初ドッグランにて
いぬうた市の新年も何日か過ぎて、今日は、
今年初めてのドッグランに来ましたのは、
誰であろう、きゅん君と、ぐーちゃんです。
この新年1発目の走り初めに、
おふたり気合充分、意気揚々の様子です。
さてっと、車で来たので、駐車場で降りて、
ドッグランまで、ちょっと歩いて、
いよいよ、場内に入ります。
「緊張するな。そういえば、この何日走ってなかったから」
きゅん君が、入り口に入りながら、ぼそっと言うと、
それまでそんなこと考えてもいなかった、
ぐーちゃんにたちまち伝播してしまいました。
「そういえば、ぐーもここのところ走ってなかったわ。ぐー、これからちゃんと走れるかしら」
と、考え出してしまって、
「だいたい走るって、どうゆうこと?どうやれば走ることって、できるんでしたっけ?」
どんどん深みにハマっていき、
いざ走ろうとしても、どうやっていいか?
分からなくなってしまいました。
右前足と、右後ろ足、同時に出したりして、
上手くタイミングが掴めずに、入ったばかりのドッグランの入り口近くで、
右往左往する、ぐーちゃんです。
焦れば焦る程、「どうやったっけ?どうやったっけ?」
と、意識する程、よく分からくなるのです。
「落ち着くのよ。ぐー。大丈夫、ぐーなら出来るわ」
と、自己暗示をかけようとしても、どうにもダメで、
「そうだわ!ぐーったら、走り方を忘れてきたんだわ。去年に!去年に置いたままにしてしまったのよ!それじゃ走れない訳だわ!しまった!しまった!」
そんな風に思ってしまった、ぐーちゃんです。
それでも何度かチャレンジして、
まずは普通に歩いて徐々に早くしていけば、
おのずと自然に走れるハズと、
いろいろやってもみましたが、やっぱりダメで、
とうとう走ることをあきらめた、ぐーちゃんです。
地べたに仰向けに寝転んで、お腹を出して、
「降参!ぐーは降参です。もう走れることは諦めました。ぐー、ぐろっきー」
と、いよいよギブアップ宣言をしました。
遠くでは、相棒である、きゅん君が、ぐーちゃんを、
無情にも放りっぱなしにして、呑気に楽しそうに、
走り回っている姿が見えます。
そんな、きゅん君を見て、ぐーちゃんは思います。
「ぐーは走りを忘れた。でも、きゅんのあんなバカみたいな姿を見て、ぐーは目覚めたわ。もう走る時代って古いのかも。これからの時代はあえて走らないっていうのがトレンドのような気がしてきたわ。これからの時代は、こうやって走らずに寝転んで、太陽さんの日差しをいっぱい浴びる時代よね」
と、ぐーちゃんはそんな思いを深くしていきました。
そこにきて、今日はいい天気で、
日光がお腹に当たって温かく何とも心地よく、
更に考える、ぐーちゃんです。
「走るなんて、思えば乱暴なこと。だからいっそ走ることは捨てて太陽さんに全てに身を任せる。それが平和の第一歩。もう走る時代は去年と一緒に走り去りました、そうよ。新年と共に年号も変わったのです。新しい年号は仰向けです」
とそんな考えに至った、ぐーちゃんでした。
そして、「大体、きゅんを見てれば、よく分かるわ。あくせく走るなんてバカみたい」
と、言った、ぐーちゃんのところに、
その、きゅん君が走ってやって来て、
仰向けで寝ている、ぐーちゃんのお腹を思い切り、
踏んで、そのまま走って行って、
「こらっー!何すんのよ!きゅん!」
と、追いかける、ぐーちゃんです、
ぐーちゃん、どうやら自然と走れましたね。
これで一件落着で、今年もきっといっぱい走るであろう、
きゅん君と、ぐーちゃんです。
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