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あせって食べたら負け

ここは、いぬうた市の、きゅん君と、
ぐーちゃんの自宅ですが、のはずですが、
肝心の、きゅん君と、ぐーちゃんが見当たりませんね?
いつもは、この朝の時間は、ふたり大騒ぎして、
1階やら、2階なんぞを行ったり来たりして、
大変うるさいので、
どこにいるか?すぐ分かるのですが。
と、思ったら、いました。いました。
1階のダイニングルームの隅っこに置かれている、
クレートの中でしたか?
さては、朝ごはんの時間ですね。
ぐーちゃんが待ちきれずに、吠えたので、
どこにいるか?分かった次第です。
きゅん君はよく聞くと分かる小さな声で、
切なくか細い声で鳴いています。
きゅん君も、ぐーちゃんも、今、ママがご飯を、
お皿に入れている最中なので、もうちょっとの辛抱ですよ。
ほら、そう言っている間にご飯の準備が出来たようです。
ママがお皿をふたつ持って、ふたりのいるクレートまで、
持ってきてくれました。
ちょうどいいタイミングなので、ふたりがご飯を食べる様など、
ちょっと実況でもしてみましょうか。
いよいよですね。ここで、きゅん君、ぐーちゃん、
今の心境を、一言お願いできますか?
「悪いけど、それどころじゃないよ。どうやら、僕らを見ておもしろがっているようだけど、僕らにとって、このご飯の時間は本気の勝負なんだ。軽々しく考えて欲しくないな」
これは大変失礼しました。
傍からですと、微笑ましく見えるのですが、
きゅん君は至極真剣に、
このご飯の時間と向き合っていたのですね。
その点では、ぐーちゃんも同じですか?
「当たり前よ!バカなこと聞くもんじゃないわ!ぐーはこの一瞬のために生きているようなものだわ!ひと噛入魂よ。ひと噛み、ひと噛みごとに、ぐーは、犬生を賭けているのよ!」
また怒られちゃいましたね。
しかし、ひと噛み入魂とは初めて聞く言葉です。
ここは、ぐーちゃんの、ひと噛み入魂と、
やらを見せて頂きましょう。
さあ、始まりました。
きゅん君の言うところの本気の勝負の時間。
ぐーちゃんが言うところの、ひと噛み入魂のステージが!
ペースはいつもの通り、ご飯を出された途端に、
マックスのスピードでむさぼり食う、きゅん君と、
対して、ぐーちゃんは、有言実行のひと噛み、ひと噛み、
大事に噛みしめながらも、確実に平らげていきます。
おっと、ここで、きゅん君があんまり急ぎ過ぎたのか、
むせてしまいました。
思わず、口が止まってしまう、きゅん君。
そんなチャンス見過ごす訳ないとばかりに、
ぐーちゃん、
自身のお皿のご飯を食べ尽くしたタイミングで、
何と!きゅん君のご飯まで、食べ始めました。
「ごほっ!ごほっ!ごほっ!って、こらっ!ぐー、僕のご飯まで食べるんじゃないよ!」
きゅん君、むせながら抗議をするも、
「隙を見せる、きゅんが悪いのよ。ご飯は本気の勝負なんでしょ?だったら、きゅんは負けたんだから文句言いっこなしよ。ぐーみたいに、ひと噛み入魂を実践しないで、バカみたく、がっつくから、そうなるのよ」
なるほど。
ぐーちゃんのひと噛み入魂とやら、しかと見せて頂きましたぞ。
どうやら、ぐーちゃんの方が一枚上手だったようですね。
それにしても、稀に見る名勝負でしたね。
では、そろそろお時間です。
次回はまた今晩の夕食で会いましょう。
それではー!

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