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いわゆる「2セッターシステム」を考えると

バレーボールにおける「システム」

セッターはとても育成が難しいです。
それは、セッターゆえの動きの特性が、他の5人と決定的に違うことがまずあります。ムーブ&ストップ、ダッシュ&ストップという動作、落下点での方向転換、求められる広い視野やアイワーク・・・。
さらには、オーバーハンドの技能、トスの精度を圧倒的に要求されること、攻撃力の機能に決定的な影響をあたえるため、その考え方や判断力・決断力が必要だからです。
ですから、育成にはとても手間がかかると思いますし、難しいものです。

時々冗談で言っているのが、理想は、6人全員がセッターをやることのできるチーム。
6人全員がセッターの技能を習得しているとしたら、どんなバレーが展開されるのでしょうか?

現実は、多くてセッターは2枚。ツーセッターシステムです。バレーボールでは、チーム編成においてアタッカーを務める人数とセッターを務める人数を組み合わせて表現しており、キューバ女子のツーセッター(リベロなし)は、「6-2」システムとよんだりします。
 近年では、リベロがセカンドセッターとしての機能を求められ、立体的な攻撃のバレーの一員をなしてきています。

ツーセッターシステムでいえば、有名なのが90年代の世界の女子バレーで勝った、キューバ女子です。コスタ、アゲロの2人で、トスを上げ、それぞれがスパイクやツー攻撃をしかけまくります。

(▼ 6-2のつーセッター制で常勝軍団になった90年代キューバ女子)

しかしながら、当時のキューバがこれほど常勝軍団を作り上げたのに、これが世界モデルとして、広がりを持たなかったことが、僕にとって最近興味深いです。戦術は、一長一短が必ずあります。その選択の中で、よりベターなものを採用していき、戦術の変遷が高度化していくのだと思います。

ここでもわかりやすく書かれているのを読み、
さらにいろいろ考えてしまいます。

2セッターシステムがスタンダード化しなかった?

おそらく、キューバ女子のような「6-2」の全員攻撃型ツーセッターが、世界でも日本でも採用が多数派にならないのは、育成面での困難が、大きいと思われます。試合の中で、セッターが他のスパイカーと同等の攻撃力を持つこと・・・しかもをれを複数人育成すること・・・簡単ではありまえん。

もうひとつは、「バレーペディア」でも言及されていますが、より多彩な攻撃が展開される一方、2人のセッターとの呼吸合わせが必要となり、どちらがセッターでも同じように安定した展開ができるかどうかが、重大なガキとなります。
また「頭脳が複数」あるゆえの危険性もあります。つまり2人のセッター間での呼吸の乱れや躊躇が起こる可能性もあります。

いずれにしても、それほど、セッターの育成が難しく、重要であることが、これらの変遷を見てもわかると思います。同時に、リベロの育成も、これまで、ただディフェンスに優れたスペシャリストだけではなく、戦略的セカンドセッターという、責務が求められるという育成が必要です。

私は底辺の指導普及や強化に携わることがありますが、広くどの子にも、打つ、拾う、トスを上げる・・・それを偏らず、しっかり伝えることの重要性を認識します。
変遷を見ていくのは面白いし、いろんなことが見えてくると思います。


(2011年)