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よその家の水は美味しい

本日もひとしきり、きゅん君と、ぐーちゃんは、
いぬうた市内を散歩と称し、
ぐるぐると、回り歩いて、今はその帰り道なのですが、
かなりの距離を動いたので、
したがって喉が渇いている、おふたりです。
お互い歩きながら顔を見合わせると、
同じことを考えていたことが分かったので、
思わず、ふたり頷いて、一斉に声を上げました。
「そうだ!あそこで飲もう!」
と、言って、飼い主を無理矢理引っ張って、
ある家に向かったのです。
「着いたわね。きゅん。今日も置いてあるかしら?ドキドキ」
「あったよ!よかった!それも新鮮そうだよ!ぐー。やっぱりここは抜群の安定感だね」
ふたりが着いたのは、ある家の玄関先で、
その家は、通りががりのわんこ用にいつもフレッシュな水を、
大きなお皿に入れて置いておいてくれているのです。
早速、渇いた喉を潤すべく、水をゴクゴクと飲んだ、
きゅん君と、ぐーちゃんでした。
「あー!美味い!ここの水はいつ飲んでも美味しいなあ!」
ひとしきり飲んだあと、満足そうに、きゅん君が言いました。
「ぐーも同じくー!ありがたや。ありがたや。このお水は命のお水ね。ここのお宅のお方は実に素晴らしいお方だわ。ぐーもこんな優しい家の子になりたいものでっす!」
ぐーちゃんもカラカラだった喉が潤され、
ホッとしたようです。
「ここの水はこの辺に住んでいる、いぬうた市のわんこはみんな飲みに来るらしいよ。よの家の水は美味しい。って言いながらね」
きゅん君も、一息ついて落ち着いて、そう言いました。
それを聞いた、ぐーちゃんは、
「よそのおうちのお水って美味しいのね。でも、そういえば、ぐーもドッグランで、他の方にぐーの家から持ってきたお水を譲ってあげた時、言われたわ」
と、ふとそんなことを思い出した、ぐーちゃんです。
その発言に、きゅん君が飛びつきました。
どうやら何かいいことを思いついたようです。
「ということは、うちの水も、よその家の水のつもりで飲めば、いつも美味しく飲めるんじゃない?」
きゅん君のそんな提案に、
「それはどうゆうことかしら?きゅん。詳しく聞かせてちょうだい」
と興味を抱いた、ぐーちゃんです。
「分からないか?ぐー。なりきるんだよ。よその家の子になりきるんだよ!」
と、言って、きゅん君が行ったことは。
「オー、ココガ、キュンクント、グーチャンガ、スンデイル、ホシ、デスカ?オット、ココニ、オイシソウナミズガアリマスネ。サッソク、イタダイテミルト、イタシマショウ」
と、きゅん君が何だかカタコトな感じで言って、
「イタシマショウ!」と、ぐーちゃんも続いて言って、
家のお皿に入った水を飲もうとしています。
最初は、ただ、よその子のフリをしただけだったのですが、
それだと、あんまり美味しくなかったので、
「もしかして、よその子くらいじゃダメなんじゃないの?きゅん。いっそ、よその星の子くらいじゃないと」
と、ぐーちゃんがそんな提案をしたので、
今、それを実行したところだったです。
「オイシーデス!トッテモ、オイシーデス!ヤッタナ!グー!」
「ホントダワー!キュン!オイシーワ!」
結果、よその星の子のマネをして、
どうやら成功したみたいですね。
でもそれはマネが成功したというより、それだけ努力したので、
そんなあとに飲んだ水が、またまた美味しく感じた。
ということだと思うのですが。
いずれにせよ、ヨカッタデスネ。キュンクン、グーチャン。

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