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“絆を運ぶ”想いを描かせていただきました

天蔵幸房の天蔵です。

人の喜びのために筆文字作品を描かせていただくと、幸福感が増し、作家活動の励みになります。

これまで、描き降ろし作品の御依頼は、ほとんどがハガキか色紙でした。
一度だけ、看板(「開店中」「本日終了」「休店日」など)を板に描く御依頼もありましたが、このたび、天蔵にとりましては、過去やったことのない“すごい御依頼”をいただいて、今年(2023年)5月に納めさせていただきました。

御縁のはじまり

御依頼主さまは・・・
茨城県古河市の「宅配クック123古河店」さま。

マネージャーさまが、僕のインスタ(作品)をフォローしてくださったことがきっかけでした。
フォローいただいて以来、積極的に投稿した作品を観てくださっている想いが伝わってきていました。
そして、昨年秋、さくら市喜連川で開催した天蔵作品展に、わざわざ足を運んでいただきました。
さくら市は、僕の住む宇都宮市よりも北にあり、しかも、喜連川は、さくら市の中でも北に位置する地域です。
僕は、月一回、古河市でカルチャーセンターの講師をしていますが、古河市の遠さを感じていました。
だから、古河市から、宇都宮よりもさらに遠い喜連川まで足を運んでいただけたことには、感謝しかありませんでした。

幸座スタート

作品展を観ていただいて、とても喜んでいただきました。
そして、マネージャーさまから、「幸座(筆文字教室)を受けたい」というオファーをいただきました。

最初は、カルチャーセンターで受けていただくことをお勧めしましたが、講座の日は、ちょうどお店の忙しい時期と重なるということでした。
そこで、午後の配達に出られた後の時間を使って、お店で開催させていただくことになりました。
マネージャーさまは、内勤のスタッフさんや知人の方など、積極的にお誘いくださり、何名かの方が興味を持ってくださりました。
初回は、2人でスタートしました。
2回目は、地域で交流のある方が初参加されました。
その後も、己書の楽しさを広めていただき、新しい方がどんどん参加されるようになりました。
今も、この輪は広がっています。
皆さまの積極的な取り組みが、どんどん高まっています。
(おかげさまで、古河市に通う回数が増えたので、今では遠く感じることもなくなってきています)

すごい御依頼

この流れの中で、マネージャーさまから、「過去やったことのない“すごい御依頼”」をいただいたのでした。

なんと、軽トラックの“ハコ部分”に、天蔵作品を描くという御依頼でした。

車体の前方を、“やんちゃ(ワイルド!?)”な装飾で!
側面と後方を、天蔵モードの“まったり(癒し系!?)”の筆作品で!
・・・という最強のコラボレーションを構想されていたのでした。

2月、まだ「これから軽トラックを導入する」という時点でお話をいただいていたのですが、「どんな塗料を使えばいいのか?」「(垂直の状態で描くので)どんなふうに描けばいいのか?」と、あれこれ手探りの状態が続きました。
そして、少しお待たせすることになりましたが、5月に入ってようやく、僕も動き出すことができました。

手探りの時期は長かったですが、描き始めるとあっという間でした。
小さなアクシデントもありましたが、順調に進みました。
今回使用した水性塗料は、普段使っている筆ペンや絵の具とは感覚が違っていましたが、慣れてしまうとスイスイと筆が進みました。
一応、刷毛を用意していったのですが、最初に少しだけ使っただけで、途中からは絵筆で描き進めました。
(やはり、使い慣れている筆が一番です)

構想3ヶ月。
行動3日。
とても楽しかったです。

*****

原案と仕上がりは、こんな感じでした。

<原案(1)>

【きょうも逢いにいきます】

このことばは、お店からの御指定でした。
いつも、配達の時に共有している“想い”ということです。

配達先の皆さまの多くは、一人で生活をされている高齢の方々だそうです。
「逢いに来てもらえた」ことの喜びは、とても大きいのでしょうね。
僕も、一人で生活しているので、他者との関わりのありがたさは強く感じています。
そんな想いをイメージしながら、描き進めました。

そして、こんな感じに仕上がりました。

<仕上がり(1)>

御依頼いただいた際に、「(お店の)黄色い帽子をかぶったお地蔵さん」というイメージもいただきました。
こんな感じでまとめさせていただきました。

<原案(2)>

【届けたいのは あたたかい絆なんです】

「お弁当を持った てんぞーさん*」というイメージをいただきました。
(* 「てんぞーさん」は、天蔵幸房のオリジナルキャラクターです)
ことばの御指定はなかったのですが、「絆」というフレーズが思い浮かんだので、入れさせていただきました。

配達先の皆さまが楽しみにされているのは、お弁当だけではないはずです。
配達員さんの笑顔、言葉、振る舞い・・・これらが詰まった“絆”を楽しみにされているでしょう。
そして、その“絆”がお弁当にも込められていて、美味しさを引き立たせているように感じました。

<仕上がり(2)>

【届けたいのは 絆のぬくもりです】

原案とは、ことばが変わりました。
ぶっつけ本番の作業ですので、“心のままに自由に描く”己書らしく、描き進めるうちに変更も、よくあることです。
文字の配列によって、しょっちゅうアレンジがされます。

おそらく、描いている僕自身の心が、“ぬくもり”というフレーズを呼び寄せたのでしょう。
原案は、作業に行くよりもずっと前にできていたのですが、今回の作業で、あらためて、スタッフの皆さまとの接点をいただき、交流する機会もいただきました。
また、今回の描き降ろし作業の時に、お弁当をいただきました。
お弁当を口にするたびに、皆さまの真心を感じました。
現場の空気は、“ぬくもり”のほうがフィットしたのでしょうね。

<原案(3)>

【笑顔の心で いざ 前進!】

こちらも、ことばの御指定はなかったのですが、背面になるので、実際に配達で道路を走っている時に、後続の車の運転手さんの目に入ることを想定し、その運転手さんに向けてのメッセージをイメージしました。
「運転おつかれさまです。
どうぞ、明るい気持ちで運転を続けてくださいね」
という想いを込めました。
この想いを、宅配クック123さんからのメッセージとして受け止めていただく様子を想像しながら、描き進めさせていただきました。

<仕上がり(3)>

【笑顔の心で 前へ! 前へ!】

こちらも、描き進めながら、ことばが変わりました。
実は、原案を描く前には、頭の中で「前へ! 前へ!」ということばを浮かべていたのです。
結果的には「いざ 前進!」になりましたが、車に描いていると、当初のひらめきのほうがピッタリのように感じました。

また、「とむさん」の御指定があったので、ここに描かせていただきました。
「とむさん」とは、マネージャーさまの御家庭で生活をしてきた“お犬さま”であり、お店の“看板スタッフ”でした。
今は、お空の星になってしまいましたが、今も変わらず、マネージャーさま御夫婦やお店にとって大切な存在です。
今回の御依頼でも、最重要項目のひとつでした。

納品

予想よりも早く仕上がり、無事に作品を納品することができました。
配達から戻ってこられたスタッフの皆さまにも見ていただき、喜んでいただきました。
マネージャーさまにも感動が込められた御言葉をいただきました。

船出

車両は、「天蔵123号」と名付けられました。
そして、5月末日、無事に「天蔵123号」の始動の日を迎えました。
家業を継ぐために、この日で宅配クック123さんを卒業するスタッフさんが、“乗り初め”の任務を果たされました。

「天蔵123号」は、大活躍しているそうです。
配達先の皆さまにも好評のようで、この車両が来るのを心待ちにしている方もおられるそうです。
なかには、玄関先に出て、配達に来るのを待つ方もおられるそうです。

街を走っていると、ずいぶんと目立つので、注目されているとのこと。
取引先さんや福祉事務所のスタッフさんからも、「トラックを見ましたよ」と言われることもあるそうです。
「『前へ! 前へ!』と描いていると、後続車がブレーキを踏むのを忘れるんじゃないの?」というツッコミもあったそうで、たくさんの方に喜んでいただいているのを感じました。

今回は、御依頼ありがとうございました。

よろしければ、サポートをお願いいたします。いただきましたサポートは、今後さらに善い作品を創っていくために活かさせていただきます。