【鬼滅の刃】善逸に思う
*この記事では、テレビアニメ版『鬼滅の刃』について感じたことを書いています。ネタバレの意図はありませんが内容についても触れています。まだご覧になっていない方にはさっぱり意味がわからないかもしれないです。これから観るのを楽しみにされている方はそっ閉じをおすすめします。
こちら(沖縄)では、国中を席捲する『鬼滅の刃』の放送が遅れており、先週土曜の放送で那多蜘蛛山に入ってから二匹目の鬼を倒したところです。
先日、別の放送局で『那多蜘蛛山編』の一挙放送があったようですが、我が家ではいまのところテレビの本放送を毎週1話ずつ、と決めているのでそれは見ていません。ちなみに原作も読んでいません。映画もこちらではまだ上映されていません。
この作品を見ていてすごいなと思うのは、登場人物(鬼も含め)の感情や深層心理が、画面から飛び出してくるようにあざやかなことです。なので私個人の体感ですが1話たった30分の放送で一本の映画を観たぐらいの『どっと』感がやってくる(放送が土曜の深夜、25:30からというのもあるでしょうが)。
何の予備知識もなしに見はじめたので思いがけず恐ろしいものをみてしまった、みたいな感じで心臓バクバクしてその後眠れなくなったり、
文字どおり『息を呑んで』みているので、エンディングの曲がかかってはじめて呼吸がとまっていたことに気づくなど。
それでも不思議なことに、回を重ねるたびに『景色がみえてくる』というか、
描かれているこまやかな描写から、鬼に向かいつつもちょっとしたためらいが起きるのが見えたり、
最期を迎えた鬼にさえいとおしさを感じるようになってきていて、
いままさに日本人の心をわしづかみにしているのは、作品が奥深く濃厚であるということ、なにより(元・人間であるところの鬼も含め)『人』をひとりひとり敬意をもって描いているところにあるように思います。
前回の放送で、那多蜘蛛山での二匹目の鬼と対峙したのは、
炭治郎、伊之助とともに鬼殺隊に入ったばかりの善逸でした。
これまでの善逸は泣き虫でヘタレで、といったところばかりが描かれていましたが、このお話で善逸という人物にグッとスポットが当たります。
このお話のサブタイトルは
『ひとつのことを極め抜け』
*私にはどだい無理で、憧れと諦めの感情を抱かざるをえないフレーズです。
善逸は師匠から才能を見込まれ、人一倍の愛情をもって稽古をつけられますが、他の弟子たちのように器用でなく、たったひとつの型、たったひとつの技しか身に付けることができません。
師匠は善逸に、逃げてもよい、でもあきらめるなと言い
お前はほんとうは強いのだ、たったひとつでよい、極め抜けと教えます。
覚醒した善逸は無敵。
弱さも、自信のなさも、泣き虫な自分も、なかったことにせず受け入れて
そのうえで『あきらめない』善逸はほんとうに強い。。。
純粋に羨ましいと思いました。
わたしは器用なわけではない、むしろ不器用。
しかも先日、学びについて偉そうな記事を書いたすぐあとにこの回を観たので、ある意味ショックがでかかったです。
ひとつの仕事も続けられないし、ひとつの技を習得してきわめることもできない。勉強だって、ひとつのことをつきつめるのではなくいろんなことを学んでそれぞれが重なったところに意味を見いだしたり、学ぶことを通して自分を知っていったり、、、と
つまりとても要領がわるく、遠回りで、時間がかかり、その結果なにかをなし得ているのかといったら、いまだ手応えがない。50手前になっても、まだわからないでいる。
↑こんなことを一瞬のうちにグワッと考えて落ち込んだのですが、
不思議なことに
こんなにフラフラしている私のことを『あなたはつねに一貫しているよね』という人がいてくれるのもまた事実なのです。
たしかに、探し求めるものや、つきつめたい方面は一貫している。でも言葉にするのがむずかしかったり、ひとつのことではこたえが出せなくて、いくつもの学びをすりあわせたところに小さく光る粒みたいなのを見つける、みたいな作業をずっとしているようにも思う。そのプロセスで『それ』にも出会っているし、この時間とこの作業がなければ私は『それ』には出会えなかった。
とすると、善逸のかかえているコンプレックスもまた、わたしのなかにあったのかもしれない。見え方はちがうかもしれないけど、私はひとつのことを極め抜こうとしているのかもしれない。
シリアスな場面でギャーギャーわめいたり、ぼろぼろに泣いたり鼻水グシャグシャになったり、他人とは思えないなと思っていた善逸が一段と身近に感じられたお話でした。
長男だから我慢しちゃう炭治郎のことも、
思いがけず人から優しい手を差しのべられたらポワワンとなっちゃう伊之助のことも、
わたしの中にあるなあと思う。
もしかするとみんな、わたしはこの人物のここに共感する!っていう『思い当たる節』を見つけながらハマっていくのかもしれないな。
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