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オブラート6枚目「懐かしい、私も昔やった」

「懐かしい」

それは決して過去を振り返り思い出に更けるような意味だけではない。

そもそも「懐かしい」と思う事柄は、現在卒業していることが前提にある。

時代の移り変わり、また自身の、周りの成長に応じて

人は様々な卒業を迎える。


私の年齢である30歳を例にあげよう。

私たちぐらいの年齢の女性が100人集まれば、95人は化粧をしていると言っても過言ではない。

ちなみに私は残り5人に含まれる。

化粧品の分類を処分して、もうすぐ1年である。

まぁそれはどうでもいい。

30歳にもなると、13年前・・・つまり17歳の現役JKだった時のような化粧をしている人間はほぼいない。

ちなみに私たちはギリギリルーズソックス世代である。

肌は黒く焼き、目の周りはハイトーンのアイシャドウでくま取りのようなことをしている者もいた。

所謂コギャル世代である。

今この年齢になってもそのような化粧をしている女性がいたらどうだろうか。

親しい友人であれば「お前まだそんな化粧してんのかよ、卒業しろよ!」と笑いながら突っ込むくらいできるだろう。

では大して仲良くもない、知り合って間もないような人ならどうだろう。

「そういう化粧懐かしい。私も昔はそういう化粧してたな」

これはオブラートであり、篩である。

この発言を耳にして

「え、私やばいかな、化粧の仕方いい加減変えた方がいいかな?」

という方向にシフトできる相手なら、おすすめのメイク雑誌やコスメ等の話題に持っていけばいい。

しかし、「私はまだまだ若いから」「この顔じゃないと外を歩けない」等と変な拘りで維持している相手なら

それ以上掛ける言葉はないので早急に話題をそらす事をおすすめする。

その後の話の方向性が、相手の対応で大きく変わるだろう。


ちなみに異性相手にもこのオブラートを使うことが多い。

「なんかそういう髪型懐かしいね。高校生の時付き合ってた元彼がそんな頭してたな」

というように、特別ディスる訳ではないが優しいタッチでジャブを入れてやることは可能である。



ちなみに1本前の番外編「包めよ」で述べたように、私は普段あまりオブラートには包まない。

「え、まだそんな化粧してる奴いるんだ」

「そういう髪型は20歳手前で卒業して良かったと思うよ」

等。

敵も多く作ってしまったが、それでも親しい友人からは良きアドバイザーとして慕われているので有難い。



今のJKやJDという世代はナチュラルメイクが主流なのでそのまま大人になれるのはとても良いことだと思う反面

「若い頃しかできない冒険」を外見でそこまでできない辺りが少しもったいないとも思ってしまう。

今の若者たちが私の高校の卒業アルバムを見たら悲鳴を上げるに違いない。

約280人いる卒業生のうち、8割は髪に色がついている。

その8割のうちの半数が明るい茶色もしくは金髪である。

こげ茶で地味と言われていた高校は、今のJKには理解されないだろう。

私は残りの2割の1人であった。          

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