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【日本の冠婚葬祭~通過儀礼 ⑨結婚記念~】

 このブログでは、日本の儀式を見直し、少しでも後世に継承していきたいという想いで様々な行事や儀式をご紹介しています。前回は『厄年』についての回でしたので、今回は『結婚記念』について書いてみようと思います。

 前回のブログはこちら。

 これまでご紹介してきた通過儀礼は、「人の一生」に関わるものでしたので、「生まれてから〇年経ったらおこなう儀式」というものでした。

 しかし、今回ご紹介する「結婚記念日」は「夫婦として過ごした年月」に関わるものであり、「二人で迎える通過儀礼」なのです。

 有名なものとしては「金婚式」や「銀婚式」がありますが、本当はもっと多くの記念日があります。特に結婚してから間もなくは、毎年のように記念日がありますので、せっかくですからひとつずつ見ていきましょう。
(以下、結婚してから経過した年数で表示しています)

 1年目 紙婚式
    (少しの衝撃で破れやすい紙に、夫婦の絆をたとえている) 
 2年目 綿婚式・藁婚式
    (夫婦の絆が綿や藁のように柔らかく、安定していないたとえ)
 3年目 革婚式(夫婦の絆が革のように強くなるようにとのたとえ)
 4年目 花婚式(書籍婚式)
    (蒔いた種が芽吹いて花を咲かせることのたとえ)
 5年目 木婚式(しっかり根を張って1本の強い木になるたとえ)
 6年目 鉄婚式(鉄のように固い絆になるようにというたとえ)
 7年目 銅婚式(経済的にも安定してきた状態のたとえ)
 8年目 ゴム婚式・青銅婚式・電気器具婚式
    (しなやかで弾力ある関係性のたとえ)
 9年目 錫婚式陶器婚式(ひびの入っていない関係性のたとえ)
10年目 錫婚式・アルミ婚式(柔和さと強さ、美しさのたとえ)
15年目 水晶婚式(水晶のように曇りのない信頼関係のたとえ)
20年目 磁器婚式(年月がたつほど価値が増すことのたとえ)
25年目 銀婚式(いぶし銀のような味わい深さのたとえ)
30年目 真珠婚式(富と健康のたとえ)
35年目 珊瑚婚式・翡翠婚式(長い年月を経て成長するたとえ)
40年目 ルビー婚式(夫婦の深い愛と信頼関係のたとえ)
45年目 サファイヤ婚式(成功・誠実・慈愛のたとえ)
50年目 金婚式(価値あるものとしてのたとえ)
55年目 エメラルド婚式(幸福・希望・安定・深みのある夫婦のたとえ)
60年目 ダイヤモンド婚式(永遠の絆のたとえ)
65年目 碧玉婚式・ブルースターサファイヤ婚式
    (希望・信頼・運命のたとえ)
70年目 プラチナ婚式(いつまでも輝く奇跡的な幸福のたとえ)

 他にもありますが、字数の関係で上記の記念日のみとさせていただきました。

 それぞれの結婚記念には、紙や木、鉱石などの名前が付けられていますが、結婚記念を迎えた夫婦には、その名前に関連した贈り物を贈る風習があります。

 たとえば、結婚1年目の紙婚式ならペーパークラフトや、きれいな紙製の扇子などがあります。5年目の木婚式には木製の小物入れや家具、15年目の水晶婚式には水晶の置物やアクセサリーなどを贈ります。夫婦として長い時を過ごしていく中で、想い出と共に1つずつ記念の品が増えていく喜びがあります。個人の一生に迎える通過儀礼と違い、結婚記念というのは夫婦揃って迎えることが前提になります。

 個人的な長寿の祝いもおめでたいことですが、結婚記念で50周年、60周年、70周年を迎えられるということは、夫婦そろって長寿を迎えていることになりますので、より喜ばしいことと言えるでしょう。

 お祝い事というのは、普段忙しくてなかなか会えない人達にとって、集まる理由が生まれる貴重なイベントです。毎年は厳しくても5年おきくらいなら、適度な間隔かもしれません。このブログを読んだ機会に、ご両親やご兄弟の結婚記念日をこっそり調べて、皆でお祝いするのはいかがでしょうか。

 「おめでとう」という言葉は、言われる方だけでなく、言う方も幸せになれる言葉です。是非皆さんで、幸せな時間をたくさん共有してください。


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