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ママがマスクを

「アイツったら、本当にムカつくよ!」
と、ある日の、いぬうた市の、きゅん君、
何ですか、とても怒っていますね。
一体、どうしたのですか?
「ぐーも、ぷんすかきてるわよ。これは大変なことなんですから」
あらら、ぐーちゃんもですか?
怒っている中、申し訳ないですが、
その怒っている理由を順番に、
分かりやすく教えてもらえますか?
まずは、きゅん君、アイツって誰です?
「アイツとはマスクだよ!マスク!あんなにイヤな奴はいないよ!だからアイツはあんちくしょうでもいいくらいだよ」
きゅん君も、ぐーちゃんも、マスクに怒っているのですか?
イマイチ意味が分かりませんね。
なので、続けて、何故、マスクに怒っているか?
のその理由を教えてもらえますか?
「そんなの決まっているじゃないか!今日、ママったらマスクをしているんだよ。だから、ママがチューしてくれても、実際はマスクとチューをしている訳さ。こんなことってある?ママと僕とのチューをマスクが邪魔してくれているんだよ!だからやっぱり、あんちくしょうだ!あんな奴!」
これでやっと分かりました。
きゅん君がこんなに感情的になっているのは、
そうゆうことだったんですね。
でも、ママが今日、マスクをしているのは、
別段、風邪をひいているということではなく、
きゅん君と、ぐーちゃんの家の部屋内が、
今日特に乾燥しているので、喉を潤すために、
マスクをしているのでした。
「マスクさんがバイ菌さんとかからママを守って下さっているのは、ぐー、よく分かっているの。でもだからって、ママとチューしたいのに、マスクさんとチューすることになるのは、意味がよく分からないのれす」
ぐーちゃんも複雑な心境のようですね。
そこに、きゅん君がキツい一発を放ちます。
「乾燥は飼い主が加湿器を買えば済む話なんだよ。それを飼い主の怠慢でしていないだけさ。本当に飼い主ったら、僕の邪魔をしてばっかりだ!」
あらあら、きゅん君の怒りは飼い主に飛び火しました。
「ぐーはいい乾燥対策さんをママに教えてあげたいの」
おっ、ぐーちゃん、乾燥対策をお持ちですか?
で、それは、どうゆう方法ですか?
「それは簡単よ。ぐーはいつもやってるわ。それはお鼻をお水につけるだけよ。だから、ぐーはしょっちゅう、お舌でお鼻をペロッと舐めて、お鼻が乾かないようにしているのよ」
確かに、わんこはよくお鼻をペロッと舐めますが、
ママはどうでしょう。
舌がお鼻に届くわんこと違って、
ママは届きませんからねえ。
その方法はちょっと。
「だったらいっそ、僕がママのマスク代わりになるよ。僕もそれくらいの覚悟はあるよ」
きゅん君、それはどうゆう意味ですか?
何かの比喩ですか?
「いやいや、そのままのストレートな意味だよ。僕がママの口先に張り付いて、ママの口に入ろうとするバイ菌から常に守るんだよ」
その意気込みは素晴らしいとは思いますが、
全く現実的ではないですね。
やっぱり加湿器を買うのが、1番いいんですかね。
そんな、きゅん君、ぐーちゃんのけんけんがくがくな、
やり取りがあった、その夜のこと、
お風呂から上がって、すっかり潤ったママは、
マスクをしていないその口で、きゅん君、ぐーちゃんに、
早速チューをしてくれて、先程までの不満は、
それで一気に吹っ飛んで、おふたりの心も、
同時に潤ったのでありました。

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