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オンライン授業のユニバーサルデザイン♯11「なりきりD.J.」

教育新聞の連載「オンライン授業のユニバーサルデザイン」は全10回で終了しましたが、もうちょっと書きたかったこともあったので、noteにて続きを書くことにしました。

これまでの教育新聞での連載はこちらへどうぞ

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全面的にオンライン授業に切り替わることになった昨年4月、まさに暗中模索で試行錯誤してました。授業開始は4月下旬からとなったので、それまでの期間、オンライン授業の下準備にあたりました。少人数の演習やゼミはZoomを使うことにしましたが、大人数の講義はオンデマンドの方が良いと考えたので、授業動画を作成・配信することに。
まず最初に考えたのは教室での授業を撮影・配信する方法。教室にビデオカメラを持っていってセッティングして、いつも通りにパワポのスライドとホワイトボードの板書で撮影してみました。

・・・酷い動画が出来上がりました。いかにも素人がホームビデオで作った作品感満載で、自分が受講者だったら2〜3分ならともかく、とても90分視聴するに耐えないレベルです。音質や画質の悪さだけでなく、なにか根本的なところでこれじゃダメだと思いました。それは自分の話し方。いつもと同じように話してるつもりなのですが、動画では真面目な話しぶりに暗い気持ちになりそうです。
もともと威厳のあるタイプではないし、普段の授業でも楽しい雰囲気でやりたいと思っていましたが、教室でみんな一緒に受講するのではなく、自宅で独りで視聴するシチュエーションを想像すると、オンライン授業ではギアを一段高くする必要があるのかもしれません。

そこでイメージしたのが、深夜ラジオのノリでした。独りで夜中に聴くラジオから流れるパーソナリティの一人喋りで笑ったり感心していた、あのノリで授業をすれば、コロナ禍で不安な学生さんたちにも前向きに学びへの意欲を高めることができるかも。そう思って研究室をスタジオ風にセッティング。DJ風のマイクを備え、小道具に「OnAir」ライトを置いてみたり。オープニングやエンディングテーマを流し、合間に入れるジングルを作ったり。そして喋りも多少大げさに「さぁ、今週も始まりました〜」と、まさに気分はなりきりDJ。もともとミュージシャンになりたかった人間😅、ある意味で夢が叶ったような気がします。

深夜ラジオ風の授業動画は学生さんたちにも概ね好評で、毎回提出してもらう授業の感想や質問は「リスナーからのメール」として紹介。他の受講者の考えを聞く機会がないオンデマンド授業のデメリットですが、感想紹介や質問に回答するコーナーを作ったことで「そんなふうに考えるのか」「自分も同じような疑問を持った」と、一人で受講しているのではなく“つながっている”意識を作ることができたと思います。中には取り上げてもらうためにハガキ職人ばりに文面を工夫してくる人もいました。

テレビやラジオ番組には、不特定多数の人を対象に、わかりやすく飽きさせない工夫が詰まってます。オンライン授業動画を工夫するポイントとして、テレビ・ラジオの番組づくりのノウハウも参考になると思います。

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