童貞を捧げた彼女にフラれまして

今年彼女ができ、28歳で脱童貞した。

出会ってすぐ彼女がぼくを気に入ってくれて、こちらもすぐ心を開いた。

付き合う前に、彼女がぼくの部屋に泊まりに来たことがあった。
彼女は、部屋に着いてすぐ、ベッドの上で寝てしまった。お腹がすいていたぼくは彼女を置いてラーメンを食べに行った。

「一蘭」に行ったことがなかったので、せっかくだし行ってみよう!と一蘭に行った。
一蘭のラーメンを食べて部屋に戻ると、まだ彼女は寝ていたので、自分もそのまま寝た。(歯は磨いた)

あとでそのことを人に話したら、「ベッドの上にもっと未知なものあるのに、何でラーメン屋の店選びで冒険してんだよ。しかもチェーン店で」と言われた。


そんなこんなで交際が始まった。


ぼくが童貞じゃなくなったと聞きつけた劇団「地蔵中毒」の大谷さんから電話がきて「セックスどうだった?セックスどうだった?セックスどうだった?」と聞かれた。

ぼく遅漏みたいなんですよね、と答えると、
「金持ちって遅漏って感じするよね」と言われた。(※土岡はいい家の子)


彼女とは良好な関係で楽しく過ごしていたけど、急に別れがきた。

フラれた理由は、彼女は、「私はこの人の彼女。この人は私の彼氏」みたいな付き合い方に狭苦しさを感じてしまったそう。(彼女の言葉ではなく、ぼくの総括です)

ぼくは、それでも付き合いを続けられないかとお願いした。

その会話は、LINEトークでのやりとり。
お互いがじっくり考えて文章を打つので、LINEのラリーは遅い。
ぼくは、彼女からの返信を待っている間、ふとTwitterを見た。

自分がTwitterを開いたことに引いた。
彼女にフラれそうになってるのに、何を人のツイート見ることがあるんだ。
人間は、ここまでSNSに毒されていたのか。
世界は、ロマンは、スマホの中にあるのか?
このままじゃ人類は、もう二度と月に到達できないぞ。


彼女の決意は固いようで、そこから数日経っても十分な話し合いはできなかった。こちらはまだ別れを受け入れられていない。

でも、薄々と、「片方が別れると決めた時点で別れるしかないよな」とも分かっていた。


なので、それから数日、別れ話が終わったつもりはないけど、失恋したときの立ち直り方をネットで調べた。いいことが書いてあるサイトがあった。

人間は過去の記憶を美化しがち。「記憶に残っているということは、自分にとって相当思い入れのあった出来事なんだ」と思い込んでしまうけど、関係ない。ただ記憶にあるだけ。

相手ではなく、相手といたときの楽しそうだった自分が恋しいだけ。

楽しいときに会いたくなるのは恋だけど、寂しいときに会いたいのは寂しさを埋めたいだけ。
                     (原文と全然ちがう)

あくまで、寂しさを断ち切りたいとき用のドライな極論だと思うけど、これを読んで、別れを受け入れた。


ぼくの部屋にある彼女の私物を届けることにした。それと、彼女に感謝と未練を伝えないと進めそうにないので、手紙も添えた。

それを彼女のマンションまで行って郵便受けにかけ、ぼくの中でも別れの儀、完了。


失恋ソングでも聞こうと思い、ぱっと思いついたのがゴールデンボンバーの「女々しくて」。
こういうときに聞く曲じゃないか、と思った。
でも、驚いた。ずっとギャグソングだと思っていた「女々しくて」が、本気の失恋ソングだと分かった。

あと、「バリバリ最強No.1」を聞いて元気になった。


失恋で思い出した映画で言うと、『シェルブールの雨傘』のオチの情緒もすごいんだけど、SF映画『メッセージ』が効くなぁ、と思った。

『メッセージ』は恋愛映画ではなく、言語学者が宇宙人の言葉を研究して、宇宙人とコミュニケーションをとる話。
この映画を見終わったときに得る教訓は、「あとで失うことになったとしても、手に入れていたときの喜びには代えられない」。


今後どうしても寂しさに耐えられなくなったら、ネットにある怖い話を読もう。
恐怖に震えて、寂しさどころじゃなくなってしまおう。

ホラー映画は、セットを組んで俳優が演じてカメラで撮って、作り手がいるから楽しく観られる。
でも、「怖い話」は作り手の存在を感じないので、本当の話に聞こえちゃうから、怖すぎて嫌い。

失恋の寂しさが大きくなったら、ずっと避けてきた「リゾートバイト」の怖い話というのを読んでみよう。
本当に読みたくない。

サポートは、上空から怪鳥が持っていかなければ、土岡に届きます。