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OperaVision 2023年7月配信のオペラ

OperaVisionは、世界中のオペラをyoutubeで無料配信してくれるチャンネルです。

日本の国立新劇場も加盟しており、たまに配信されています(2023年7月現在『ボリス・ゴドゥノフ』配信中)。
昨年ようやくその存在に気付き、時々見ているのですが、有名作品から全く聞いたことのないような作品まで、多種多様な物が見られて楽しいです。
無作為に配信しているわけでもなく、一か月オルフェウス系だけを配信し続けるオルフェウス特集をしたり、ブリテン&ブリテン祭りをやったりとバラエティに富んでいます。
大体週一で更新され、概ね半年くらいの間配信されるようです(時々すぐ配信が終わってしまう作品もあるので気は抜けないですが)。
字幕は基本原語と英語と上演した国の言葉と……という感じで、日本語字幕が実装されている率は低いですが、字幕翻訳を使えばある程度大意は掴むことができます。
日本での公演はもちろん日本語字幕が付きますし、他国の公演も謎に日本語字幕が付いてたことがあるので、基準は謎です。駄目元で字幕ボタンから探してみる価値はあります。

大体毎月それぞれの演目について調べて満足しているのですが、せっかくなので今月からは調べた内容を纏めていこうと思います。続くといいなあ……

7月の予告動画はこちら。サムネイルはエルケルの『フニャディ・ラースロー』です。


ルサルカ(2023年11月8日まで)

概要

アントニン・ドヴォルザーク 1901年初演
オランダ国立オペラ
配信期間:2023年07月8日 03:00~2023年11月8日 20:00

言わずと知れた有名作品ですが、いわゆる読み替え演出で、1930年代のハリウッドを舞台に、水の世界を娼婦とポン引き、人間世界を映画スター業界に置き換えた仕様になっています。
そのため、「人間に憧れた水の精が魔女に人間に変えてもらう」部分は、「映画スターに憧れた娼婦がマリリン・モンローみたいになる改造手術を受ける」となっています。しょっぱなから「巨星ジーグフェルド」でしか見たことないような舞台からスタートし、ルサルカはコカイン中毒の娼婦であり、スプーンを炙ってゴムを腕に巻き付けて注射器を構えつつ「月に寄せる歌」を歌います。すごい。
ハリウッドとかその辺が舞台なため、オランダでやってるチェコ語のオペラなのに背景に書いてある文字はそこそこ読めるという現象が発生していてそこがちょっと面白かった。

この作品はちょっと配信期限短めなので注意が必要です。

トレイラー

本編


ディドとエネアス(2024年1月15日まで)

概要

ヘンリー・パーセル 1684年頃初演
リセウ大劇場
配信期間:2023年07月15日 03:00~2024年01月15日 20:00

ウェルギリウスの「アイネイアス」が基になっているバロックオペラ。
一応ベルリオーズの『トロイア人』と同原作ということになるみたいです。
こっちは独自要素として、魔法使いとか魔女とか知らんキャラが追加されています。
スチール見て割とカジュアルな格好の人たちが沢山出てきて踊る感じかなーと思って見たら舞台の中央にジャコメッティ擬人化みたいな人が三人生えていました。あんまりカジュアルではないですね……

トレイラー

本編


フニャディ・ラースロー(2024年1月22日まで)

概要

フェレンツ・エルケル 1844年初演
ハンガリー国立歌劇場
配信期間:2023年07月22日 03:00~2024年01月22日 20:00

不勉強なもので、作曲者・タイトルともに初めて聞く作品でした。そういえばハンガリーオペラは一つも知らなかったかもしれない……

フニャディ・ラースローは15世紀ハンガリーの人物。父親のフニャディ・ヤーノシュはオスマン帝国の侵攻を防いだ英雄でしたが、その死後、長男ラースローは貴族たちの闘争に巻き込まれ、反逆罪を着せられて謀殺されてしまいます。処刑シーンで終わるっぽいので何かその辺りの話のようです。
一方で、10歳年下だった弟のフニャディ・マーチャーシュはなんやかんやでハンガリーの王様になったりその後ヴラド三世残虐伝説を広めまくったりそちらも色々あったようです。この作品ではまだ少年なので、メゾソプラノが配役されています(今回の舞台では子供を起用しているようです)。
エルケルはハンガリーの高名な作曲家で、現在のハンガリー国歌はエルケルによるものだそうです。

知らない歴史ものはどれが誰かから話が始まるのでトレイラーが登場人物紹介風なの助かる。
歴史衣装に子供を含む大量の登場人物、本物の馬まで出てきて、かなり気合の入った舞台です。ハンガリーのオペラ史において非常に重要な作品というだけあり、見ごたえがありそうです。

トレイラー

本編


ピーター・グライムズ(2024年1月28日まで)

概要

ベンジャミン・ブリテン 1945年初演
ポーランド国立歌劇場
配信期間:2023年07月29日 03:00~2024年01月28日 20:00

ブリテンの代表作。20世紀以降のオペラほぼノーマーク人間でもタイトルくらいは聞いたことありました。たぶん「オペラ126選」みたいな本に載ってたんじゃないかな……
なお、5月にやっていたブリテン&ブリテン特集では、『真夏の夜の夢』『ねじの回転』が配信されているので、現在Operavisionではブリテンが3作品配信中です。一応生誕110周年っぽいのでそれが理由なのかな?

個人的にブリテンで一番気になっているのが『ポール・バニヤン』なので、それもそのうち配信してほしいですOperaVisionさん。

この作品のスタンダードが分からないのですが、衣装見てると80年代とかその辺かなあという気がするので、一応現代演出っぽいですね。背景に映像を使った、最近流行りの舞台といった感じ。

トレイラー

本編


今月は、時代は17世紀から20世紀まで、言語も全部バラバラという多様な四本でした。
個人的には『ルサルカ』と『フニャディ・ラースロー』が気になりました。
またちゃんと観られたら感想など書きたいなと思っています。

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