くまとり
"切らないくまとり8万円!"
やってみようかな...
Instagramに出てきた大手クリニックの広告に釣られ興味がわいた。カウンセリングに出向く。
「お客様の場合、内腿の脂肪を移植した方がいいですね」
見積もりは37万だった。ダウンタイムも一ヶ月あると言う。クリニックで"お客様"と呼ばれて気持ちが萎え、結局やらなかった。
それから半年が経ち、ひょんなことから知り合ったナースを抱いた。あのクリニックに勤務していると言う。
「え?絶対やった方がいいよ!私もやったもん」
確かに彼女は年齢よりも若く、目元も美しかった。身体をくねらせ僕の上で乱れる彼女は、ドクターの言葉よりも説得力があった。
数週間後、僕はまたクリニックにいた。前回と違うドクターが言う。
「お客様の場合、たるんだ皮膚を除去して縫い付けた方がいいですね」
見積もりは70万だった。そのまでしなくていい、僕は37万の手術を受けた。
手術室で紙パンツいっちょになる。正面、横、斜めを向いて写真を撮られる。内腿の付け根の毛を剃られ、いつしか麻酔が効き眠りについた。
目が覚めるとドクターと3人のナースが僕をら覗き込んでいた。右手に点滴、左手に血圧計、ピコンピコンと心電図が鳴る。
目の下のくまをちょこっとケアしたいだけだったのに、こんな大掛かりになるなんて...。
それからまた1週間が経過した。目は腫れすこぶる痒い。だらしのないスケベそうな顔をしている。まるで別人だ。僕は慌ててあの子を呼び出した。
約束どおり、クリニックの制服を持参した彼女は、いつもより興奮していた。
「激しい運動は避けるよう言われたけど?」
「大丈夫、激しいのは私だから」
彼女が絶頂に達したのを確認し、僕も果てた。
「ねぇ、この目このままじゃないよね?」
「まだ腫れてるだけ、あと2週間経てばきれいになるよ」
そうでなきゃ困る。今の顔は気に入らない。
2週間後、彼女とまた会う約束をした。
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