ぐーちゃんのおふとんサーフィン
いぬうた市は時が止まったかのような、静かな真夜中です。
きゅん君と、ぐーちゃんもみんな、
2階の寝室で寝静まっています。
スースーとみんな寝息をたてている中、
ときおり、飼い主の寝返りの音が聞こえます。
ぐーちゃんは、基本、飼い主のふとんの上で、
飼い主にちょっと触れて寝ているので、
飼い主が寝返りを打つたびに、影響を受けてしまいます。
そのたびに、ぐーちゃんも身体が動かされています。
しかし、ぐーちゃんも、もう飼い主の寝返りは慣れたもので、
どこか楽しんでいるフシもあるのでした。
「あっ、また波がきたわ。今度のは大きい波ね」
ぐーちゃんは、飼い主の寝返りから起きる、
ふとんの揺れを、
サーフィンに見立てて、楽しんでいるのです。
「ちょっと前に、ぐー、テレビで観たのよね。海の波の上を、長細い板に乗って乗り越えて、楽しんでいる方々を。ぐーも、飼い主が起こす波くらいは寝ながらでも平気で乗り切ってみせるわ」
と、どんぶりこっこ、どんぶらこっ、と、
飼い主がしょっちゅう寝返りする中でも、
全く動じることもなく、寝続けているのでした。
朝起きると、
「あー、今日もよく乗ったわ。きっと、ぐーのおふとんサーフィンの腕は相当なものね。そのうち、ぐーはプロおふとんサーファーになれるんじゃないかしら」
と、今日のおふとんサーフィンのライドに、
満足げな、ぐーちゃんです。
そして、その晩も、ぐーちゃんは、
おふとんサーフィンのライディングに励みます。
明け方、飼い主が一回トイレに起きたときは、
大変な大波が起こりました。
ふとんが反対にめくれたからです。
海底の地面がひっくり返るようなものですから、
これはとんでもないことです。
さすがの、ぐーちゃんもこれには、一旦ふとんから落ち、
ベッドに転がってしまいましたが、
すぐに姿勢を立て直し、ふとんの上に戻りました。
なので、減点も最小値で済んだはずです。
その証拠に、その後、ぐーちゃんが見た夢は、
夢だった、おふとんサーフィンの競技会で、
見事、優勝し、表彰台に立っている夢でした。
この競技会はプロへの登竜門なので、
これで、ぐーちゃんも見事念願の、
おふとんサーフィンのプロサーファーという訳です。
しかし、トロフィーを受け取るのに、ちょっと立ち上がって、
そこで、また飼い主が寝返りを打ったので、
こてん!と、ふとんの上から落ちてしまった、
ぐーちゃんなのでした。
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