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ひとりでお留守番

さてと、今日の、いぬうた市の様子は、
どんな感じでしょうか。
空は気持ち良く晴れ渡っていて、
どうやら過ごしやすそうに見受けられますが、
きゅん君と、ぐーちゃんのご機嫌はいかがでしょう。
と、あら、ご自宅にいらっしゃるのは、
きゅん君だけですね。
飼い主が仕事でいないのは分かりますが、
ぐーちゃんと、ママはどうされたんですか?
「それがね。今日は、ぐーのしつけトレーニングがあるとかで、ママとお出かけ中なんだよね」
そうなんですね。
では、今日は、きゅん君おひとりでお留守番という訳ですね。
「ぐーはしつけがそもそもなってないから、これは必要なお出かけだと思うよ。なので僕の今日の使命は留守番さ」
きゅん君、それは立派ですが、
さぞかしお寂しいことですね。
「それがいざひとりになってみると、そうでもないんだよね。うるさいやつはいないし、ママがいないのはちょっと寂しいけど、帰って来たら、その分、僕を可愛がってくれるだろうから、それも楽しみだし。だから久しぶりにひとりもたまにはいいもんだよ」
そうですか。
それは強がって言ってるのでなく?
「違うよ。だって考えてもみなよ。この家のどの部屋も僕の使いたい放題なんだよ。その中でその時の気分で居場所を随時変えたりなんかして、これは何とも優雅というか、真の贅沢とはこうゆうことをいうんじゃないかな」
そうゆうものですか。
何か落ち着かないだけのような気もしますが、
きゅん君がそれでいいんでしたら、別に構いませんが。
「じゃ、今から2階の廊下でちょっと横たわるから。今、あそこはちょうど陽が当たって気持ちいいんだよね」
と、言い残し、移動して行った、きゅん君です。
それで、きゅん君はその後、どうしてたかというと。
最初のうちは自身の言葉通り、陽の当たった廊下で、
寝転んでいたのですが、ある瞬間、ガバッ!と、
突然起き上がりました。
そして周囲を見渡して、何だか落ち着かなそうです。
と、次に寝室のベッドの上に場所を移したのです。
しかしそれも長い時間は続かず、
また別の場所に移動する、きゅん君です。
これが、きゅん君のおっしゃる気分で居場所を変える、
優雅な過ごし方ということなんですかね。
それにしては、ときおり、
「僕は優雅。僕は優雅」
とつぶやいていて、これって、きゅん君、
自分で自分に、無理矢理、優雅。
っていう暗示をかけているように見えるのですが。
そして、しまいには、
「気がつくと、部屋の中、がらん。ぽつねんと僕ひとり。しかし、しかし、これが優雅。それを含めて優雅」
などと言い出し始めて、これは完全に、
寂しくてたまらないようで、その証拠に、
プルルルルー。と、ママと、ぐーちゃんが乗る車が、
帰って来た音が聞こえると、一目散で玄関まで、
駆け寄って行った、きゅん君なのでありました。

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