのは経験値的には大きなプラスでしょう(昨対比でチャン+635分、一耀+314分、岡野+1324分)。もう1人中堅CBがいたらこれだけの経験値を積めなかった可能性があるわけですから、これがキチンと来年につながればある意味編成の勝利です。

また髙橋壱晟のCBという新しい可能性が見えたこともこの編成の収穫でした。時間が短いため参考程度ですがリーグ戦2試合半ほど戦って1失点しかしておらず失点率は驚異の0.40。天皇杯の2試合も1失点しかしていないためそこを加味しても400分強出場して2失点で失点率は0.44です。相手との兼ね合いもありますが数字的には抜群にうまくいっていました。

ウィングバック


16 福満隆貴(2248分出場 / 59%)
得点率0.96 (▼0.18) 失点率0.72 (▼0.14) 貢献指数 -0.05

22 小田逸稀 (1827分出場 / 48%)
得点率1.13 (▼0.01) 失点率0.82 (▼0.02) 貢献指数 +0.01

33 安田理大 (1477分出場 / 39%)
得点率1.22 (△0.08) 失点率1.10 (△0.24) 貢献指数 -0.16

25 末吉塁 (1432分出場 / 38%)
得点率1.07 (▼0.07) 失点率0.57 (▼0.29) 貢献指数 +0.22

11 米倉恒貴 (772分出場 / 20%)
得点率0.93 (▼0.21) 失点率1.17 (△0.31) 貢献指数 -0.52

24 伊東幸敏 (492分出場 / 13%)
得点率1.28 (△0.14) 失点率1.28 (△0.42) 貢献指数 -0.29

29 溝渕雄志 (88分出場 / 2%)
得点率1.02 (▼0.12) 失点率1.02(△0.17) 貢献指数 -0.29


4-4-2から3-4-3へと変更して役割が大きく変わったこともありなかなか両翼を固定できませんでした。また3-4-3だと両翼に運動量が求められ90分の出場が難しいことも相まって一人ひとりの総出場時間が短くなっており半分以上の時間出場したのは一人だけ。今季の苦しさの一つはここにあったといえるでしょう。

その最も長く出場したのは当初サイドハーフやセカンドトップで使われていた福満でした。24節唐突に右WBに抜擢されるとそのままポジションをつかみきりました。なかなか得点に絡めない時期が続きましたが35節ヴェルディ戦で爆発すると最後8試合で3得点3アシスト。期待の尹チルドレンがやっとこさ正しい居場所を見つけてくれました。シーズンを通した数値は他のポジション時の成績が足を引っ張っていますが、それでも失点率はチームで最も低く守備での貢献は素晴らしいものがありました。また、WB起用された24節以降に絞ると得点率1.23 (△0.08) 失点率0.58 (▼0.27) 貢献指数 +0.36と抜群の数字でした。

2番目に長く出場したのは前半戦左サイドで大活躍だった小田逸稀ですが、怪我だったのか突然見なくなり終盤戦3試合途中出場のみでシーズン終了してしまいました。前半戦はチーム平均より良い数字を出していましたがチームが良化した後半戦出ていないため数字的には平凡に。あのヘディングはまだ見たい。

安田は終盤戦左右両翼のクローザーとして難しい役割を果たしてくれました。最後の18試合すべてに途中出場しその時間帯でチームは7得点5失点。得点率1.79 (△0.65) 失点率1.28 (△0.42)と試合を殺して終わらせるクローザーにはなれませんでしたが、その得点で追加した勝点は9、失点で失った勝点は-3と収支は大きくプラスでした。この辺がベテランの味ですかね。

後半戦左WBのスタメンとなった末吉は攻撃面が売りだと思っていたのですが数字的には守備の貢献度が高く、とにかく末吉が走れてる間は点を取られていません。今季の出場時間は1432分で本人のキャリアハイではあるのですが、来季はこの倍は出てもらいたいですね。

米倉は今年も怪我に悩まされました。昨年は指数的には非常によくて出ている時間は短いがその間はチームが好転していたのですが、今年は得点率も失点率もチーム平均より悪く厳しい状態です。まずは万全の状態に。

伊東はサイドバックとしてはそつなくプレーしてくれましたがウィングバックとしては失点率も高く低調。サイドの役割が変わりすぎたことによりもっとも被害を受けた形でやや気の毒でした。

溝渕はあまりチャンスをもらえず栃木に再レンタルされましたが栃木では再びチャンスをつかんでいます。移籍後契約で縛ってある千葉戦を除く全試合でスタメン出場。来年どうなるにしても頑張ってほしい。

シーズン終盤の好調の一因は両翼に福満・末吉を置けたことだった思います。この組み合わせで1432分プレーしていますが、その間わずか9失点で失点率は0.57でした。とはいえフルタイムで両翼走らせることは無理なのでここのバックアップを手厚く、というのが来季に向けての課題かもしれません。


後半はこちら



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