ふたりで遊ぼう
おやおや、今日も、きゅん君と、ぐーちゃんは、
いぬうた市のドッグランに来ているんですね。
おや、でも、今日は、いつもとは、
違うエリアにいるんですね。
ここで今更ながら、ご説明をさせて頂きます。
いぬうた市のドッグランは全部で3つのエリアがあって、
それぞれに、大型、中型わんこエリアと、
小型わんこエリアと、あともうひとつが、
ドッグランに慣れていない、わんこのための、
条件付きエリアとなっています。
きゅん君も、ぐーちゃんも中型わんこなので、
いつもは大型、中型わんこエリアに入ることが多いのですが、
今日は、そのエリアに、沢山のわんこが来ているので、
誰もいなかった、条件付きエリアに入った、
きゅん君と、ぐーちゃんです。
と、いうのも、最近、きゅん君なのですが、
沢山のわんこがいると、その中に、
仲良く出来ない、わんこがいることも多くて、
そうなると、ともすればケンカに、
なってしまうこともあるので、
飼い主が、沢山のわんこがいる時は、
事前にケンカを避けるために、
条件付きエリアに入ることが多くなったのです。
「なんだ。あっちには今日、いっぱい仲間がいて楽しくなりそうだったのに、こっちで、ぐーとふたりか。つまんないな」
きゅん君は明らかに不満そうです。
きゅん君は例え、仲良く出来そうもない、
わんこがいたとしても、大勢で遊ぶのが大好きなのです。
一方、ぐーちゃんは何だか嬉しそうです。
家ではお姫様のような振る舞いをして、
大きな顔をしている、ぐーちゃんですが、
一歩外に出ると、てんで臆病で内気な、
ぐーちゃんになってしまいます。
だから、普段、ドッグランに来ても、ぐーちゃんは、
他のわんことはほとんど遊ばす、もっぱら家と変わらず、
遊び相手は、きゅん君、ただひとりなのです。
だから、広い広いドッグランで、きゅん君と、
ふたりだけで走ったり、遊んだりすることは、
ぐーちゃんにとっては、この上なく嬉しいことなのでした。
だけど、ちょっと意地っ張りの、ぐーちゃんは、
そんな態度を素直に出さずに、
「あっちに行けないのは、きゅんが悪いんだからね!誰彼構わず、ケンカを売ったりするからよ!ぐー、きゅんのとばっちり受けて、本当に迷惑ー!もう、どうしてくれんのよ!」
と、心にもないことをわざと荒く言ったりして、
きゅん君を挑発します。
そうやって、きゅん君を怒らせて、
遊びにもっていこうとしているのです。
「態度の悪い若い子がいたら、厳しく接するのも、上の者の役目さ。だったら、ぐーだけ、あっちに行けばいいじゃないか。飼い主に連れて行ってもらえよ。僕はしょうがないから、ここでゆっくり日向ぼっこでもしてるよ」
しかし、きゅん君は、ぐーちゃんの手口は、
お見通しなので、まともに取り合いません。
いざ、リードを外されても、きゅん君は、
さぞ、楽しいだろうなあ。言わんばかりに、
隣のエリアを見ています。
早速、ぐーちゃんが遊びを仕掛けますが、
きゅん君は、最低限の相手をするだけで、
終始おざなりな感じです。
そんな態度の、きゅん君に、ぐーちゃんは、
「きゅん!隣ばっかり見てないで、ちゃんと、ぐーの相手をしなさいよ!ぐーが、きゅんの相手をするのは今だけよ!ぐーがお年頃になったら、きゅんなんて、見向きもしないんだから!」
と、怒りを爆発させます。
それでも、
「そうかい。そうかい。それはよかった。よかった」
と、気もそぞろに、あちらを見たまんまの、
きゅん君なのでした。
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