見出し画像

シンガポールでバレーボール(2017)

2017年12月末。北海道ヤングクラブ連盟の国際交流事業として、北海道内のヤングクラブ選手の中学生たちとシンガポールに行く機会を得ました。シンガポールには長年バレーボールの国際交流に尽力されている、成田明彦先生がいらっしゃって、今回の国際交流が実現しました。成田先生はシンガポールでバレーボールの普及と指導にあたっておられました。

画像1

 こうして、日本を出て、海外のバレーボールの風を直に感じる機会を得ました。ナショナルチームクラスの試合は、むしろ日本でも国際大会が開かれることもあり、観るチャンスはあっても、アンダーカテゴリのバレーボールのプレーやゲーム、練習やコーチングを観ることができたのが、自分にとってはこの上もないうれしい経験となりました。

画像2

今回は、シンガポールから下の2チームが試合の対戦相手となりました。日本でいうU15の男子チームです。

Catholic High School 公教中学

St Hilda's Secondary School

異国のバレーボールで気付かされたこと

 かねてから、日本のバレーボール環境は、国際的にも大変充実しているというか恵まれていると考えてきました。当たり前ですが、シンガポールとは比較にならないくらいの競技人口が日本にはあり、チーム数や指導者も格段に多いのは国家規模からいっても当然のことです。

しかし・・・
 今回ゲームをさせてもらったチームは強かったです。ボールがなかなか落ちない粘り強いディフェンスがありましたし、セッターやリベロがとにかくうまい。サーブやスパイクもパワフルなものでした。正直驚きました。

 練習はというと、シンガポールの選手たちは集合自体もアバウトな感じでしたし、練習の開始もいつから始まったのか???と思うくらいのなんとなくそれぞれが身体を動かし始めていきます。

 オーバーハンドパス、レセプション、スパイク、何においてもフォームには個人個人に特徴があり、何かフォームを統一や矯正するような練習や指示もまったくありません。

 何か日本のバレーボール環境にいる日本人の目で見たら、果たしてこれで練習になっているのか。いい練習といえるのか。そう思ってしまうような今風の言葉でいえば、ゆるーいものでした。
 シンガポールの選手たちは、一見すると、日本的な視点でみれば、大雑把というか、さほどフォームや姿勢に教え込まれた感じがなく、個性的なものが目立ちました。
 練習はというと、シンガポールの選手たちは集合自体もアバウトな感じでしたし、練習の開始もいつから始まったのか???と思うくらいのなんとなくそれぞれが身体を動かし始めていきます。

画像3

 ところが、いざゲームが始まると、これがなかなか強いわけです。
 指導者の指示に忠実にしたがたい、日々勤勉に練習やトレーニングを積み重ねている日本から来た中学生が、シンガポールの中学生相手に苦戦を強いられている。それ以上に歯が立たない場面の方が多かったわけです。
 練習の光景から感じ取ったものとは、まったくといっていいほどのギアチェンジがゲームにありました。

画像4

 恥ずかしながら、言語があまり堪能ではない私は、彼らの言っていることをすべて理解できませんでしたが、コーチたちが一番声を荒げて言っていたフレーズは、「Why」、「Where」、「Position」という言葉でした。
 なぜ、その位置にいるのか?
 なぜ、そうしようと思ったのか?
 位置取りはどうなっているのか?
こういったことには、妥協を許さない姿勢がはっきりと伝わってきました。そういったコーチからのフィードバックに選手たちも真剣に聞いていたのが印象的です。
 その他には、ゲーム中に騒ぐような声出しやパフォーマンスはなく、常に選手間での話し合いをしている様子が多かったです。
 休憩はしっかりとり、各自自由にやりたいプレーをしていました。遊びとも言えるし自主練とも言えるし、とにかく自分たちでバレーボールをしている雰囲気がありました。

確信に向かい始めたこと

 というわけで、映像から世界のバレーボール、ことさらナショナルチームと言ったトップレベルのバレーボールを観ることはできても、そこまでのプロセスでもあるアンダーカテゴリの日本以外の様子を見たかったわけです。長年求めていたことが1つ実現しました。
 
 自主性や主体性・・・言葉では、その大切さを知っていますし、日本のバレーボールの指導現場では決定的に欠けていることも知っている。しかしそれらを改善することがなぜ必要で、その先にはどんな姿が待っているのか。それらの一端を今回の訪問で見ることができたように思います。

 私の個人的なテーマというか仮説は、

 日本のバレーボールの進化は、アンダーカテゴリのアップデートにある

 ということです。どうやら絶対唯一解ではなくても、必要な要素であることは間違いないようです。
 今回このような貴重な経験を与えていただいた、北海道ヤングクラブ連盟、シンガポールバレーボール協会、成田明彦さんに感謝いたします。

画像5

 私の今後の探究も、バレーボールのアンダーカテゴリの環境や指導風土がどのようにあるべきか。チャンスはそうそうないかもしれませんが、積極的に海外のバレーボールのアンダーカテゴリに焦点をしぼって考察をしていきたいです。


(2018年)