見出し画像

いつか あなたが・・・

御訪問ありがとうございます。


悪循環を断つ

「“あの人”と、つながっていると、お互いに悪意を増長し合うばかりだ」

そして、

「僕の進路は、どんどん揺さぶられていくことになる」

そのように思っていました。


“あの人”を憎んでいたわけではないけれど、心は離れていくばかり。

結局、僕は、“あの人”との関係から離れることにしました。


離れたことによって、僕の心には、余裕が生まれました。

思わぬ機会が巡ってきて、限界を感じていた未来が、どんどんと開かれていきました。


そんな僕の動きを、こっそりと盗み見しながら、“あの人”が舌打ちしている様子を感じました。

だけど、もはや、僕にはどうでもいいことでした。

たまに、生き霊を飛ばしてくることもありましたが、心を波立たせないようにしながら、僕は、目の前の“なすべきこと”を一つひとつこなしていきました。


他人との不調和を抱えながら、平然としていられる人もいるかもしれません。

だけど、僕は、やはり揺さぶられるような弱さを乗り越えられないままでいたのです。

やがて、僕の心の中にも、黒雲に覆われた“思い”が湧き起ってきました。


出逢いの記憶

そんな僕を見るに見かねたのか?

“運命の天使”が、一人の人を思い出させてくれました。


Kさんと出逢ったのは、今から6年前の今頃でした。

聞けば、僕と同じ年に生まれたということ。

Kさんの人懐っこい表情と思いが、僕とKさんとの間を、どんどん近づけていきました。

栃木北部ののどかな地で、奥さんと飲食店を開いていました。

当時、仕事が少なくて、収入にも余裕がなかった僕ですが、自宅から50㎞以上のお店まで足を運ぶ機会が増えていきました。

「せいちゃん、今から来ない?」と呼び出されて、お酒付きの食事に連れて行ってもらい、御自宅に泊めていただくことも何度かありました。

1週間に3~4回、通うこともありました。


すれ違い

やがて、収入の道を広げるために、僕はアルバイトをするようになり、Kさんのお店に行く機会も減っていきました。

本業である筆文字作家と並行して、ストレスの溜まる業種のアルバイトを続けていくうちに、心が重くなっていったのでしょう。

僕は、Kさんと疎遠になり、どんどん心が離れていくのを感じました。

Kさんは、たまに連絡をしてくれていましたが、僕の返信はそっけないものばかりでした。

その年の大みそかに、お店に年越しそばを食べに行ったときに、Kさんがずいぶん遠い距離にいるように感じました。


ずいぶんと御無沙汰することも増えましたが、Kさんを思い出すことは何度もありました。

Kさんも、僕に対して気持ちを向けてくれていたことは分かっていました。


そんな中、第三者を巻き込んで、Kさんと気持ちがすれ違う出来事がありました。

第三者経由で聞いたことだったので、Kさんの本意は推測することしかできませんでした。

直接、確認することもできませんでした。


“心”の会話

今から2年前の初秋。

Kさんが倒れられたという報せを受けました。

「意識を取り戻すことは難しい」ということも聞きました。


僕は、Kさんの“心”を呼び出して、いろいろと語り合いました。

「Kさん、いろいろと無理したのじゃないの?」と、多少は責め口調になったこともありましたが、しばらく、Kさんの“心”と語り合いました。


反省

僕は、Kさんに優しくないこともあったかもしれません。

いや、けっこう優しくなかったかな?

「車で帰らなきゃいけないから」と、お酒の誘いを断ることが増えてきたので、Kさんを残念がらせることも多かったです。

たまに、僕は、無茶なお願いをすることもありました。

Kさんは、僕に気を遣って、断ろうとせずに、なんとかしようしてくれたけど、やっぱり無茶なことばかりお願いしていたのです。


Kさん、ほんとうにごめんね。


面会ができなかったから、お見舞いに行けませんでした。

ならば、お店に行って、奥さんに挨拶しておけばよかったと思いました。

だけど、僕がKさんに言った“わがまま”のために、奥さんがどんなに困ったことだろうかと考えたら、足どりが重くなっていたのです。

ほんとうに誠意のない自分でした。


そして、振り返ります。

僕は、Kさんだけでなく、たくさんの方に迷惑をかけてきたのです。

そして、今もなお、迷惑をかけている人が少なくないのです。


Kさんが倒れられて、何度も何度も、後悔の想いが押し寄せてきました。


冷却期間

そして、冒頭の“あの人”の一件につながります。

Kさんとは、確執があったわけではありませんが、“あの人”とは、悪循環となるような出来事がたくさんありました。

悪循環をくりかえさないためには、冷却期間が必要でした。

僕は、その冷却期間に、「“あの人”のことを悪く思ったり、第三者に悪意を愚痴ったりするのは控えよう」と決めました。

悪意に対するブレーキの意味も込めて、一篇の“ことば”を編みました。


<いつか あなたが・・・>

いつか あなたが 始めるとき

素直に 応援できますように


いつか あなたが 嬉しいとき

素直に 祝福できますように


いつか あなたが 楽しいとき

素直に 笑い合えますように


いつか あなたが 悲しいとき

素直に 支えられますように


いつか あなたが 苦しいとき

素直に 癒せますように


いつか あなたが 終えるとき

素直に 労えますように



呪縛を解く

僕は、“あの人”を許せていなかったのです。

いかにも“いい人”のような顔つきで接してくれていましたが、“あの人”の口から出てくる言葉は、決して美しいものとは言い難いものばかりでした。

今は元気で、楽しめて、交流も増えて、自分を押し通せて、幸せなのかもしれません。

だけど、いいことばかり続くとは限りません。

得たとしても、失うこともあります。

そして、どんなに取り繕った美しさも、やがて朽ち果てていきます。


だけど、僕は、“あの人”と同じ土俵に立って、あやかしの世界を盛り上げていくつもりはありません。

他人を呪って、自分が天下を取ろうとするようなことはしたくありません。

他人の逆境を観て、嘲笑うようなことはしたくありません。

不調和が起きたならば、他人の心を責めるのではなく、自分に過ちがなかったかを常に点検して、自分の心を正していく人間でありたいのです。

だから、あえて、“呪いの詩”ではなく、“慈しみの詩”を描いたのです。


記憶のシグナル

相手が病床に臥してから、優しくなかった自分を悔いるようなことは、くりかえしたくないものです。


「あの時、もっと優しくしておけばよかった」と思うくらいなら・・・

そして、永遠の後悔を残すようなことになるくらいなら・・・

「今、もっと優しくしておこう」と思えるようでありたいです。


そのように気づけば、僕には、まだまだ“優しくできていない”人がたくさんいることを知らされます。


そんな自覚を深めていたら、Kさんのことを立て続けに思い出すことが増えてきました。


振り返れば、先週の半ばあたりから・・・。


旅立ち

今朝、目を覚まし、Facebookを立ち上げたら、Kさんの奥さんの投稿が目に入りました。


先週の木曜日、Kさんがあの世に旅立たれた
・・・と。


いろんな思いが僕の中を駆け巡り、今もなお、Kさんのことが頭に浮かび続けています。


伝えたいこと

「Kさん。

長い2年間でしたね。

58年間の人生、おつかれさまでした。

身体が動かないだけではなく、

社会の流れで、面会が許されず、

奥さんやお子さんたちにも会えなかったけれど、

想いで、家族とつながり、

想いで、家族を労っていたのですね。


そして、楽しい仲間たちとも、

想いで、アクセスし、

想いで、酒を酌み交わしていたのですね。


Kさん。

僕が今、手向ける想いの中には、

「ごめんなさい」が、たくさんあります。


もっと、会いに行けばよかった。

もっと、語りに行けばよかった。

Kさんの作ってくれる料理を、

もっと、食べておけばよかった。

もっと、一緒にお酒を飲んでおけばよかった。

Kさんが楽しめるくらい、

もっと、羽目を外しておけばよかった。


“気にするな”と言うかもしれない。

でも、今の僕は、気にします。

だけど、Kさんが、あの世の空気に慣れて、

この世にいた頃のように、

あの世でも、愛する人たちに優しい笑顔を

浮かべるようになったら、

僕も、その笑顔に、思いきり応えます。


Kさん。

ありがとう。

ほんとうに、ありがとう。

Kさんに逢えて、よかった。

Kさんと語り合えて、よかった。


僕が、Kさんに初めて描いた作品を観て、

『これが欲しかったのよ!』と

喜んでくれた笑顔。

これからも、心の支えにしていきます。


Kさん。

もう一回、言うね。

ありがとう!」


*******

↓こちらも御覧ください。


。oOo。.:*:.。oOo。.:*:.。oOo。
【フォロー大歓迎です!】
☆Facebook(公式)
https://www.facebook.com/tenzo.koubou/
☆Facebook(作品)
https://www.facebook.com/ichigoichie.logosfactory/
☆Instagram(公式)
https://www.instagram.com/onoresho.tenzodoujou/
☆Instagram(作品)
https://www.instagram.com/tenzo_koubou/
☆ブログ
https://ameblo.jp/tenzo-koubou
☆Twitter
https://twitter.com/tenzo_koubou
☆note
https://note.com/tenzo_/

よろしければ、サポートをお願いいたします。いただきましたサポートは、今後さらに善い作品を創っていくために活かさせていただきます。