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雨の音かな?

ぽつぽつぽつ。
今の、いぬうた市は真夜中で、きゅん君も、
ぐーちゃんも当然ですが、お休みになっていて、
しかし、ふと、外で、ぽつぽつ。
と音が聞こえたような気がした、きゅん君は、
半ば寝ている頭で、「雨かな?」
と思ったのでした。
自宅の2階の寝室のベッドの上で横たわりながら。
「あれ?おかしいな。今晩は雨の気配なんかなかったけどな」
きゅん君、眠い中、疑問が生じます。
「でも、この、ぽつぽつの感じだと小雨だからな。まあ、そうゆうこともあるか。どうせすぐ止むだろうし」
と、この時はあんまり気にも留めなかったのですが、
次の瞬間、ぽつぽつか、ざーざー、に変わったのです。
これには、きゅん君、びっくりして、
「えっ、これはずいぶん降っているじゃないか。そんな予報もなかったような気がするけど。やっぱり当てにならないもんだな。予報って」
と、昨晩、ママが観ていたテレビでやっていた、
天気予報を思い出しながら、そう思ったのです。
「でも雨の音を聞いて寝るのも悪くはないな。ちょっと心が落ち着くような気もするし。朝までに止めば散歩にも影響ないだろうし」
と、きゅん君、ポジティブに考え直して、
改めて寝ようとすると、今度は、ざーざーが、
ごーごー!に変わったのです。
これには、またびっくりしてしまった、きゅん君、
「これはもう豪雨の領域だな。それに強風までも加わっているじゃないか。家は大丈夫だと思うけど、いぬうた市のどこかに被害などなければいいけど」
心配が勝って、眠気もどこかに吹っ飛んでしまったのです。
それで、窓の外の様子を見に行こうと、立ち上がり、
寝ていたベッドから降りて、部屋を出て、
ベランダのある窓のところまで行って外を見ると、
おかしなことに豪雨はおろか、
雨一滴降っている感じがありません。
これには、きゅん君、首を傾げます。
「むむ!どうゆうこと?僕が移動する間に雨はすっかり止んだのかな?おかしいなあ。そんなことってあるのかな?」
と、思いましたが、まあ、実際降っていないんだから、
そうゆうこともあるだろうと、思い直し、
ベッドに戻って、横になると、何ということでしょう。
また、ぽつぽつと雨音が聞こえてきたのです。
「何だよ。また降ってきたのか。変な雨だなあ」
きゅん君、眉をひそめます。
すると、しばらくして、また、ぽつぽつが、
ざーざーに、ざーざーが、ごーごーに雨音が変わったのです。
「もう、何なの!何なの!いい加減にして欲しいもんだなあ。雨!」
と、心の中で思わず悪態をつく、きゅん君、
またベランダの窓まで様子を見にいきます。
そうすると外は雨が降っていなくて、
でも戻ると雨音がして、そんなことを何回か繰り返して、
すっかり疲れて、いつの間にか、きゅん君は、
寝落ちしてしまったのでありました。
で、この、きゅん君の様子を、
ずっと見届けている者がおりました。
それは、きゅん君の隣で寝ていた、ぐーちゃんです。
いや、正しくは寝転がっていましたが、
眠っていませんでした。
ぐーちゃん、この夜は何だか眠れず、
気晴らしに、雨音の口マネをしていたら、
思いのほか、きゅん君が反応し、
これが面白くなって、どんどん、雨音を激しくして、
きゅん君の右往左往を、心の中でゲラゲラ笑っていたのでした。
そうだったんですね。
雨音は全部、ぐーちゃんのイタズラだったんですね。
それで、ひとしきりの、きゅん君の慌てぶりに、
ぐーちゃんも充分満足して、やっとこさ、
これで眠れることが出来たのでした。

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