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雑記 vol.1

雑記と題したここでは、日常の中でふと思っては、次の瞬間には消えているようなどうでもよくて、でも留めておきたいことを順不同で書き記しておこうというものである。


○ソウゾウリョク

近所の公園から子供達のかくれんぼをする声が聞こえる。高らかに響き渡る「もういいかい」「まあだだよ」よの声はいつの時代も変わることなくそこにあるのがまた良い。子供の創り上げる想像力は素晴らしい。小学生の頃、近所の公園で野球をしていたことを思い出す。そこは小さな小さな広場で、何をするにしてもやや小さいのではないかと思われる、申し訳程度のスペースであったのだが、当時そこを大きなスタジアムかのように想像してプレイしていた。全てを与えられなかったが故に創り上げることができる広大な世界は、とても美しく、その先の豊かな創造力を育むことであろう。

ところでかくれんぼをしている少年少女たちよ、その公園には隠れる場所はせいぜい防火倉庫の裏くらいだぞ。どこへ隠れる。そう思い覗き込んでみると、目を伏せる少年以外見当たらないではないか。少なくともあと二人の声はするのだが。きっとこの子達の中にも大きな世界が広がっているのであろう。あ、見つけた。茂みの中に一人の少女が。


○変わらない店

古本屋からの帰り道、一軒のレストランカフェが目に入る。僕がこの街に越してきた1年目から少なくとも今日までずっとあるその店には入ったことがない。看板のデザインも、醸し出す雰囲気も、蔦の這ったその外観も変わることなくそこにある。一体何を提供している店かもよくわかっていないのだが、少し気になってはいる。しかし一人で入る勇気も虚しく今日に至っている。移り変わりのスピードが早い東京という街では長く同じ状態で留まっていられるのはすごいことなのかもしれない。もしかしたらとても人気のある店かもしれない。しかしその店から外に連なるような列ができているなどということは一度も見たことがない。


○大幅一歩

やや歩幅を広くして降りなければならない階段を想像することはできるだろうか。二歩を使うと一歩が狭くなりすぎ、大幅一歩を余儀なくされるのであるが。その階段を音を立てずにスマートに降りられる人はいるのだろうか。たん、つん、たん、つん、たん、つん。響き渡る僕の大幅一歩を聴きながらふと思ったのであるが、取り分け改善したいわけでも、何か述べるべきことがあるわけでもない。これをビートに曲でも作ってやろうか。

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