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ハビエル・ゴメスデリアニョという男

まず初めに、私は彼の名前を早口言葉で3回言えた試しがない。

同じチームメイトなのに非常に申し訳なく思う。


彼がチームに合流したのはシーズンが始まってしばらく経った10月21日の練習会場だった。

体育館に入るなり一人一人に握手をしながらみんなに挨拶をする彼に最初に抱いた印象は"好青年"。

私のつたない英語を、目を見ながら話を聞き、柔らかい物腰で返してくれる彼は、アメリカとは違った訛りの英語を話すため、最初はちっとも聞き取れなかった。

そして、それをよそに流暢な英語で彼と会話をする谷口大智を見て、少しばかり大智が男前に見えたことを今でも覚えている。

「趣味は何?」
「ゲームはする?」

そう聞くと

「ンー....ナルゥト!!!」
「シップデン!シップデン!」

と片言で"NARUTO 疾風伝"が好きと答える彼がとても可愛らしく感じた。

そんな彼も今では流暢に「オツカレ!」と言ってくる。



私は練習後や試合後に彼をよく1on1に誘う。

身長もさほど変わらない。体格もさほど変わらない。お互いにとって絶好の練習相手なのである。

彼の武器はクイックモーションで打つ3Pとフィジカルだと私は思う。

ドライブを止めたと思ってもレイアップにいくまでにフィジカルで押し返され、タフショットを打たせたと思ったら、悠々と目の前でフィニッシュされる。

身体能力が高くドリブルも器用でゴール下のステップワークも多彩だ。

ディフェンスでは、そのフィジカルを使って守ってくる上に、シュートチェックはボールにではなく顔に手が伸びてくる。

これがまた地味にウザい。

とまぁ、ここまで彼を持ち上げたところで1on1での勝率は私の方が上だということをここではっきりさせておく。



彼はあまり喋る方ではない。
故に彼がどれだけ日本を好きになったのか、
このチームをどう思っているのか私には知る由もない。

ただ一生懸命、お箸の握り方を練習している彼を見ると彼なりに日本に馴染もうとしているのがわかる。

それまで学生だった彼が単身で国を渡り、周りに知り合いも居なければ、食べる物も違う、言葉も違えば文化も違う。そんな何もかもが通じない異国の地で初めてプロとしてプレーをする。

それを自分自身に置き換えると、とんでもない覚悟と勇気が必要で、彼のその大きな決断に感心するばかりである。


シーズンも残り少なくなってきた。

どの選手にも言えることだが、彼もそう。

シーズンが終わった時にやり残した事がないよう後悔だけはして欲しくない。

試合に出たら変わらずそのアグレッシブさを全面に出し、チームが勢いづく起爆剤になって欲しい。

そして、また一緒にガチで1on1をしよう。

えっと...

ハビエ...
ハビエルゴメシュデ...
ハビエルゴメスデリャ...

ハビエルゴメスデリアニョ君!!!

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