見出し画像

自画自賛

御縁に感謝です。


“ことば”は多面体。

人それぞれ、観る角度が違い、感じるものもさまざま。


御依頼

いつもお世話になっているKさんから、描き降ろしの御依頼をいただきました。

「『自画自賛』ということばを描いてください!」

Kさんが、御自身の生き方として大切にされていることばだということです。

心を込めて描かせていただきました。

Kさんには喜んでいただけたので、御要望に沿った“思い”を込めることができたのでしょう。


僕が観ていた角度

実は、「自画自賛」と聞いた時に、僕の中で「ん!?」という思いが起きていました。


もちろん、このことばは知っていました。

だけど、“自画自賛”という多面体のことばを、僕は、平面的に、しかも、あまり肯定的ではない角度から観ていたのです。

だから、Kさんから「描いてほしい」と御依頼を受けた時にも、このことばと充分に向かい合えていませんでした。

いくぶんか戸惑いつつも、最大限、肯定的なイメージを絞り出して、描きました。


僕が、この“自画自賛”に対して葛藤したのは、今という時代の空気を吸いながら、思わず知らず築き上げていたイメージがあったからなのです。


肯定的に観れなかった背景

インターネットの進化によって、ブログというものが誕生し、やがてSNSというものが広まりました。

僕も、自分のブログを開設し、SNSで自分のアカウントを設けて以来、全国、全世界にいる方々と交流ができるようになり、ヴァーチャルな人脈が広がりました。

自分の些細な日常を公開することで、会ったことのない方々からリアクションをもらえるということは、驚きでもあり、快感でもありました。

「どこに遊びに行った」とか、「どこで何を食べた」とか、あるいは「誰とオフサイトで会った」とか・・・。

きわめて他愛もない日常を公開し続けるだけで、その投稿を観た側も刺激を受けます。

“日常自慢”

“リア充自慢”・・・

こうしたことを繰り返しているだけで、自分のタイムラインも、交流している相手のタイムラインも、エスカレートしていきます。


僕も、一時期、そういう波に呑まれながら、自分の拙い日常を公開していました。

だけど、ある時期を境に、そういう日常が虚しく感じ始めました。

そして、テンションが下がることで、このヴァーチャルな空間を冷静に観ることができるようになりました。


認められたい!?

近年では、「承認欲求」ということばもよく使われるようになりました。

まさに、SNSで日常を公開することが、承認欲求の典型のように感じるようになりました。


そして、ブログやSNSに関わりながら、数年かけて形成された僕の思考が、「自画自賛」ということばのイメージを、一定の方向に導いていったのでした。


“自慢”は“慢心”となり、その心は天狗のように自己顕示、自己主張を繰り返していきます。

自分の日常を公開して、いかにも幸せそうな姿を演出するところは、「自画自賛」の負の部分を示しているように思ったのです。


他人が存在する理由

この背景には、世の中が、「自己顕示してなければ、やってられない」という風潮になっているからではないかと思います。


今という時代は、さまざまな部分で競争心を激化させています。

情報過多、社会の複雑化、文明の進化・・・

恵まれた時代であると同時に、人と人とのつながりも変化し、溝や距離をつくり出すことも増えてきました。


人がこの世で生きていく目的は、この地上の人生において他者との関わりを通して“人のあるべき姿”を学び、みずからの心、みずからの魂を磨いていくことにあるのです。


生命の数だけ個性があります。

異なる個性の人と縁を持ち、お互いの違いを見つめ、その違いの中から“理解する”ことを学び、みずからの魂の糧にしていくのです。

違いを乗り越えるために、“愛する”という方法があるのです。

自我を押し通そうとして、他を否定し、他を改めさせようとする行為は、“魂を磨く”という目的を放棄していることになるのです。

もちろん、なんでも妥協して、他の言いなりになることが良いというわけではありません。

他を受け入れ、違いを知り、そこから学び、みずからの良い部分を与え、良くない部分を改めながら、心を、魂を、正していくのです。

そして、自も他も善き方向に発展していくのです。


このプロセスをたどるために、“愛の心”が大切で、この心を育むことが人生の柱となるのです。

他を否定したり、排斥したりするうちは、他との調和も成り立ちません。


自画自賛の一面(自己顕示の手段)

「他は、競争すべき存在である」と思うことによって、「負けるのではないか」という不安感を増長させてしまうのです。

だから、“自我”という鎧に身を固め、その鎧で圧倒させようとして、自分をアピールしたがるのです。

“自画自賛”が、見せかけの自分を誇示することになっては、どんどん孤立化するばかりです。

孤立するだけでなく、他を潰そうという行動に走らせるのです。


バイタリティーに満ちていれば、自己顕示していく道を選びます。

そして、「これでもか、これでもか」というくらいに、アピールしていきます。

自分よりもアピール力があると思うような人に対しては、嫉妬心を燃やして、さらに自己顕示していきます。

あるいは、他人の嫉妬心をあおるように、自己顕示を続けていきます。


自画自賛の一面(自己憐憫の克服)

その一方で、バイタリティーが湧かない場合もあります。

その場合は、自己顕示する道ではなく、自己憐憫に浸る道を選ぶ方もいます。

他人や環境に圧倒され、「自分はダメなのだ」と責め続け、どんどん気持ちを消極的にさせていくのです。

このような、自己憐憫の傾向性のある方には、「自画自賛」という考えを持つことによって、自信を持つこともできます。


自分の価値を見失っている時は

あるいは 自分の価値を低く評価している時は

自分で 自分を ほめてみよう


このことに気づいた時、僕は、「自画自賛」という多面体の、プラスの部分を発見したのです。


自画自賛の効用(長寿の秘訣)

「自画自賛」という作品を依頼してくださったKさんは、あと数年で100歳になるという方です。

今も、かくしゃくとして、健康に過ごしておられます。

Kさんの長寿の秘訣が、「自分をほめて、自分で元気づける」ことであるということに気づかせていただきました。


年齢を重ねていくことは、人生の終点が近づいていくことにもなります。

身体の機能も衰えてきて、若さへの諦めが強くなっていきます。

親しかった人がこの世を去る様子を見ることが増えてきます。

そして、愚痴のみが多くなる日々となるのです。


このことは、誰もが“アタマ”では理解できますが、“ココロ”で理解することは、まだまだできません。

(Kさんからすれば)まだ若造の僕も、Kさんが感じておられることを充分に感じ取れないのかもしれません。


Kさんが、長寿を保ち、今もなお元気でいられるのは、日々、「自分を励ます」ことを実践されているからなのです。

自分自身を肯定し、自分自身をほめて、自分自身を元気づけておられるのです。


僕は、Kさんを通して、“自画自賛”の素晴らしい面を観ることができるようになりました。

このことばが持つ力を実感し、このことばを愛することができるようになりました。



自画自賛の心を生かす

慢心による自己顕示には

“謙虚”という 心の栄養を補給して

上手に 自己の人生を繁らせていこう


自己卑下 自己憐憫には

“自分をほめる”ことによって

上手に 自分の未来を拓いていこう


「自画自賛」という生き方が

謙虚と 希望の 種となりますように


僕が心がけていること

SNSに関して、いくぶんかは消極的なこともお話ししましたが、SNSがもたらしたメリットもあります。

もしも、ブログやSNSというものが存在しなければ、自分の作品、自分の思考を伝えることも困難で、ほんとうに限られた領域で止まっていたでしょう。

まだまだ発展途上ですが、僕にとっては、幅広く自分の作品を観ていただけるようになり、想像以上の感化を与えているのを実感しています。

ほんとうにありがたいことだと思っています。


ここ数年の僕のSNSでは、かつてに比べると、自分の日常を公開することは激減しました。

今は、作品公開や筆文字の教室の様子の紹介が中心になっています。


特に、作品に関しては、自己満足に陥ることがないように意識しています。

作品を観てくださった方が、少しでも心を元気にしてもらえたらと願いながら描き、公開しています。

「あの作品、良かったよ!」と言われることもありますが、決して自分の手柄にすることはありません。

その作品を僕に描かしめた、“ひらめきの天使”のおかげだと思って、感謝しています。


“ことば”は多面体。

そのことばが有する、“人を生かす要素”として、これからも描いていきたいと思っています。


↓こちらも御覧ください。


。oOo。.:*:.。oOo。.:*:.。oOo。
【フォロー大歓迎です!】
☆Facebook(公式)
https://www.facebook.com/tenzo.koubou/
☆Facebook(作品)
https://www.facebook.com/ichigoichie.logosfactory/
☆Instagram(公式)
https://www.instagram.com/onoresho.tenzodoujou/
☆Instagram(作品)
https://www.instagram.com/tenzo_koubou/
☆ブログ
https://ameblo.jp/tenzo-koubou
☆Twitter
https://twitter.com/tenzo_koubou
☆note
https://note.com/tenzo_/

よろしければ、サポートをお願いいたします。いただきましたサポートは、今後さらに善い作品を創っていくために活かさせていただきます。