(バレーボール学会)育成世代におけるこれからのあるべき指導考察
2018年3月に行われた 日本バレーボール学会 第23回大会 で発表する機会を得ましたので、その発表をブログでシェアいたします。
カテゴリで分断された短期選抜強化の当たり前を打破する試み
このブログ記事の中に、
もしもゼロからチームをつくってみたら(2年半の総括)
という記事があります。
これは、バレーボール部がない学校に新規で部活動を立ち上げ、その始動にあたっては、従来の指導方法や育成プログラムではない、アップデートされたバレーボールの技術指導やコーチングに関わる知見を積極的に取り入れた、3年間という可能な限り長期スパンを見通した無理のない育成を試み、その成果を検証していくというものでした。
今回の発表は、その実践をまとめたものとなります。日本のバレーボールが抱える様々な問題や課題は、一部の関係者や一つのカテゴリ内だけで解決できるものではない、複雑で根深い要因があると考えてきました。
特に、育成年代の指導環境や指導方法の影響がさまざま問題や課題に影響を与えていると考えています。
指導者の強権による選手たちに「やらせる」練習と、型ハメに代表される画一的指導、勝利至上主義から生み出される勝利最短主義の選手へのアプローチ、ブレイクスルーを信仰する修業的な練習・・・こういう日本のバレーボールの育成現場の実情から脱することはできないのか?海外の情報も手に入りやすい現代、日本のバレーボールの育成現場の世界標準化はなされなくていいのか?提言したいと思いました。
アンダーカテゴリーのコーチングをアップデート
なかなかゼロ環境からのスタートの機会に出会うことはあまりないことだと思います。ですから、従来通りのやり方を行うことよりも、少しでも新しい知見を取り入れたものでチャレンジをし、そこから何か成果や有益な結果を得られないかと考え、活動をスタートさせました。
トップカテゴリのアップデートはアンダーカテゴリから
ここからが、実践の内容のより具体的なものとなっています。まずもって心がけたのは、焦らないこと、つまり中学3年の夏の時点でどのような成長がみられるかを試したいということでした。
このブログでも話題にしてきた、育成や指導におけるさまざまな問題や課題に対して、どのようなアクションを実行できるか、机上の空論で終わらせないためにもやってみたものです。
理論だけではなく実践の記録から検証する
ここからが、実際にどのくらいの時間がかかり、どのような変化・変容がなされたのかがわかるようにまとめてみたものです。
もちろん、すべてこの通りに行くわけではありませんし、個人差もあろうかと思います。ただお伝えしたかったのは、やはりある一定期間は、期待して待つ、期待して見守る・・・という、従来型の指導からみれば我慢を要する期間が絶対的に必要であるということでした。
日本バレーのアンダーカテゴリ・育成における厳しい現実
2年間半、楽しく順調満帆だったわけではありません。長い期間、公式試合での勝利や上位大会進出で得られる喜びになかなかたどり着けなかったり、それに伴う指導者としての焦りやジレンマもありました。
しかし、結論としては、得られた成果の方が多かったです。そのメリットは選手だけではなくコーチ(指導者)にももたらされるものだと確信しています。
中学3年生時でのゲーム。小学バレー経験者チームに勝利。
リードブロック、バックアタック、トータルディフェンス、
サーブ&ブロック戦術・・・中学生への導入のスタイルを実現
アンダーカテゴリこそ、グローバルスタンダードが必要
今回の実践は、様々な情報で得られてきた知見や議論を、単なる理想論や机上の空論にせず、具現化してみようというものでした。
しかし、実践のプロセスの中では、どうしても現状の日本のバレーボールの育成現場の風土やシステムの中で、もがき苦しまなければならないことも多かったです。
ぜひ、日本のバレーボール界の育成現場にも変換が生まれ、選手もコーチ(指導者)もバーンアウトしない、世界の流れに追いついた育成が、みんなでなされることを願っております。
この実践には、下にある提案の内容も盛り込んだ取組となっています。ご参考までに。
技術や戦術のグローバルスタンダードへのアップデートも重要ですが、
それ以上に、育成の在り方におけるグローバルスタンダードとアップデートは、喫緊の課題だと考えます。
(2018年)