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忘れまい・・・ゲーリー解任の日

昨日5日の時点で、バレーボール全日本男子監督のゲーリー・サトウ氏の交代が報道され、本日6日に、日本バレーボール協会の記者会見で、後任の監督の発表がありました。

ゲーリー・サトウ監督は日系の米国人で、全日本男子バレーボール史上初の外国人監督として
昨年2月に就任し、2013年のワールドリーグでは最下位に沈み、世界選手権予選では韓国に敗れ、初めて本大会への出場を逃しました。グラチャン2013でも全敗で最下位です。今回の一連の動きやその理由などは、若干記事から垣間見ることができるので、ちょっと記事を集めてみました。

個人的には、ゲーリーさんが提唱しようとしたことは、(すべてを把握・理解しているわけではないけど)絶対、日本のバレー界に資するものだと思います。また、彼は短い期間においても、日本の小中学生バレーの様子を観まわったそうです。そこで感じた疑問を周囲に投げかけ、子どもたちへの指導の在り方にも提言されていたそうです。
だから、ゲーリーさんが短期間で去るのはとても残念な気がします。ですが同時に、後任となった南部さんには、この火中の栗を拾う的な難局にあって、ぜひ頑張ってほしいですね。ですから、誰が良いとか良かったとかということは、ここでは書けないです。

ただ、どうしてこれほどのドタバタ&混乱が起こるのか。
これは、決して観ている人はいい気持ちはしないのは間違いないことだと思っています。まず、バレー関係者はもちろん、そうでない人にとっても「なにやってんの?」と言われてもしょうがない要素として考えられるのは、これまでの経緯で、周囲が期待してもなかなか前に進まない・・・失敗が許されないわけではありません。進歩につながるなら。でもそうじゃない、進歩のない同じ繰り返し感に
閉塞感を持つ人も多いんじゃないかと思います。

・意志決定のプロセスが不透明
・組織としてのガバナンスに疑問
・責任の所在が不透明
・何事にもおいて、分析・総括・根拠が見えない
・説明責任を果たしていない
・(ターゲットも含めた)長期計画・戦略が出てこない

ここは、みんな疑問を感じ違和感を感じているんだと思います。
代表監督の解任劇・・・これは野球でもサッカーでもよくあるわけですが、何かバレーの動きは、いつもしっくりこないのはなぜでしょう?たぶんそういった所に足りない要素があるんだと思います。

さらにこれに加えて、日本のバレーボール界の持つ事情とか背景とかというものが絡んできそうです。まずは、二つの記事をリンクします。

980年代から2000年代にかけて全日本男子バレーは長い低迷の時期を迎え、1992年バルセロナオリンピック以降、3大会連続でオリンピック出場権を失っていましたが、北京オリンピック世界最終予選において、16年ぶりのオリンピック出場を決めました。しかし2008年北京オリンピックでは5戦全敗で1次リーグ敗退、11位タイという結果に終わり、オリンピックで1勝もできなかったのはこれが初。ここで注目すべき動きが。そこで、日本バレー協会は国内外を問わず、広く全日本の監督を「公募」したことです。10名の候補者の中にはオリンピックでチームを上位に導いた外国人監督の名前も挙がったそうです。結局は資金難を理由に植田辰哉氏の続投が決まりました。さらに、北京より前のアテネオリンピックの後にも、外国人監督起用の動きもあったとか。一部の人たちの「危機感」をよそに、何か日本バレー界の独自論理がはたらいてか、現在に至っているわけです。

そこで、先ほどの二つの記事に出ているのが、日本のバレーのために名乗りをあげてくれたにもかかわらず、日本協会に切られた形となってしまった、世界一流のプロの監督のコメントなわけです。
日本の関係者側からの発信と、ベラスコさんやロザノさんのコメント。どちらが説得力あるかというと・・・。さらに触れておきたいのは、ゲーリーをどの程度サポートしていたのか、受け入れ態勢を整えていたかということにも疑問が残ります。ロンドンオリンピックを逃してからゲーリー監督決定まで半年以上も空白があり、そのため監督には全日本選手の選考すらさせず、協会側が作った即席チームで戦って惨敗。本来、責任を取るのはゲーリーじゃなくて協会です。その他協会は、資金難とか、コミュニケーションとか、挙句の果てには「(世界選手権への)出場は確実だと思ってた」とか、「日本人に合わない」などと極めて客観性に欠ける主張までして、ゲーリーを退けたことになります。世界の今のバレーボールに精通した通訳をつけなかった、最低英語を駆使できる、国際性あるコーチやスタッフがいない、外国からプロの指導者を招聘する以上、資金を含めた覚悟がない、ゲーリーに主導権を与えないままの解雇。これで、誰が納得いくでしょうか?
何よりもゲーリー以上に、選手たちがかわいそうです。そして応援しているファンや、バレー愛好者はもっと傷つきます。

なぜ一国のナショナルチームの強化が、言葉によるコミュニケーションや資金を理由にすべてがくつがえるのでしょうか?そんな国ありません。世界から大きく遅れをとっている日本のバレーに合った指導者の方こそいけないんじゃないでしょうか?常に日本のバレーの感覚や知識にないものを供給し、常識を覆すようなことをしないといけないのに。

それから、ゲーリーが提唱し、投げかけたバレーは、継承し、生かすべきだと思います。最後にどこの記事にも書かれていないことで個人的に懸念していることが二つあります。

① 日本バレーの国際的信用度の失墜
② 国内の下部カテゴリ(小中高校)バレーでの独自性の強化

これまでの、日本国外からの指導者に対する、数々の対応に、きっと世界の優秀なコーチたちは、
見放されてくるのではないかと思います。今回報道されている「コミュニケーションの問題」。これを理由としているうちは、信頼など得ることができない。さらにいえば、ゲーリーのバレーとか、考え方が交代の原因であるとは言い切れず、そんな程度の覚悟しかないこと、そして体制を整えられないこと、これで世界の指導者からの信頼を得ることはできるでしょうか?
南部さんも「国際経験」と言われてますが、ホントに世界の強豪に相手にしてもらえるのか心配です。遠征だけでなく、世界の情報の共有だって大きいですよね。同時に、全日本への関心が薄れることで、小学バレー、中学バレー・・・個別のカテゴリでさらに独自の理論が幅を聞かせ、一貫性のない、閉鎖的な世界に拍車がかかるかもと思います。そういった点でもゲーリーという選択肢も悪くはなかったかもと思いますが。

いずれにしても、南部監督の手腕に期待をせざるを得ません。

6日木曜日に、男子バレー全日本ゲーリー監督から南部さんに交代するとの発表があり、いろんな記事が出ています。一日たった後になると、より詳細な内容の記事が出てます。同時に、いろんな側面、見方の記事が出ていることもおわかりになると思うでしょう。いずれにしても、どの記事が正しいかということよりも、これだけ反響が大きいのはどういうことか?というのちょっと考えたいところではと思っています。

ゲーリーの解任といっても、真相は表には出にくいので、どんな人でも憶測が入ると思います。仮に、協会の堕落による、傍若無人な動きなのか、逆に、時間がない中でのギリギリでの苦肉の策なのか、どっちとも考えられる側面もあるのだと思います。
いずれにしても言えるのは、見ている私たちも、ニッポンという枠の中にいて、判断材料が狭められていることが多いということです。ロザノさんが日本の強化は30年遅れていると言われてしまうように、私たち自身が、本来あるべき、強化の方策や組織体制がどうのようなものか・・・そこを分析し把握している人は多くはないと思います。
選手はもちろん悪くない、ゲーリーにも頑張ってほしかった、南部さんも素晴らし人だと聞いている、
でもみんな釈然としない・・・やっぱ協会が悪いんだ。そんな理屈の方が強いと思います。

男子バレー全日本監督の交代については、その他にも記事がいくつか出ていたので、リンクをしておきます。

このように、日本のバレーについて、いろんな角度から、いろんなオピニオンが出ること自体
あまりなかったと思います。なので、個人的にはいいことだと思います。
(それだけ、状況は良くないと言えるかもですが)

下の記事の中にも触れられているのですが、今回の代表監督のゴタゴタについて、個人的に強調しておきたいのは、まずは周囲が、特に協会や指導者が問題を選手のせいにする事自体があり得ないこと。加えていうと、仮に選手が監督に反発したとしても、それを理由に代表監督を解任するというのは組織の判断としては稚拙でもあり得ないこと。三つ目は必ずしも選手の実態としては反発があったとは言い切れない点があり事実が曲げられている点。は指摘しておきたいと思います。

やはり世界に眼を向けること、世界の「情報」を把握し、「知識」とし「判断材料」とする。その中から理由や根拠を見出だし、そこで初めてどこで躓いていて、何がダメなのか。責任はだれにあるのか・・・そういったことがより明確に追及できるんだと思います。もちろん個人的には協会トップの動きには疑問が残ります。それは今回に限ったことではなく、これまで10年20年の動きをふまえた中においてです。Vリーグやプロ化の話題が出た時、男子監督に外国人監督や公募の話題が出た時、なぜ成果が出なかったあの8年間があったのか、バレー人気の低下、バレー離れも言われています。
でも逆に、私たち見守る側が、どんどん「世界に」眼を向けていけば、道が拓けていくこともでてくると思っています。バレーボールはみんなのもの。日本だって、世界の中にあります。

新しくバレーボール全日本男子監督となり、日本初の外国人監督となった、サトウ氏の記事もリンクしておきます。

・「スマートバレー」というキーワード
・日本人は、ボールタッチやコントロールが良い

などなど、コメントの部分が気になってきますね。


(2014年)