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指導者側・選手側双方の大問題「コミュニケーション能力」

コミュニケーションが致命傷になることも

サッカーの話題になってしまいますが、サッカー日本代表でのハリルホジッチ監督の解任は、W杯が近づいているこのタイミングにおいて、明確な解任理由があるかどうかといった点に多くの人が疑問と関心を寄せましたよね。

真相は、当事者しかわからないことなので、憶測でものごとを論ずるのはよろしくはないのでしょうが、今回のサッカー日本代表の監督解任で話題になったことの中では、

・「コミュニケーション」が代表監督監督の要因としていること
・解任のタイミングが不可解なこと
・選手との関係性が上手くいかなかったことを理由としていること
・強化試合や親善試合などテストマッチでの不振後の解任

といった内容が個人的には大変気がかりなわけです。
バレーボールを観てきている方々は、きっと、以前にバレーボール男子日本代表の監督が初の外国人となったゲーリー・サトウ氏の監督解任劇とリンクした人もいたのではないでしょうか? あの時も、似たような状況がありました。

 解任の真相を憶測では論じられないとは思いつつ、外国人監督一人の手腕や責任を理由に代表監督を終わらせるには、やはり十分な説明が必要なんだと個人的には思うのです。
 「コミュニケーション」不足が、代表監督の第一の理由になり得るのでしょうか?
 サッカーで言えば、トルシエやザッケローニにはできていて、ハリルホジッチにはできなかったこととは何でしょうか?
 同様に、バレーボールのゲーリー解任の真相も、はっきりとした説明や検証がないまま今日に至っているのではないでしょうか?

「コミュニケーション」の問題とは何でしょうか?
言語の問題でしょうか?価値観の問題でしょうか?戦術の理解のことでしょうか?
いくつかの記事でも言及されていますが、日本における外国人監督の不透明な解任で危惧しているのは、世界からの海外からの、日本に対する「信用」に関する問題はあるんじゃないかと思うわけです。

もう一つ、あまり記事などでは言及されていませんが、「コミュニケーション」という以上、発信する側と受信する側の双方向で成り立つ関係性ですから、本来は監督だけではなく、相手側の状況や問題点はなかったのか?というあたりが見えてこないのが、個人的には気になるところです。

日本のバレーボール指導の問題点

「選手のコミュニケーション」に焦点を当てたいのです。

 日本のバレーボールの育成年代での実態は、「選手のコミュニケーション能力」の側面からも、非常にまずい面が体質として残っているように思います。
 子供たち(選手)は、「はい/いいえ」しか返答していない光景があちこちで見られます。しかも、だいたいの場合は指導者の中にはもうすでに答えがあって、それに沿わない場合は厳しい叱咤がなされることもあります。
 選手たちは、もはや、指導者の言う通りに動くことが目標となってしまっていきます。

 これまでも、技術論や戦術論において、日本が世界の中でなかなか追いつけず、溝を開けられている要因に、「育成の在り方」が大きいのではないかと考えてきました。
 実は、「コミュニケーション能力」の課題も、育成世代のうちに培われたものが大きく影響しているのではないかと思うわけです。

 最近では、ようやく日本のバレーボールにも外国人指導者が関わるようになってきました。Vプレミアの特に男子チームでは、外国人指導者を招へいするのが当たり前になってきています。
 彼らは、私たちに日本のバレーボール風土にはない、様々な考え方や知識、スキルを示してくれているはずです。
 もちろん、海外のバレーボールのすべてが正しくて、日本のバレーボールのすべてが間違いだということはないと思います。しかし、日本のバレーボールがここ数十年低迷しているのは事実ですし、この間議論されてきた内容を考えても、今の日本のバレーボールが世界の潮流に乗れていないことも明らかになっています。ですから、やはり外国人指導者がもたらすものや、海外で活躍したキャリアのある日本人の選手や指導者の経験や発想は大事なんだろうと思います。
 そうなると、やはり試されるのは、受信する側なんだろうと思います。
 言語や文化の違いなどは論外な話だと思います。
 時として、外国人指導者との課題に、言語や文化の違いによる相違というのが挙げられますが、これだけグローバル化、国際化が当たり前となっている中で、未だに問題の第一義に挙げること自体、お粗末なことだと思います。
 外国人指導者たちがもたらすもの、「世界の今」に関する情報や知見を、私たち日本人側がどのように受け取るべきか?
 それは、「日本らしさ」を論じる以前の、人が成長し、組織が発展していくために必要なイノベーション・スキル、イノベーション・マインドがあるかどうかの問題にあるような気がします。そういう点で言うと、日本のバレーボール界は、他国との比較以上に、日本国内の他競技との比較においても遅れているように思います。

 「はい/いいえ」しか思考できない選手、常に年長者や立場が上位の者に追従を求められる風土、コート上の即興性や創意工夫が認められにくい練習体質・・・。日本のバレーボールが世界の中で浮上していくキーの1つには、戦術やプレーだけではなく、選手の思考力や行動力、言語活用力を意識的に養っていくことも必要かもしれません。

 そういう意味では、今のバレーボール日本代表男子チームの選手たちは、何か希望の光を感じられるのは自分だけでしょうか?期待してみていこうと思います。

コーチのアンガーマネジメントに(書籍紹介)

ハーバード大学などで教鞭をとったサイコセラピストのエイミー・モーリンという人が著者となっている、

「メンタルが強い人がやめた13の習慣」
(講談社)
という本を今回はオススメします。

この内容は、どんな人にも向けられているものですが、
私は、特に日本のスポーツコーチ(指導者)、
さらに言えば、日本のバレーボールコーチ(指導者)が、
読むべきかなと感じました。

怒鳴る指導、怒りをぶつける指導、
なりふり構わず勝利至上主義に走る指導、
こういった、体質は、
紹介されている①~⑬のマインドが大きく影響していると思います。
私も、恥ずかしながらかつてはそうでした。
そして、そのせいで、たくさん失敗しました。
もう少しはやく、この本を読んでおけば、
読まなくても、気付くことができたらと思います。

① 「自分を哀れむ習慣」をやめる
② 「どうにもならないことで悩む習慣」をやめる
③ 「人の成功に嫉妬する習慣」をやめる
④ 「自分の力を手放す習慣」をやめる
⑤ 「現状維持の習慣」をやめる
⑥ 「みんなにいい顔をする習慣」をやめる
⑦ 「リスクをとらない習慣」をやめる
⑧ 「過去を引きずる習慣」をやめる
⑨ 「同じ過ちを繰り返す習慣」をやめる
⑩ 「一度の失敗でくじける習慣」をやめる
⑪ 「孤独を恐れる習慣」をやめる
⑫ 「自分は特別だと思う習慣」をやめる
⑬ 「すぐに結果を求める習慣」をやめる

バレーボールの指導にあたっているみなさん、どうですか?
みなさん、一度は、①~⑬のどれかで苦しんだことはありませんか?
お恥ずかしいことに、私はほぼほぼすべてに当てはまった
記憶や経験があります。

もっと、肩の力を抜いて、子どもたちの成長やレベルアップを、
楽しく見守っていきましょう!


(2018年)