カラビナさん、ありがとう
「カラビナさん、いつもありがとうございますー!今日も無事に散歩が終わりましたー!」
と声を揃えて誰かにお礼をしたのは、
いぬうた市と、きゅん君と、ぐーちゃんです。
おふたり、ちょうど今、ママとの散歩から、
自宅に帰って来たところですよね。
一体、誰にお礼をしたのですか?
カラビナさんって、もしかして外国の方?
そのような方、きゅん君と、ぐーちゃんの家に、
いらっしゃいましたっけ?
「違うよ。カラビナさんは人ではないよ」
と、まず、きゅん君が答えてくれました。
続いて、ぐーちゃんが、
「お人ではないけど、いつも、ぐーたちが大変お世話になっているのよ」
えーと、人ではないのにお世話になっているのですか?
何でしょう?何だかナゾナゾみたいですねえ。
「そんなに難しい話じゃないよ。じゃあカラビナさんを僕から紹介するよ。カラビナさんはこちらだよ」
と言って、きゅん君が舌でチロっと舐めたのは、
散歩が終わって、ママがいつもの場所に置いた、
散歩ポーチのベルトについているフックのようなモノでした。
金属で出来た鍵フックのもうちょっと大きいモノです。
それを、ぐーちゃんが改めて紹介してくれました。
「この方がカラビナさんよ。ぐーがいつもお世話になっているの」
そうですか。これがカラビナですか。
それは分かりましたが、
具体的にどうお世話になっているのですか?
「うん、わかったよ」
と、きゅん君がにんまりして言葉を続けます。
「このカラビナさんは普段はどうやら登山グッズみたいなんだ。その場合の詳しい使い方は僕にはよく分からないけど、フックの一部が開閉できるようになっていて、そこに僕ら各々、散歩の時に付けているリードの手持ち部分を入れると、絶対外れないようになってるんだよ」
なるほど。そこまでは分かりましたよ。
でも、そのカラビナにそんなにお世話になっていますかね。
ぐーちゃん、その点はどうですか?
「それがなっているのよー。ママはそうゆうことあんまりないけど、飼い主とのお散歩の時なんてよくあるのよ。ちょっとコケたりして思わずおリードを離してしまうこと。そんな時、ぐーも慌ててパニックさんになったりして、知らぬうちに駆け出してしまったりするのよ。でも大丈夫。カラビナさんにおリードがついていれば、ぐーが何処かに行ってしまうことはないわ。おリードをカラビナさんが引き留めて下さるから」
そうゆうことなんですね。
それでよーく分かりましたよ。
リードをカラビナにつけることによって、
おふたりが何処か迷子にならないようにしてくれている。
と、こうゆうことですね。
「そうゆうことー。カラビナさんは僕らを守ってくれているんだ。安心して散歩に行けるのは、カラビナさんのおかげなんだよ」
そう言って、きゅん君、もう一度カラビナを、
チロっと舐めて、
「カラビナさん、明日もまたよろしくお願いしまーす」
と、ぐーちゃんも続いてカラビナをチロっと舐めました。
こちらからもカラビナさん、
きゅん君、ぐーちゃんをしっかり守って下さいねー。
よろしくお頼み申し上げますー。