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スモールステップは、フィードバックや試行錯誤にこそ使え

運動でもなんでもそうですが、成果主義というか達成主義というか、逆に言えばいかに失敗を最小にしていくかという手法があり、そうなると、一つひとつの課題の難易度と、課題と課題の間の段階差を小さくしていきます。
結果、コツコツと課題にはとりくめるけど、細かく多数ある過程を踏んでいるうちに、全体像や真に目指している到達点を見失うことってよくありますよね。

例えば、英語なんかを学ぶ時も、きっとどの人も根底には話せるようになりたい、使えるようになりたいという、願望を持つのですが、学習過程を重ねていくうちに、願望よりも、学習内容や課題を理解せねばならないという強迫観念になり、願望どころか、学ぶ意欲も見失います。いつの間にか「英語」ではなく「英文法」が学習の目的化となったり、使いこなすことよりも、問題の正解を得ることが達成感になったりとです。

運動スキルも同じで、例えば(バレーボール)では、
オ-バーハンドパスやスパイクというのは、習得になかなか時間がかかるため、手取り足取り、部分部分に分けた練習をしがちです。腕はこうだ、手はこうだ、肘はこうだ、脚はこうだ・・・
そうしていくうちに、選手は、行為の目的が言われたことを達成することにすり替わり、本来の願望であるスパイクやオーバーをやりたい、できるように自分で試してみたいという気持ちが薄れていくんじゃないかと思います。
膝を床につけて手の練習をしてできても、次に立ち上がった時にまたできなくなる・・・そういったことってよくありますよね?運動の転移と言ってよいかはわかりませんが、そのようなものはなりにくいものです。

結果、押しつけのスモールステップの弊害は、

① ひとつの運動をパーツごとに分解しつなげることは困難
② 主体者の気づきやコツの感覚を阻害し、かえって習得を遅らせる
③ 主体者の意欲や想像力を奪う
④ 主体者の思考や運動そのものを、スケールの小さなものにする

というところに行きつきます。

まずは、見よう見まねでオーバーパスやスパイクをやってみる。
オーバーパスは、下肢から上半身までのダイナミックな力の伝導を、スパイクではダイナミックな助走やジャンプを。それらを、細かな指導という名の下で、過度に意識しなくていいところを強調し、スケールを小さくしてしまうどころか、ぎこちなくすることだってある。
ただ、あまりにも困難な場合は、「一連の運動過程は削がない」形で、難易度を調節し、とにかく一連の運動のほどよい感覚を、選手自身の感性でつかんでもらう。あとはコツの成功確率を反復で上げてやる。

もちろん、手足の使い方などのようなミクロなアドバイスが必要な時もあります。
でもそれは、個別の限定的なものであったり、意識付けのものであって、一斉練習のメニューにはなりにくいのかなと思います。個々人の「フィードバック」として活用すべきです。

この動画では、最後のポイントで
「全身を使って」と触れられているのがいいなと思います。
ただ、それ以外のポイントにある
「三角形」とかには、ひっぱられすぎないように気をつけたいと個人的には考えています。

(2013年)