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若きプログラミング教育のホープ、春日拓郎先生

父親とその弟子

筑波大学名誉教授にして電気通信大学教授である久野靖先生は、コンピュータがオフィスや家庭に入るかなり前からコンピュータの研究をなさっていました。最初の著作は1980年代に発刊されています。インターネットが一般的なものになるずっと前のことです。

久野先生は、TENTOの最初期から事業に理解を示し、協力してくれました。

たとえば、TENTOの初期のイベントは多く東京都文京区の筑波大学東京校舎でおこなわれていますが、これは久野先生の尽力あって可能になったことです。久野先生はTENTOにとって親父みたいなもんである。そう形容しても決して言い過ぎにはならないでしょう。(先生はいやがるかもしれませんが!)

春日先生は、その久野先生のお弟子さんだった方です。電気通信大学の学生だった春日先生は、久野先生の紹介あってTENTOに参加、ある小学校でおこなわれた10回にわたるワークショップに関わることになります。

「僕の専門はプログラミング教育でした。研究していたのは、Scratchのようなビジュアル言語からProcessingやPythonのような文字ベースの言語に移行するとき、どのような障壁があるか、どんなちがいがあるか、ということです。その10回のワークショップは、まったくやったことがない子が、第1~6回はビジュアル言語(Viscuit、Scratch、micro:bit)、第7~10回はテキスト言語(Processing)をもちいてプログラミングを学ぶというものでした。まさに僕の研究にうってつけのもので、そこでとったアンケートをもとに、卒業論文を書きました」

TENTOサイトの紹介

親御さんの気持ちを知った

大学在学中から、講師として活動されていたということですね。

「そうですね。やってよかったなと思えるのは、やはり自分が何かしら働きかけることによって、子どもたちがプログラミングを好きになってくれたり、興味を持ってくれたりすることです。……あと、最近は保護者の方がどう思うのかな、とよく考えるようになりました」

生徒ではなくて。

「むろん教場には、保護者の方はいないことが多いです。だから見られることを気にしているわけではないのですが、やはりその子がここにいるのは、親御さんの理解や共感があってのことです。そのことがだんだん意識されるようになってきて、それなりに責任感みたいなものが芽生えてきたということでしょうか」

生徒間のコミュニケーションを

TENTOの講義をするとき気にかけているのはどんなことですか。

「新しい子が入ってきたとき、その子がひとりになってしまわないように、ということは考えています。仲間がつくれるように」

具体的には。

「新しい子って、いきなり他の子には話しかけづらいと思うんですよ。ですが、それだと孤立してしまうし、つまらないと思うんですよね。だから、できるかぎり他の子の作品を見たり、話をしたりするように仕向けていきます。仲間に入れるようにしてあげる。僕の場合はゲームの話をすることが多いかな。子どもはゲームが好きだし、僕もすべてのゲームをやってるわけではありませんが、たいがいの話はついていける程度には好きなので。すると、べつの子が、俺もそのゲーム好きだよ、と言いはじめて輪が生まれたりする。学校ではできないような、趣味でつながる友達ができるわけで、それは本人にとってもうれしいことであるはずです」

「とはいえ、中にはそういうのが好きじゃない子もいるんですよ。友達をつくったり、仲間の輪に入ったりするのを好まない。ひとりでいるのが好きな子です。それは決して悪いことではないので、無理に仲間に入れる、ということはしないようにしています。

この子はどういう子かな、なにを望んでいるのかな、ということを見極めるのは、講師の大事な仕事のひとつだと思っています」

春日先生が出演する動画


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