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ナイス・コンビ!!

(写真FIVB)

 近年では、嬉しいことに情報メディアも多様化し、地上波テレビ一強の中でなかなかバレーボールの試合を観ることが難しくなっていった一時期に比べ、以前よりもバレーボールのゲーム(試合)観る機会が増えてありがたいですよね。
 そんなバレーボール中継では、実況や解説の方からしばしば発せられる言葉の一つに「ナイス・コンビ!」っていうフレーズを耳にするわけですが、おそらく「ナイスなコンビネーション」という意味で、これは複数人のアタッカーが交錯したりシンクロする攻撃の場面で言われいたりしています。しかもこの表現は、もうここ30年以上前から言われていると思います。

 それで今回は、「ナイス・コンビ」と聞いて、思わず思い出してしまった「名コンビ」=狭い意味でのセッターとアタッカーの2名のコンビネーションで、思わず「よっ!待ってました!」と叫びたくなるものを、懐かしいものから書いてみたくなっちゃいました。
 みなさんは、どんな「名コンビ」ファンでしょうか?

往年の!?バレーボールファンの方にはお馴染みの・・・

「ふじーりー」の愛称でお馴染み、日本代表では「東レライン」と呼ばれるセッター藤井選手とミドルブロッカーの李選手のコンビネーションは、やっぱり「待ってました!」と叫んじゃう爽快感ありますよね。

 日本のバレーボールでも、長い歴史の中で、名場面、名選手による絶妙なコンビネーションにエキサイティングした人も多いのではないでしょうか?

 考えてみると、時代とともにルールや戦術が変わっていく中で、現代のバレーは、まさにトータルバレー。アタックも4枚がシンクロする中にあって、今に比べて昔のバレーボールの方が特定の「コンビ」がクローズアップされやすかったりするのかなとふと思いました。
 ただ逆に、現代のトータルなバレー、より多くの人員がシンクロしていく組織的なバレーが普及していく中においては、旧来の「名コンビ」的なコンビネーションが先鋭化して見えるのかもしれませんね。「ふじーりー」などはそういう意味で魅力があるんだと思います。

 当時は、このコンビここにあり、この人たちがあってのコンビネーションみたいなものがあって、それはそれで、観ていて楽しいものがありました。私もリアルタイムでは観ていないものも知っているのですが、今見てもなぜかワクワクしちゃいます。

バレーボールは、ほとんどのプレーが「ナイス・コンビ」

 中継の実況や解説から聞こえるコンビ、ナイスコンビというフレーズは、大体の場合は、セッターとアタッカーとが織りなす呼吸の合ったクイックや時間差、移動攻撃などを表現するものです。
 しかし、そもそも、バレーボールというのは、ボールの保持ができない、自チームで3回以内のボールヒットでアタックする、ネット上を介してのラリーといったルールの中で、瞬時の判断とあらゆる身体能力を駆使してのチームでのボールゲームです。ですから、サーブを除くほとんどのプレーが、選手間の意思疎通や連携・連動によって行われます。だから「ナイス・コンビ」がアタック以外にもあちこちにあるわけです。何も、セッターとスパイカーでつくる攻撃パターンだけを指すわけではありません。

・サーブとブロック
・3枚の組織的ブロック
・ブロックとフロアディフェンスのトータルディフェンス
・レセプションやディグにおけるフロア上の判断やポジショニング
・リベロのアタッカーの助走誘導
・フェイク・セット
・さまざまなトリックプレー

 いろんな選手によって、いろんな場面で発揮されるコンビネーションは、どれも「ナイス・コンビ!」になるわけです。
 セッターとアタッカーによって生まれる攻撃パターン以外にも、今のすごいプレーは、どの選手とどの選手との素晴らしいコンビネーションで生まれたものなのか・・・。そういう風に見ていくと、もうバレーボールはほぼ全部が「ナイス・コンビ」の連続であることがわかりますね。

 こういった、数々の選手たちの間で見せる素晴らしいコンビネーションは、再現性のあるパターン的なものもあれば、即興性に富んだものもあります。仮に即興性があったとしても、そこには何かしらの意思疎通や共通理解、チームのガイドラインみたいなものがあるんでしょうね。

 さまざまな場面で、選手たちの間の巧みなコンビネーションがどのように形成され、どのように出現していくのか。またの機会に考察してみたいと思います。


(2022年)