さかさまクレーマー
御縁に感謝です。
今から20年位前のこと。
ファミレスに入って、ランチを注文しました。
その時に応対してもらったホールのお姉さんに関して、そのファミレスの本社に、メールを送ったことがありました。
その店名とお姉さんを名指しで・・・。
「本社に訴えてやる!」
クレームのメール?
いえいえ。
その逆です。
そのお姉さんの印象が、とても良かったのです。
特別にかわいかったとか、美人だったとか、体型が良かったとか、そんな理由ではありません。
対応が、その時の僕の気持ちに強く響いたのでした。
もう20年位前のことなので、どんなやり取りをしたのかは詳しく覚えてません。
おそらく、ランチの内容か、ソースのこと(肉料理のお店だったので)でいろいろと訊いた時に、マニュアルの基本的な対応ではなく、彼女の心からの言葉に胸を打たれたのだと記憶しています。
注文したものが届き、食べている間も、彼女の対応の余韻が続いていました。
食事を終えて、食後の休息をとりながらメールを書いて、お店を出る前に送ったと記憶しています。
「○○店の◇◇さんの対応が、とても良かったです。
おかげさまで、気持ちよく食事できました」
数日後、本社から返信が来ました。
「○○店をご利用いただき、ありがとうございました。
◇◇にも伝えておきます」
(注:当時のメールが残っていないので、正確な文面は不明)
さらに「訴えてやる!」
それから時は過ぎ、今から2年前。
僕がよく利用している“カツを提供してくれる”お店でのことです。
そのお店は、今もよく利用しています。
そのお店に、ぽっちゃり(…というよりは、でっぷり)な感じの、ちょっとオジサンの店員さんがいました。
見た目(体型!?)は威圧感があるのですが、お客さまへの声掛けが親切だったのです。
よく気がつくし、注文を聞く時も、お料理を持ってくる時も、心がこもっていたのです。
何度も通っていると、その店員さんがどの曜日のどの時間帯に入っているかを覚えてしまいます。
入っていると思われる曜日に外食をしなくてはいけない時には、意図的に、そのお店に行くこともありました。
そして、その店員さんの対応を何度か受けるうちに、またしても本社にメールを送りました。
「△△店は、よく利用させていただきます。
店員の□□さんの対応が、とても良いです。
明るくハキハキしていて、お客さまへの心配りが良く、真心と感謝のこもったお声がけのおかげで、いつも気持ちよく食事する時間を過ごさせていただいてます」
数日後、お店の店長さんから返事がありました。
「いつも△△店をご利用頂きましてありがとうございます。
この度は大変嬉しいお言葉ありがとうございます。
□□もとても喜んでおりました。
皆様に気持ち良くご利用頂ける店舗を目指し、従業員一同、これからも精進して参ります。
またのご来店を心よりお待ちしております」
さかさまクレーム
タイトルの「さかさまクレーマー」の意味を御理解いただけましたでしょうか?
どうやら僕は、不定期で、「クレームの逆のこと」をしたくなる衝動に駆られるようです。
感じの良かったことは、誰かに伝えたくなるものです。
できれば、本人の耳に入るように伝えたいものです。
お店での対応が癇に障って、本社にクレームを言うという話は、よく聞きます。
ネットが普及している現代は、ブログやSNSなどで暴露されることも、よくあります。
そういう“クレーム”の話はよく聞きますが、その逆があってもいいかなと思うわけです。
もちろん、店員さんをほめることも珍しいことではないと思いますが、なかなかそういう話は表に出てきません。
ファミレスのお姉さんが、今、どこでどんな生活をしているかは分かりません。
“カツ屋(←声に出して読むと、店名が分かる)”のオジサンは、当時の“感染症対策”による時短営業あるいは休店の影響で退職したのでしょうか、最近はすっかり見かけなくなりました。
ささやかでしたが、気持ちよく食事できたお礼ができたこと、そのことを喜んでいただけたことは、僕も、ほんとうに嬉しかったです。
よく行くスーパーでも
こんなふうに、時々、“さかさまクレーマー”になる僕ですが、最近も、やらかしました。
よく行くスーパーで、「ご意見箱」に、レジのお姉さんのことを名指しでチクりました。
「レジの▽▽さんは、いつも元気な声でお客様を誘導し、速やかな対応をしてますね。
とても気分よく、買い物ができます」
スーパーからは、
「▽▽に伝えたところ、とても喜んでいました。
『ますます、仕事をがんばりたくなった』と言ってました」
という返答がありました。
(その後、▽▽さんは、ますます元気な対応にバージョンアップしました)
思いがつくり出す循環
お店の対応の悪さをチクって、心を曇らせるようなことをしても、悪循環が広がるばかりです。
そんな悪循環が、経営の悪循環を招き、お店だけでなく、お店に関わっている人たちの経済をも悪化させるばかりです。
もちろん、良くない点を指摘することは間違っていません。
指摘することによって経営の改善を促し、経済の循環を良くすることもあります。
ただ、「どのように指摘するか」が問題です。
指摘する言葉に、愛はあるだろうか?
指摘することによって、相手(お店、スタッフ)の心が修正され、心境が向上するだろうか?
指摘する自分自身においても、その言葉は善意に満ちているだろうか?
その言葉に、エゴイスティックな感情が混じっていないだろうか?
愛ある言葉
言葉によって、人を生かすこともできれば、人を潰すこともできます。
「愛ある言葉」は、生きていく上でとても重要です。
人生というカリキュラムの中には、言葉に関する項目があると思います。
それほどまでに重要なことだと思います。
人をほめるには、一円のお金もかかりません。
ならば、気前良く、ほめまくるのもいいと思います。
ほめられたら、その人の心に、“幸せ”が貯まっていくのです。
僕は、欲心もなく、下心もなく、ありのままの想いで3人の店員さんをほめました。
(・・・これがきっかけで、その店員さんたちの心に“幸せ”が貯まるだけでなく、給料もアップすればいいなぁと思ってしまいましたが)
因果応報!?
こんな僕ですが、かつては、言葉で人を傷つけたことが頻繁にありました。
過去に発した言葉がすべて録音されていたとすれば、おそらく、あの世で再生されて、閻魔さまに舌を抜かれるのではないかと思うくらい、失言が多かったです。
そんな僕が、今、「ことばクリエイター」をしているのですから、不思議なものです。
おそらく、この仕事は、「過去を悔い改め、未来にプラスを打ち込むため」に与えられた慈悲の機会なのだと思います。
ほんとうに感謝です。
・・・と言いつつ、今も、たまに良くない言葉を発します。
だから、毎日、言葉に関する反省をしています。
発した直後に「ヤバい!」と気づいたら、その場で反省するようにしています。
この投稿では、3件のお店に対して、名指しで賛辞を送った話をしました。
その時の自分の心境がどんな状態だったかは覚えていませんが、もしかしたら、僕の“悪口カウンター”が限界に達しようとしていた時に、運命の神さまが挽回のチャンスを与えてくださったのかもしれません。
では、今日も、明日からも、“ことば”を調え、“善きことば”を発しながら、周りに光を広げていきます。
そして、どこかのお店で、また“心に響く対応”を受けたら、“さかさまクレーマー”になるかもしれません。
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