オブラート11枚目「明日、朝早いから」

どんな関係であっても、片思いは存在すると私は考えている。

友人関係にあってもそれは言える。

「こいつとなら何時間でも喋っていられる」と思ってる人間に対し相手は

「こいつとは1時間喋るともう疲れる」と思っていることも、少なくない。

相手を傷つけずに体よく解散する流れを作る言葉は、必ず存在するものだ。

「楽しかったな！2次会行くだろ？」

飲み会終わりなんかに、先輩が良く号令をかけているのを耳にした。

もう飲めませんと言うと、2次会はソフトドリンクでいいからと言われる。

お金がない、はなかなか効果的だが、時々気前のいい人種がいることもあるので、借りを作る面でもおすすめはしない。

ここで使えるオブラートがこれだ。

「すみません。明日、朝早いので」

何なら家でもうひと仕事しなければならない等と付け加えるとより効果的である。

ここで重要なのは、粘らせないことだ。

例えば次の日が休日だと「明日休みじゃん、ちょっとくらい良くない？」と粘ってくる人間もいる。

いかに颯爽とその場を離れるかが鍵となる。

「すみません、明日、朝早いので失礼しますね。ご馳走様でした」

深く一礼して、すぐにその場を離れよう。

何かを言われても、困ったような笑顔だけ向けるか、「すみません」とだけ言っておけば問題ない。

某アニメ映画の「ここで働かせてください」のようなものだ。

それだけ言い続けていれば折れる。

ちなみにここまでの内容で理解されていると思うが念のため言っておく。

「明日、朝早いから」を使う人間の少なくとも半数は

明日、朝早くない。

本当に朝早い者もそれなりにいるだろう。

ただし、大して早くない者も相当数いると覚悟しておくように。

何かを察せたその際にはもう少しスマートな誘い方を考えてもいいかもしれない。

これと似たような形に使われるワードがある。

主にLINEで使われる3つ

・「そろそろ寝るね」

・「お風呂入るからまたね」

・「ごめん、寝てた」

「そろそろ寝るね」は、一定の時間を超えた頃によく使われる。

大体22時以降が多い。

もちろん、まだ寝ない。

まだ寝はしないが貴方とLINEを続けられる程暇ではない、ということだ。

「お風呂に入るからまたね」

これに関しては実に曖昧な去り方である。

この後送った本人が数時間の長期入浴に至る訳でもなく

なんなら風呂を済ませて送っている可能性もある。

しかもこれは「そろそろ寝るね」よりも早い時間に使うことが可能である。

早い話が、暇じゃないからまた暇な時に話そうね、である。

そして次にその暇な時が来るのがいつなのかは誰も知らない。

そして最後に一番ずるい「ごめん、寝てた」である。

これに関しては「返信するの面倒だった」と捉えて間違いないだろう。

これは完全に事後報告なので、何度も使うとあまり良い印象ではないが

本当に面倒な時は私もよく使う。

一方的な「話したい」欲求が生み出したオブラートと言っても過言ではないこの言葉たちは

今日も日本中のあらゆる場で囁かれていることだろう。

【おまけ】

私と主人は笑いのツボが全く違う。

そもそも12歳も歳が離れていては違って当たり前なのかもしれないが。

私はネットも見るが、生粋のテレビっ子なので

お笑い番組やバラエティ番組で爆笑できるタイプである。

しかし主人はテレビ、それも地上波を一切見ないタイプの人間で

とにかく笑いの方面では話が合わない。

たまにYouTubeでゲーム等の面白い吹替を見て一緒に笑えればいい方である。

それは別に構わないのだが

時々LINEで、ネットで見つけたであろう面白いスレッドのリンクを送って来る。

それも、かなり長いのだ。

仕事中はもちろんのこと、通勤電車内であっても私は変わらない。

読まずに終わる。

そして返信もせず帰宅してそのLINEを無かったことにする。

冷たいかもしれないが

ここまでしないと、笑いのツボが違うことに気づかないのだ、彼は。