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コンビニ袋はどこに?

本日、いぬうた市は、大変に風が強くて、
そんな中でも散歩は欠かせない、きゅん君と、
ぐーちゃんはママと、いぬうた公園に向けて、
歩いている最中です。
「おっ、風向きがちょっと変わったぞ。ぐー、何だか急に歩き易くなった感じしないか。さっきまで進む方向を逆らって風が吹いていたから、身体が押されて歩き難かったけど、今はその逆だ。身体が風に押されて、どんどん歩ける感じだー!」
と、楽しそうに言う、きゅん君、
実際、先程とは違って、リードでつながっているママを、
引っ張ってリードします。
早歩きに拍車がかかります。
そんな、きゅん君に負けじと、ぐーちゃんも、
スピードを上げて、きゅん君の隣に追いつきました。
こらこら、おふたり、そんなに早く歩いたら、
ママがずっと引っ張られちゃって、大変な感じですよ。
「そんなこと言われても、風さんが、ぐーを押すんだから、文句さんは風さんに言って欲しいわ」
などと言う、ぐーちゃんも、にっこにこの笑顔です。
そのような折、ふたりを追い抜くモノがおりました。
それも、ふわぁーっと、空中を何気なく。
最初に気付いたのは、きゅん君です。
突然、頭の後ろからやって来たモノに思わず声をあげます。
「あやややや!アレは何だ?」
その、隣の、きゅん君の声で、ぐーちゃんも反応しました。
「本当!アレさんは何?白くて、ふわふわと、お宙を浮いていて、突然さん、現れるモノさん、それはなあに?」
ぐーちゃんのそのなぞなぞ的な言い方だと、
答えはお化けっぽそうですが、違いますよ。
答えはコンビニ袋です。
風が強い日、よく何処からか落ちていたコンビニ袋が、
宙を舞っていますよね。
アレですアレ。
きゅん君もそれが分かったようで、
「何だ。コンビニ袋じゃないか。びっくりさせるなよ」
と、正体が分かって、ちょっと安堵です。
しかし、ぐーちゃんは違いました。
「コンビニ袋さんですって?コンビニ袋さんって、コンビニさんで買ったモノさんをお入れになる袋よね。その方が何で空を飛んでいらっしゃるの?」
その、ぐーちゃんの疑問に、きゅん君が答えます。
「おおかた要らなくなったから捨てられたんだろ?コンビニ袋なんて中に何も入っていらなかったら、何にも役にはたたないからな」
そう、きゅん君が言った時です。
きゅん君の発言にムッときたのか、そのコンビニ袋、
急に向きを変え、きゅん君と、ぐーちゃんの、
顔の前に来たのです。
「何だ!こいつ!やんのか?だったら受けて立つぞ!」
「急に、ぐーのお顔の前に来ないで!びっくりするじゃない!」
と、おかんむりなふたりを、更にあおるように、
きゅん君、ぐーちゃんの顔に次々と当たったのです。
「何だ!何だ!進路妨害だぞ!邪魔だ!退けー!」
「ぐーのお顔に何すんのよ!もう許さないからー!」
と、コンビニ袋と、取っ組み合いのケンカをする、
きゅん君と、ぐーちゃん。
そんな風が強い日の出来事でした。

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