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動的安定性を引き出すための足部機能改善トレーニング

腰部や股関節周囲などの運動器疾患を担当するといわゆるデュシェンヌ徴候やトレンデレンブルグ徴候などの動的不安定性を生じるケースを担当することが多いかと思います。

このような動的不安定性は、動作時に隣接する関節へ過度な負荷を与えて痛みの原因になるため、動的安定性に対する評価から介入が重要となります。

学校などでは、股関節外転筋に対して介入していくことで改善が図れると勉強したかと思います。しかし、実際の臨床では、このような介入だけでは改善度に限界を感じることを多く経験します。

こちらの記事でも紹介しましたが、動的な安定性を得るためには、股関節機能だけでなく、それ以外の機能も股関節と連動・協調することが求められます。


動的安定化のために連動して欲しい機能とは

動作中の姿勢の安定化には、股関節だけでなく以下の機能も必ず求められると考えています。

|動的安定性と足部機能

見逃されがちですが、動的安定化のために重要な機能として足部機能が挙げられます。足部機能の低下は、足圧中心の過剰な偏位を招きそれによって身体重心の偏位にもつながります。

足圧中心の偏位は、骨盤アライメントおよび股関節アライメントにも関係すると考えられています。

普段の臨床では、股関節や腰部疾患のケースでも足部機能の低下によって患部への負荷量が高まり痛みにつながっていることを多く経験します。
高齢者は加齢によって足部機能が低下しやすいと言われており、若年者は足関節捻挫など足部・足関節疾患の既往によって機能が低下していることがあるため、機能評価と既往歴などの問診も欠かさず行いましょう。

|動的安定化につなげるための足部機能

具体的に動的安定化につながる足部機能について見ていきましょう。

足部機能の中でも、長・短腓骨筋や小趾外転筋など外側縦アーチに関与する機能は、デュシェンヌ徴候やトレンデレンブルグ徴候などの前額面上の動的不安定性に大きく影響します。

ハイアーチや扁平足など内側縦アーチの機能に注目がいきがちですが、臨床では、外側縦アーチの機能不全も認められ、それを代償した結果、内側縦アーチの破綻につながっていることを多く経験します。

長短腓骨筋や小趾外転筋は、その筋の走行から第5中足骨を立方骨へ押し付けるベクトルを持つため、外側縦アーチの安定性に寄与していると考えられています。

この機能が低下することで、足圧中心を適切に外方へ移動させることができなくります。それによって、足圧中心が過剰に内側へ偏位したり、上半身質量中心を過度に支持側へ偏位させるような代償運動が見られます。

このような機能不全による代償運動が結果としてデュシェンヌ徴候やトレンデレンブルグ徴候など動的不安定性につながると考えられています。

足部機能改善のための運動療法

ここからは、外側縦アーチの機能を維持・向上させるための運動療法についてまとめていきたいと思います。

|小趾外転筋機能改善トレーニング

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