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マイネルの運動質論というものを知って・・・

ドイツの教育学(体育教育学)者クルト・マイネル

「マイネルの運動質論」というものに出会いました。
すぐれたスポーツ運動の経過には、ある特徴的に現れてくる8つの運動の質があるとする理論で、8つの運動の質があるのだそうです。
(クルト・マイネル著 金子明友訳『マイネル・スポーツ運動学』大修館書店、1981年)

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局面構造 ― 運動は準備局面、主要局面、終末局面の3分節である
リズム ― 運動のなかに、緊張と解緊の周期的交替がある
流動 ― 運動が時間的、空間的、力動的に流れるように行なわれる
弾性 ― 落下する身体や飛んでくる用具を受けとめる際に現れる
伝導 ― 運動に、体ないしは関節の運動の順次性がある
先取り ― いま行なわれている運動課題に対して、次に続く運動課題が同調を示す
正確性 ― 運動の結果、経過どちらにおいてもいつも同じように行われること
調和 ― 全体的にぎこちないところがないことを示す

子どもの成長と運動の習得

マイネルによると、「運動は、環界との積極的な対峙の中で発達する」
「環界」・・・物的環境、場所的環境などを指すそうです。
人的環境がもっとも影響するということでしょうか。

人間は全身で、60兆の細胞を持つ
さらにその細胞は、30億の遺伝子で出来ている
その遺伝子のスイッチをONに出来るか、
全ては、適切な時期に、適切な運動を、適切なやり方で学ぶこと
「いつ」「なにを」「どこで」「どのように」練習するのか
がポイントとなりそうです。
運動でも何でも「発達」という言葉は、右上がりを意味せず、
[習得 → 保持 → 消失]の一連の流れが、発達であるといいます。

中学生の時期に見られる「第2次性徴期」というのが、身長が急激に伸びるので、オーバーワークが故障や怪我を生みやすい。また、成長期にあって、運動に狂いが生じてくる時期でもあります。

世で言われている「運動神経」のよさの2つの指標を
・すばしっこさ  ・巧みさ
としてみても、成長期の運動の発達には難しいところがありそうです。

性的成熟期前半の障害と低下の6つの特徴があるようです。
・運動系全体のぎこちなさ
・身体的巧みさの減少
・無駄な動きが増える
・動きにキレがなくなる
・運動学習能力の低下
・やる気のなさや落ち着きのなさが目立つ

その時期を越え、14~15歳以降になると、パワーを得て、完成期へ向かうそうです。
成長期の運動やスキルの発達の支援は粘り強いものが要りそうです。
(大人の)言った通りにならないことの方が多いですね。
その運動習得の過程の「ブラックボックス」に、コーチングがどのようにコミットできるのか。
まだまだ課題が多いです。

(2011年)