マガジンのカバー画像

ライフエンディングサポート

55
人生最終盤を社会でどう支えるかを考えたい。死に関すること、介護のことなどをテーマにした文書をまとめます。
運営しているクリエイター

#居場所

自治会、高齢者、人々のつながりに利 千葉県松戸市「あんしん電話」

(この原稿は、毎日新聞WEBでの筆者連載「百年人生を生きる」2019年6月20日掲載の記事です) 1人暮らしや夫婦のみ高齢世帯への定期訪問など、見守り活動がさまざまな形で広がっている。その一つが、千葉県松戸市で運営されている「あんしん電話」だ。週1回、利用者宅に安否を尋ねる電話が自動的にかかってきて、プッシュボタンで安否を回答する仕組み。体調不良や要連絡など回答に応じて、地域のボランティアが利用者宅を訪問する。シンプルで、利用者につかず離れず安心を届けることができる▽自治会

「没イチ男女」再出発に必要な婚前契約と思いやり

(*この原稿は、毎日新聞WEBでの筆者連載「百年人生を生きる」2019年2月24日の記事です) 軽快なディスコミュージックやJポップに合わせ、高級ファッションブランドのベルサーチなどで着飾った男性たちが赤じゅうたんの上をさっそうと歩く。東京都港区三田の寺で2018年12月9日、少し変わったファッションショーが開かれた。59歳から79歳までの6人のモデルは全員、妻に先立たれた男性だ。ショーの名前は「没イチメンズコレクション」。「没イチ」とは配偶者に先立たれた人のことをいう。

寺カフェで集い語り合う 「墓友」というつながり

(*この原稿は、毎日新聞WEB「医療プレミア」で筆者が連載する「百年人生を生きる」2019年2月6日公開の記事です) 家族関係が大きく変わる中で、私たちが迎えた多死時代。少子化で後継ぎがいない、地方から都市に出てきたので菩提寺(ぼだいじ)がないといった事情を背景に、従来の「家墓」「先祖代々墓」とは異なる墓を選ぶ人が増えている。墓石を使わない「樹木葬墓地」や、都会で次々と販売されている納骨堂だ。「家」に縛られず、最後に眠る場所を自分が選ぶ時代になった。その選択が新たな「つなが

孤独に苦しむ73歳男性を救った都心の居場所

(*この原稿は、毎日新聞WEB「医療プレミア」で筆者が連載する「百年人生を生きる」で2018年12月21日に公開された記事です) 老後の暮らしを想像したことがあるだろうか。すでに老後の生活を迎えている人は、若いころに想像していたような日々を過ごせているだろうか。いま、「人生100年時代」の到来がいわれている。100歳以上の人口は約7万人。老人福祉法が制定された1963年には153人しかいなかった100歳以上の高齢者は、81年に1000人、98年に1万人を超え、その後も急速に増

終活から集活へ。「人生会議」への期待もこめて

ここ3、4年ほど、講演会など、事あるごとに口にする言葉がある。「終活から集活へ」だ。 人と集い、語らい、交流し、縁を紡ぐ。それを集活と言っている。終活は大事だが、いま多くの人が関心を寄せる終活には足りない部分があると思っている。そんな私の思いをインタビューしてくれた記事もある。 終末期医療の治療方針をだれが決める? 足りないものは大きく分けて2つ。一つは集活で、もう一つは終末期(人生最終段階)医療の治療方針に関する事だ。実は2つは密接不可分、表裏一体だと思うので、後者につ

地域って? 文京区社協の「居場所」づくりは面白い

この頃「地域」が気にかかる。「地域包括ケアシステム」を念頭に書いているのだけれど、地域って何なのだろうって。便利な言葉なので私も使っているが、実はなんだかよくわかっていないのかもしれない。そんな疑問を抱いている今日この頃、東京都の文京区社会福祉協議会(社協)の動きから目が離せない。待っているだけでは、地域の課題はみえてこない。だから「地域に入る(フミコム)」地域福祉コーディネーター制度を2012年から始め、明らかに地域が変わっていると感じるからだ。地域とは何かを考えるうえで学