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ぐーだけが褒められるのは許せん

ドタドタドター!
いきなりけたたましい音が鳴り響きました。
一体どうしたのでしょう?
いぬうた市の、きゅん君が今まで2階の寝室で、
ゆっくりくつろいでいたと思われますが、
突然、階段を駆け降りて、
1階に降りて来たではありませんか。
ははあ。分かりましたよ。
どうやら、きゅん君、
1階のダイニングルームで、ぐーちゃんが、
ママに抱っこされているのに感づいたんですね。
それで慌てて、自分も来たという訳ですか?
「そうだよ。それの何が悪いの?悪いのは、ママを独り占めにしている、ぐーじゃないか」
と、憤まんやる方ない様子です。
「抱っこだけなら、まだ許せるけど、許せないのは、ぐー、褒められていただろ。大して褒められるようなことやってないくせに」
とは、駆けつけて来た、きゅん君の言い分です。
一方の、ぐーちゃん、
ママに抱っこされているせいか、余裕しゃくしゃくの表情で、
「何言ってるの、きゅんは。ぐー、しっかりママに褒められることしたもん。だからそのご褒美じゃない」
と、きゅん君の言い分を跳ね返します。
しかし、納得のいかない、きゅん君、
「へえ、一体、ぐーがどんな褒められることしたって言うんだよ!何もしてないくせに!」
と、猛然と反発しますが、
「したわよ。ちゃんと。ぐーしたもん。きゅんに教えてあげましょうか?それはですね。ぐー、可愛くママを見つめてあげたのよ」
と、平然とした顔でそう答えた、ぐーちゃんです。
それを聞いた、きゅん君、
「それくらいのことで?褒められたのか」
と、大層びっくりして、上手く言葉が出て来ません。
そこに更に、ぐーちゃんが挑発します。
「きゅんに果たして、出来るかしら?やれるものなら、やってみなさいよ!」
きゅん君、その挑発に乗ります。
「やらいでかい!やってやるよ!やってやろうじゃないか!」
と、言ってから、ぐーちゃんを椅子に座って、
抱っこしているママを、下から、
ジーッと見つめる、きゅん君です。
それも、きゅん君なりの、きゅん君が、
1番自分で可愛いと思う顔で。
そんな、きゅん君にしばらくすると気付いたママが、
テーブルにあった、わんこ用のオヤツ箱から、
オヤツを一切れくれました。
そして、ぐーちゃんにも。
ふたり、大喜びしましたが、そこで、ぐーちゃんが、
ポツリと言います。
「ママがオヤツをくれた理由、きゅんに分かるかしら?きっとママは、きゅんがオヤツ欲しさにママを見てたと思ったのよ。だから、ママとしては、やれやれ仕方ないわ。とオヤツをくれたのよ。ぐーが見つめて、わあ可愛い!と思わず抱っこしてくれたのと訳が違うわ。まだまだ、きゅんはママに可愛さで褒められるには、程遠いわね」
と、手厳しい、ぐーちゃんでしたが、
それでも、オヤツをもらえたんだから、まあ結果オーケー。
なんて、食いしん坊が常に先立つ、きゅん君なのでした。

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