劇伴音楽の作り方実践編②コミカル編【動画解説あり】

こんにちは。
作曲家の天休です。

今回は劇伴音楽の作り方実践編第2回目「コミカル」について書いていこうと思います。

以前書いた劇伴音楽の作り方の記事をご覧になっていない方は、先にそちらをお読みいただければと思います。

それでは早速やっていきましょう!

1.おすすめの「コミカル」

最初に「コミカル」の具体例を見ていきます。
一口に「コミカル」と言っても、大きく分けて2種類あると思っています。

a.日常アニメの「コミカル」
b.ドラマの「コミカル」

順番に見ていきます。

a.日常アニメの「コミカル」
これが一番わかりやすいと思います。
例えば神前暁さんの「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」より27曲目「ジト目」

「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」は日常系アニメというよりラブコメですが、ハードなSFアニメなどと分けて語るために、ここでは日常系とひとくくりにしてしまいます。

さて、アニメとドラマの劇伴音楽の一番の違いは、映像の情報量です。
アニメはドラマに比べて情報量が少ないです。
主人公の微妙な表情の変化、風景の機微、温度感など、どうしてもアニメの方がドラマよりも描き切れません。

なので、音楽で情報量を付加する必要があります。
コミカルなシーンはよりコミカルに、シリアスなシーンはよりシリアスな音楽が必要です。

特に日常系アニメの「コミカル」はかなり分かりやすいコミカルになる傾向があります。
オケヒやリコーダーやスライドホイッスルなどコミカルな音色が多用されるのが特徴的です。
音色もあんまり豪華な音源ではなく、あえてチープさのある音源を選ぶのもコツです。

上の例の「ジト目」なんかはドラマのコミカルとしてはやりすぎです。
実際にドラマの映像を流しながらこの曲を流してみてください。

じゃあ実写全てに合わないのかというと、そうではありません。
実は、最近のYouTube系のエンタメコンテンツは、こういった「コミカル」と非常に相性が良いです。

なぜなら、分かりやすい楽曲やチープな音色は親近感があるからです。
今のYouTube市場は資本よりも評価が重要な指針になってきています。
お金があっても人気にはならないが、人気になればお金が稼げるという理由です。
詳しくは語りませんが、そういった評価経済社会の流れを受け、より分かりやすく、親近感のあるコンテンツが量産されるようになってきました。
なので、YouTube向けのコミカル楽曲は、これくらいのコミカル感が良いと思います。

なお、ハード目なアニメの「コミカル」は結構ドラマ寄りなので、その辺も注意してサントラを聴いてみてください。

b.ドラマの「コミカル」
ドラマの「コミカル」楽曲の大家はなんと言ってもセオドア・シャピロでしょう。

特に「Marley  & Me」(邦題:「マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと」)のサントラは必聴です!

特に9曲目「First Sleepless Night」はコミカルの好例です。(この曲に似たような劇伴が何曲あることか……)

もうひとつ「Dinner for Schmucks」(邦題:「奇人たちの晩餐会 USA」)のサウンドトラックも挙げておきましょう。

セオドア・シャピロは「コミカル」以外にも勉強になる楽曲がたくさんあるので、今後もかなり登場すると思います。
もし知らなかった方がいましたら要チェックです!

また、アーロン・ジグマンもここで挙げさせていただこうと思います。
特に「Sex and the City」のサウンドトラックはかなり勉強になると思います。

「コミカル」は16曲目「Carrie Sees Vogue」ですがそれ以外の曲も「日常」「サスMID」などかなり参考になります。

さて、ドラマの「コミカル」の特徴としては、
〇バンド編成
〇ややアップテンポ(108~132ぐらい?)
〇だいたいワンコード(もしくはブルース進行)
〇Stylus風のリズム(テンポにキッチリと合っているチープなサウンド)
という感じでしょうか?

以前書いた「劇伴音楽の作り方」の記事でも触れましたが、「コミカル」を作る最大のコツはメリハリです。
音楽がいきなりブレイクしたり、コミカルな音色が入ったかと思いきや急にカッコよくなったり。
上に挙げた作品がどのようにメリハリをつけているのか分析してみてください。

上に挙げた例以外にも様々な「コミカル」があります。

例えば、飛ぶ鳥を落とす勢いの作曲家ジョン・パウエル「Mr. & Mrs. Smith」より「Assassin's Tango」

タンゴですが、日本のラブコメドラマの劇伴にありそうですね。

いまや世界一の作曲家ハンス・ジマーの「Rango」より「Walk Don't Rango」

こちらは「劇伴音楽の作り方」で触れた佐藤直紀さんの「WATER BOYS」系の「コミカル」です。
学園ものの「コミカル」っぽいですね。

このようにその番組に合わせて適切な「コミカル」を選べるようにしましょう。

2.制作例

さてここからは僕が実際に制作した「コミカル」を解説しながら、具体的にどのように作っていくのか、どのような音源が必要なのか、動画で解説していきます。

ここからは有料記事とさせていただきます。
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