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勝利への四ヵ条 〜テニスで最も重要な技術とは〜 #1 安定

このブログの中で話す「安定」とは、「精神面の安定」や、「プレーヤーがボールを打つ際のフォームが安定しているかどうか」ではなく、プレーがどれだけ安定しているか、すなわち「自分が相手よりも先にミスをしない」というパフォーマンスのクオリティーについてである。

「先にアウトやネットをしない」という事がどれだけ大事なのか、、、

理論上、プレーヤーAがプレーヤーBのボールを全て返球する事ができたら、プレーヤーAは絶対に負けない。なぜなら、プレーヤーBがミスをしない限り、ポイントが終わらないからだ。これだけ、安定的にボールを入れることは大事なのだ。

このセオリーが最も大事な場面は、試合序盤である。

試合が始まってすぐは、お互いに緊張などで、身体であったり、新品のボールであったりをうまく扱えない。だからこそ、一球でも多くボールを相手のコートに打ち返し、安定したプレーに徹するべきなのだ。他にも、試合序盤にラリーを続ける事で、相手のプレースタイルや癖を知る事ができる。または、初めて立つコートやサーフィスの特性、すなわち跳ね上がり具合やイレギュラーの程度、風向きや日の照り方などに慣れることもできる。それほど、試合が始まってすぐは「安定したプレー」が大事なのだ。

トップジュニアはこれが分かっている。コーチに教え込まれているか定かではないが、彼らは徐々にギアを上げて行く事で、試合序盤のミスを最小限に抑え、試合中盤や終盤に自身の攻撃的なプレーを展開する。そして忘れてはならないのは、彼らが非常に「辛抱強い」事である。長いラリーになっても、ここぞとばかりに、我慢のテニスを発揮する。これは、トップジュニア特有の「試合慣れ」から来るものでもあるが、このメンタリティは僕たちも習得するべきだと常々思う。

少し話は変わりますが、今まで芝のコートでプレーしたことはありますか?芝の上では、ボールが低く滑るように弾むため、選手はその特殊なバウンドに慣れる必要があります。トッププレーヤーのノバク・ジョコビッチ選手は、ウィンブルドンの大会序盤は、ボールの跳ね具合やイレギュラーの度合いを確かめながら、『安定重視のプレー』で戦います。

常に返球する、安定したプレーができるようになると、次のフォーカスは「恒常的にサービスラインよりも深いエリアにボールを打つ事」である。

ボールを深く打つことにどのような利点があるのか、、、

一つ目に思い浮かぶのは「相手の攻撃を封じる事」である。ショットが深ければ相手をベースラインから下げることに繋がる。だから、相手がボールをヒットした瞬間から自分のコートに到着するまでの時間が長く、エースになりにくいのだ。また、相手がライジングで打つと選択した場合も、そのショットのペースが遅く、短くなる可能性が高いため、自分が有利な状況になりやすい。

ボールを深く打つことは、相手から「角度のあるボールを打たせる機会を奪うこと」にも繋がる。ベースラインよりも後ろから打たせるということは、物理的、また数学的視点からして、相手がアングルをつけにくくなり次のショットが中央寄りになりやすい。それはすなわち、自分が次どこに動けばいいかが限定され、そのラリーにおいて、優位に立てるわけだ。

深い球をサイドラインギリギリに打つことで相手選手を苦しい体勢に追い込みます。もしこの時、ショットが短ければ、ノバクは余裕でボールに追いつき、フルスイングできていた事でしょう。

守りと安定

最後に、僕のテニス理論において「守り」は、安定において要のプレーである。それはひとえに、有効的な守りは、相手優位なラリーをニュートラルな状態に変え、「自分と相手どちらが先にミスをするか」というせめぎあいに持ち込む事ができるからだ。このためには、スライスショットループボールなどの守備的なショットでペースを変えながら、ラリーを展開する手法がある。これらのボールでラリーに「変革」をもたらせ、リズムを変えることで、最小限のリスクで、相手に先にミスをさせる事ができる。

ラファエル・ナダル選手は、言わずと知れた強烈な回転のかかったフォアハンドで、相手を振り回す非常に戦術的な選手です。しかしながら、テイラー・フリッツ選手やダニエル・メドベージェフ選手のような高身長なプレーヤー相手だと、跳ね上がるエッグボールを上から叩かれてしまいます。その際は、低く伸びるスライスで、ペースをコントロールし、ハードヒットを阻止します。

このブログでは「安定」について話しました。次回のブログは、「攻撃」について話します。それでは、Stay Tuned!


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