なぜアルバム『Elvis Presley』の収録曲は音質にバラツキがあるのか
はじめに、
The Clashの『London Calling』(1979)によるオマージュでも有名なElvis Presleyのデビューアルバム『Elvis Presley (エルビス・プレスリー登場!)』(1956)はロックンロール史に燦然と輝く名作です。
このアルバムは曲ごとに音質のばらつきがありますが、今回はそれぞれの曲のレコーディングされたスタジオを通してその理由を概観します。参考にしたのは以下のサイトです。
Sun Studio -テネシー州メンフィス-
収録曲のうち最も速いレコーディングはI Love You Becauseでした。この曲はメンフィスのSun StudioでThat's All RightとHabor Lightsと同日にレコーディングされました。その後、同じくSun StudioでBlue Moon, Just because, I'll Never Let You Go, Trying to Get to Youが録音されました。
1954年7月5日 I Love You Because
1954年8月19日 Blue Moon
1954年9月10日 Just because & I'll Never Let You Go (Little Darlin')
1955年7月11日 Tryin' to Get to You
RCA Studios -テネシー州ナッシュビル-
RCAに移籍したエルビスは1956年1月10日に移籍後初シングルとなるHeartbreak Hotelと共にI Got a WomanとMoney Honeyを吹き込みます。その翌日にはI'm Counting on Youを録音します。
1956年1月10日 I Got a Woman & Money Honey
1956年1月11日 I'm Counting on You
RCA Studio 1 -ニューヨーク-
場所をニューヨークに移したエルビスはBlue Suede Shoes, One Side Love Affair, Tutti FruittiとI'm Gonna Sit Right Down and Cry (Over You)を録音し、アルバムの曲が全て出揃います。
1956年1月30日 Blue Suede Shoes & One Side Love Affair
1956年1月31日 Tutti Fruitti & I'm Gonna Sit Right Down and Cry (Over You)
聴き比べ
テープの状態のせいもありますが、サン・レコード時代の録音はあまり良いとは言えません。それに対して、RCAの録音ではエルビスの声が生々しく記録されていて非常に迫力があります。特にニューヨークでの録音はエルビスの情熱を余すことなく伝えている気がします。
おわりに、
今回はサン・レコードでの録音は良くないという趣旨になってしまいましたが、Sun Studioのエコーには非常に興味深いものがあります。それは以下の記事を参照下さい。
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